更年期はだれでも太る?原因と対策を知ってしっかり体重管理

人生100年時代を生きるキーワード・更年期

2020.03.27
更年期太るイメージ

 「昔と同じ生活をしているのに、いつの間にか二の腕やおなか回りが太くなって去年の服が入らない・・・」なんてことはありませんか? 「更年期太り」という言葉がありますが、更年期に太りやすくなることはあるのでしょうか? 更年期を迎えた女性は、ホルモンバランスが乱れることで、心と身体に大きな変化があらわれるものです。

 今回は、「最近、太りやすくなってしまった」と感じている人や、昔と同じ方法では体重が減らなくなってしまった人に向けて、無理なく体形を整える効果的な対策をご紹介していきます。まずは、痩せていたころの身体と今の身体では、何が違うのか? 太りはじめたその原因を理解しながら、更年期に合った対策を始めていきましょう。

<目次>

女性は40代になると更年期太りがはじまるってホント?

 更年期とは、閉経の前後5年の時期のことを指します。閉経の平均は50歳ごろなので、女性は、40代から50代に更年期をむかえることになります。
 総務省統計局のデータによると、この年代の女性の平均体重は、年を重ねるごと増加する傾向にあります。やはり、40代以降の更年期の女性は太りやすいといえますね。

日本人女性の平均体重・平均身長

  体重 身長
30代 53.7kg 158.3cm
40代 54.6kg 157.8cm
50代 55.2kg 155.9cm

出典:総務省統計局「日本の統計 2016」

更年期になるとなぜ太る?まずは原因を知っておこう

 更年期になると太る原因は、大きく二つあります。
 一つ目の原因は、加齢に伴う筋肉量の減少で、二つ目の原因は、女性ホルモンの低下などによって起こる身体の調節機能の低下です。
 特徴を理解して太りにくい身体づくりをしていきたいですね。それでは二つの原因について詳しくみていきましょう。

加齢に伴う筋肉量の減少

 筋肉量が減ると、1日の基礎代謝量が減少してしまいます。よく耳にするこの基礎代謝とは、人が生きていくうえで消費される必要最小限のエネルギー代謝量のことです。「全く動かない状態で消費されるカロリーの量」なので、基礎代謝が高ければ太りにくく、低ければ太りやすくなります。加齢とともに筋肉量が減少すると同時に、基礎代謝量も少なくなり、その結果太りやすくなってしまうのです。

 厚生労働省のデータからも、日本人女性の基礎代謝量は、加齢とともに減少することがわかります。

日本人女性の平均基礎代謝量

  1日の基礎代謝量
30歳~49歳 1150 kcal
50歳~69歳 1100 kcal
70歳以上 1020 kcal

参照:厚生労働省e-ヘルスネット

女性ホルモンの低下

 女性ホルモンのエストロゲンは脂質代謝に関連しており、コレステロールを適切に調節してくれています。閉経してエストロゲンが減少すると、悪玉コレステロールが上昇しやすくなり、食生活や年齢因子とは別に内蔵型肥満になりやすいといわれています。

 「抗肥満ホルモン」と呼ばれるレプチンというホルモンは脂肪細胞から分泌されて、脳の満腹中枢に作用し食欲を抑制します。エストロゲンはレプチンの分泌を促進し、逆にレプチンはエストロゲンの分泌を抑えるという関係がありお互いに調節しているといわれています。閉経してエストロゲンが減少すると、レプチンとの調節バランスが崩れて満腹中枢に影響を及ぼしている可能性があります。

更年期で太ってしまったらどうすれば?対策の基本

 更年期が原因で太ってしまっても、その対策は通常のダイエットと同じで、運動と食事が基本となります。

運動

 基礎代謝は、筋肉・肝臓・脳がそれぞれ約2割ずつ消費しています。そのうち、自分で鍛えることのできるのは筋肉です。

 筋肉を鍛えるために、ハードな筋肉トレーニングをする方法もありますが、正しいフォームで行わないとケガをしたり、つらくて続かなかったりというリスクもあります。

 そこで、継続しやすく、誰にでも簡単に行うことのできる「有酸素運動」がおすすめです。以下のような運動に取り組んでみましょう。

 主な有酸素運動例

  • ・ウォーキング
  • ・ジョギング
  • ・スイミング
  • ・サイクリング
  • ・ダンスエクササイズ
  • ・踏み台昇降(階段昇降)
  • ・縄跳び

食事

 食事は、たんぱく質、繊維、ビタミンを豊富に含んださまざまな食材をバランスよく食べることが大切です。

 とはいえ、食品の成分を全て覚えて実践するのは大変です。昔ながらの日本の食事を3食とることで必要な栄養素のほとんどをとることができます。できる範囲で続けていきましょう。

 特にたんぱく質は、筋肉など身体をつくる働きの他に、ホルモンなどの身体を調節する機能にもかかせません。

 動物性のたんぱく質や植物性のたんぱく質など、食品に含まれるたんぱく質は、種類によって働きや消化吸収する時間も違います。たんぱく質は、一つの食品からだけでなくさまざまな食品と組み合わせてとることが大切です。

高たんぱく質食品のたんぱく質量とエネルギー量

品目 100gあたり  
たんぱく質(g) エネルギー(kcal)
肉類
鶏ささみ 24.6 114
豚ヒレ肉 22.2 130
牛ヒレ肉(輸入) 20.5 133
魚類
くろまぐろ赤身 26.4 125
ほんがつお(春) 25.8 114
まかじき 23.1 115
豆類
納豆(糸引き) 16.5 200
大豆(国産、黄大豆、ゆで) 14.8 176
レンズまめ(ゆで) 11.2 170
乳製品
パルメザンチーズ 44.0 475
プロセスチーズ 22.7 339
カマンベールチーズ 19.1 310
鶏卵
全卵(ゆで) 12.9 151
卵黄(ゆで) 16.7 386
卵白(ゆで) 11.3 50

出典:日本食品標準成分表2015年版

 さらに、食事をするときに気を付けたいことが食べる順番です。
消化吸収が遅い食品から「食物繊維(野菜など)」→「たんぱく質(肉・魚・卵など)」→「炭水化物(米・パンなど)」→「糖質(ジュース・ケーキなど)」という順番で食べていくことで、糖質の吸収を抑え、身体を作るたんぱく質の吸収を促しましょう。

 ここで注意が一つあります。たんぱく質は摂取すればするほど身体に取り込まれるわけではありません。また、過剰摂取により肝臓や腎臓の負担が大きくなることもあります。厚生労働省により1日の摂取目標量が公開されているので、参考にしてください。

女性のたんぱく質の目標量

  1日の摂取目標量(g/日)
30歳~49歳 67~103
50歳~64歳 68~98
65歳~74歳 69~93

参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

更年期太りに効果的な漢方薬も

 食事や運動で肥満解消にむけて頑張っている更年期女性に、補助的に服用することができる漢方薬があります。

 運動を頑張っている時に、脂肪の燃焼を上げてくれるといわれているのが「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」、いわゆる水太りで、ぽっちゃり方の水分代謝が悪いタイプの方には「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」が良いといわれています。ただ服用していれば痩せることができるというものではなく、個々のタイプに合わせて補助的に使用するものです。

更年期と冷静に向き合って対策をしよう

 更年期の女性が太りやすくなる理由と、その対策・対応について説明してきました。
 年齢と共に起こる身体の変化は、誰にでも訪れる自然現象です。必要以上に恐れることなく、どうして変化するのかを理解し、冷静に自分の身体と向き合い、対策を取りましょう。

 体重コントロールの基本は、運動と食事です。いずれも即効性が期待できるものではなく、継続することが重要です。長い目で見て、無理のない範囲で続けていきましょう。

(取材・文 原 幸代)

  • 善方裕美
  • 善方 裕美(よしかた・ひろみ)

    よしかた産婦人科院長、横浜市立大学産婦人科客員准教授

    医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。日本骨粗鬆症学会認定医。更年期障害について、ホルモン治療のみならず、カウンセリング、漢方薬、食事、運動、代替医療など多方面のアプローチで治療を行う。著書『最新版 だって更年期なんだもーん 治療編』(主婦の友社)

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