要介護・寝たきりのリスクを知る「イレブンチェック」

フレイル対策「きほんのき」2

2020.03.27

 年齢を重ねると、「若い頃はこうじゃなかった」と思うことが増えますが、「年だから仕方ない」と放っておくと、いつの間にか健康を損なうことになりかねません。日常生活を振り返る質問に答えることで、要介護や寝たきりのリスクについて知ることができる「イレブンチェック」をしてみませんか?

東大教授の飯島勝矢さん
東大高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢さん

 「フレイル」とは、「虚弱」を意味する英単語が語源で、健康とは言えないけれど、介護が必要な状態には至っていない時期のこと。日本老年医学会が2014年に提唱した新しい概念です。

 東京大学飯島勝矢教授(老年医学)の研究チームは、日常生活を振り返る質問に答えるだけで自らの衰えを点検できる「イレブンチェック」=図参照=を考案しました。費用がかからず、特別な検査や機械も必要ありません。「健康長寿」や「介護予防」と言われても、なかなか心身の衰えを自分事として考えられない人も、自分の現在の立ち位置である「フレイル度」を簡単に確認できます。

イレブンチェック
出典:東京大学高齢社会総合研究機構・飯島研究室のサイト「フレイルを知ろう」

 計11項目の質問に「はい」か「いいえ」で答えていきます(※色つきの質問は「はい」と「いいえ」が左右逆になっているので注意)。表にある「はい」「いいえ」の2択の選択肢のうち、「いいえ」を選んだ場合(色つきの質問の場合は「はい」)には赤丸をつけることとします。最終的に、赤丸が5個以上なら、フレイルの可能性が高くなる。反対に、赤丸が少なければ少ないほど、フレイルのリスクは低くなるというわけです。

 イレブンチェックでは、「栄養」「口腔(こうくう)」「運動」「社会性・心」の四つの指標について自分のフレイル度を確認していきます。「衰え」というと身体面ばかり思い浮かべがちですが、フレイルは栄養や社会性などの複数の要素が絡み合い、要介護や寝たきりになるリスクを高めていくことが高齢者の大規模調査で分かってきたからです。

 しかし、イレブンチェックの結果、赤丸が多くなってもあきらめることはありません。フレイルには、早く気づいて対策をすれば、進行するのを遅らせたり、健康な状態に戻せたりする「可逆性」があります。心身の衰えの兆候を見逃さずに、「フレイルかもしれない」と気づき、早く対策を始めることが大事です。

 飯島さんによると、フレイルを防ぐには「運動・栄養・社会参加」の3本柱が重要になるといい、「この三つの柱を三位一体で自分の生活に取り入れて、続けていくことが大事」と話しています。

 フレイルチェックは1回受けたら終わりではありません。生活習慣を見直しながら、半年後や1年後に改めて確認して、変化を知ることも大切です。目に見えて赤丸が減っていることが分かると、生活改善の手応えが感じられて、喜びにもつながっていきます。飯島さんは「すべての項目を青丸にできるように頑張ってほしい」と話しています。

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  • 飯島勝矢
  • 飯島 勝矢(いいじま・かつや)

    東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授

    1990年、東京慈恵会医科大学卒業。専門は老年医学、老年学。特に、健康長寿実現に向けた超高齢社会のまちづくり、地域包括ケアシステム構築、フレイル予防研究などを進める。内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員、厚生労働省「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」構成員などを務める。

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