更年期はいつから始まる?原因と体の変化を知って上手に付き合おう

人生100年時代を生きるキーワード・更年期

2020.03.27
更年期いつからイメージ

 「急に顔がほてることがある」「暑くもないのに大量の汗をかく」こんな症状を感じたら、もしかすると更年期の始まりかもしれません。
 更年期は誰にでも訪れる自然な身体の変化ですが、いつから始まるのか、いつまで続くのかと考えると不安になりますね。
 この記事では、更年期を迎える時期に関して、さらに更年期障害の症状やその治療、対処法について説明します。

<目次>

更年期はいつからいつまで?

 更年期とは、閉経の5年前から5年後までの、約10年間を指します。日本産科婦人科学会による日本人の平均閉経年齢は50歳なので、一般的に40代から50代に更年期を迎えることになるでしょう。更年期におこる症状によって、日常生活に支障が出るような状態を『更年期障害』といいます。更年期に始まった症状がいつまで続くのかは、個人差が大きいため、すぐに楽になる方もいれば、閉経後10年経過してもなかなかすっきりしない場合もあります。婦人科医をパートナーに、つらい症状を上手にコントロールできるようにしましょう。

生活習慣で変わる閉経の時期

 喫煙習慣のある人、BMI指数が低い人(肥満度を表す指数であり、痩せている人ほど低い)、初経年齢が早い人、妊娠回数が少ない人の方が、閉経時期が早まったという研究結果もあります。
 その他、ストレス過多、偏った食生活、過度な飲酒、寝不足などの生活習慣もまた閉経時期を早める要因となります。

プレ更年期ってなに?

 閉経年齢が50歳の場合は45~55歳が更年期ですが、更年期前の30代後半から40代前半のいわば「プレ更年期」にも、更年期と同じような症状が現れることがあります。また、閉経から10年以上経過してから、冷えや肩こり、関節痛などの症状が出現し、『これは更年期障害?』と思う方もいらっしゃいますが、老年期の症状のほとんどは加齢によるものか、自律神経失調によるもので、女性ホルモンとの関連性はほぼ無いといっても良いでしょう。

 プレ更年期よりもさらに早い時期に更年期のような症状に悩まされる人もいます。女性ホルモンの一つであるエストロゲンが減少してしまう薬剤を処方されているような特別な場合や、無理なダイエットによる急激な体重減少、ストレス過多による睡眠障害、栄養摂取不足など健康的な生活ができていない場合には、ホルモンバランスが崩れて低エストロゲン症となり、更年期のような症状が出てしまうこともあります。

自分の体とうまく付き合うために知っておきたい更年期障害の基礎知識

 卵巣から分泌される女性ホルモンは、20歳代でピークを迎えますが、更年期を迎える前の30代後半から分泌量が不安定になり、40代に入ったころから徐々に低下しはじめ、40代後半で分泌がうまくできない日が多くなります。これにともなって、さまざまな体調不良が現れるのが更年期障害です。症状には個人差があって、早い人は40代に入ってすぐ症状を自覚することもあり、生活に支障をきたすほど悪化する人もいる一方で、ほとんど症状を感じない人もいます。

更年期障害はなぜ起きるのか

 「プレ更年期ってなに?」でも触れましたが、女性の更年期はエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが減少することで起こります。40代になると急激に低下し、20~30代の約半分以下に落ち込みます。

ホルモンの分泌量グラフ

 脳の下垂体から出るホルモンが、卵巣に対しエストロゲンを分泌するように命令しているのですが、卵巣に寿命が来てエストロゲンを分泌できなくなると、脳は弱った卵巣に対して、頑張って分泌するように過剰な指令を送ります。その過剰な指令が体調不良の原因になるのです。また、脳、皮膚、骨、血管、その他多くの臓器にはエストロゲンの受容体が存在しており、カギとカギ穴の関係で機能を果たしています。エストロゲンがなくなってしまうと、受容体に作用できないため、あちこちの身体機能が果たせなくなるのです。それによって、更年期症状が起こります。

更年期障害の初期症状

 更年期障害の初期症状には次のようなものがあります。

・ホットフラッシュ

 暑くもないのに「顔がほてる」「のぼせる」といった症状のことを指します。

 ホットフラッシュに関する詳しい情報はこちらをお読みください。

関連記事:「ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)」女性の更年期によくある症状とは?

・スウェッティング

 暑くもないのに「汗が大量に出る」などの症状が現れ、真冬でもびっしょり汗をかくこともあります。

更年期障害の代表的な症状

 更年期障害の症状は、大きくわけて「精神の不調」と「身体の不調」があります。それぞれの代表的な症状は以下の通りです。

・精神の不調

 怒りやすい、イライラする不安感、くよくよする、落ち込みやすい、やる気が出ない、倦怠(けんたい)感

・身体の不調

 ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)発汗、関節痛、動悸(どうき)・息切れ、手足の冷え、頭痛、睡眠障害(寝つきが悪い、眠りが浅い)めまい、耳鳴り、皮膚の乾燥やかゆみ、湿疹、生理不順、膣(ちつ)の乾き・性交痛、尿失禁など

更年期障害の治療や対処法

 次に、更年期障害の治療法や対処法について説明します。薬や治療と並行して、生活習慣を改善することで、症状をより緩和することができます。

婦人科の医師に相談する

 「ホットフラッシュ」と「スウェッティング」をはじめとする更年期障害の兆候や症状がつらい時には我慢せず適切な診断と治療を受けるためにも婦人科に行って医師に相談しましょう。

更年期障害の治療に投薬される薬

 更年期障害の治療では、医師の診断により次のような治療や薬が投薬されます。

・ホルモン補充療法(HRT)

 ホルモン補充療法で処方されるホルモン剤にもいろいろな種類があり、内服薬、皮膚に貼るパッチ剤、皮膚に塗るジェル剤など様々です。血栓症の既往のある方や、乳がん治療中の方などHRTができない方もいるので、担当医とよく相談しましょう。

・漢方薬

 更年期障害に効果的な三大漢方薬といわれているのが
1)当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)2)桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)3)加味逍遙散(かみしょうようさん)です。他にも、多くの種類の漢方に更年期障害の適応がありますが、漢方薬は『証(しょう)』といって、患者さんの体質や気質によって種類を選びます。市販されている物でも問題ありませんが、医師の処方する漢方薬は生薬の含有量が多く、保険適用があるため負担額が軽減します。担当医師とよく相談して自分に合う種類の漢方を選んでもらいましょう。

・向精神薬

 不眠に対する睡眠導入剤、抑うつ気分が強い方には、抗うつ薬や抗不安薬が処方される場合もあります。症状によって処方される薬や治療期間、治療方法が変わってくるため、医師に相談の上、服用するようにしてください。

更年期障害の緩和のために心掛けたい生活習慣

 更年期の症状は、日頃の生活習慣や性格によって悪化することもあります。症状を軽減するためにも、以下の生活習慣を心掛けましょう。

・ストレスをためない

 更年期にストレスを抱えてしまうと、「すぐイライラしてしまう」「落ち込みやすい」「うつっぽい」といった心理的な症状を感じやすくなります。日々の仕事や家事を抱え込みすぎず、人に任せたり、相談したりすることが大切です。ストレスを減らすことができれば、心理的な症状の改善が期待できます。肩の力を抜いて、頑張りすぎないことも更年期障害の大事な対処法です。

・規則正しい生活を心掛ける

 人間の体は、日中に交感神経が優位に働くことでアクティブに活動できるようになり、夜になるにつれて副交感神経が優位に働いてリラックスするようになっています。生活リズムが不規則になると自律神経が乱れて、休みたい時に十分に休めなくなるのです。

 更年期に限ったことではありませんが、この時期は特に、自律神経のバランスを整えるために、規則正しい生活を送るようにしましょう。職業によっては深夜までの残業・夜勤のため難しい人もいるかと思いますが、できるだけ早寝早起きを心がけ、消灯時間、起床時間、食事の時間を同じサイクルにしましょう。

・ほどよい運動

 ほどよい運動も症状を改善したり、自律神経のバランスを整えたりするために重要です。できれば日中に太陽を浴びながら、ウォーキングなどの有酸素運動を行いましょう。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が促進されることで、心理面の不調が改善されたり、夜に副交感神経が優位に働きやすくなったりするので寝付きもよくなります。

 また、適度な運動は血流も良くなり代謝が促進されますし、気持ちが前向きになっていくのでストレスの発散にも効果的です。
 ただ、いきなり激しい運動をするのはやめましょう。激しい息切れや筋肉痛を起こすほどの運動を続けるのは難しいですし、余計なストレスになって症状を悪化させることにもつながります。会話ができるくらいのペースで、20~30分ほどウォーキングすることから始めるのがおすすめです。

・バランスのよい食事

 バランスのよい食事をとることも、更年期障害を緩和するために重要です。何か特別な食事をする必要はありません。次のような食材を意識してバランスのよい食生活を心がけましょう。

バランスのよい食事

 女性ホルモンと似た働きをする「大豆イソフラボン」を含む、納豆や豆腐などの大豆食品は特にオススメの食材です。また、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)を予防するために、カルシウム(乳製品・小魚など)、ビタミンD(シイタケ、干しエビなど)、ビタミンK(納豆、緑黄色野菜)を積極的にとりましょう。

更年期にむけての心構え

 厚生労働省によると、2017年の女性の平均寿命は87.26歳でした。女性にとって40~50歳代の更年期とは、自分の身体と心の健康を見直して、その後の人生を楽しむための、いわば自主点検の時期といっても良いでしょう。家族や、社会のために尽くしてきた日々の時間を少し自分のために充てるようにして、いつもの仕事が100%ではなく70%できれば大丈夫と考えて、自分に優しく、無理なく生活できるように心がけてください。

 更年期の症状は、多かれ少なかれ誰にでも起こるものです。その症状がつらい時は、我慢せず婦人科医にご相談ください。

(取材・文 橋本 直)

  • 善方裕美
  • 善方 裕美(よしかた・ひろみ)

    よしかた産婦人科院長、横浜市立大学産婦人科客員准教授

    医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。日本骨粗鬆症学会認定医。更年期障害について、ホルモン治療のみならず、カウンセリング、漢方薬、食事、運動、代替医療など多方面のアプローチで治療を行う。著書『最新版 だって更年期なんだもーん 治療編』(主婦の友社)

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