年金の不安を解消するには?今からはじめる老後の準備

人生100年時代を生きるキーワード・年金不安

2020.03.27
資産運用イメージ

 2020年1月の朝日新聞の世論調査によると、公的年金制度の将来に不安を感じる割合は現役世代で全体の72%に達しました。一方、日本人の2018年の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳で男女とも過去最高を更新しました。先の見えない老後の保障問題があるにもかかわらず、長くなる老後。世界に先駆けて突入した超高齢化社会。これらのことが不安感に拍車をかけています。

 今回は、このように大変多くの人が感じている年金の不安について、その背景にあることや不安を解消するために知っておきたいことを説明します。

<目次>

年金に不安を感じる背景にあること

 2019年の生命保険文化センターの調査によると、老後に「不安感あり」が全体の84.4%、不安の具体的な内容は「公的年金だけでは不十分」という回答が82.8%と最も高い結果でした。

 多くの人が年金収入だけでは快適な老後を過ごせないと感じていますが、その背景にはどんなことがあるのでしょうか。

1.高齢化社会による現役世代の負担増

 日本の高齢化率(65歳以上の高齢者の人口が総人口に占める割合)は、世界で最も多い28.1%にのぼります。高齢化率が14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と定義されており、日本はすでに世界に先駆けて超高齢化社会に突入しています。

 1950年は、高齢者1人を現役世代12.1人で負担していました。しかし、2065年には1.3人で1人の高齢者を負担することになると予測されています。このことが「このまま支える人が減っていけば公的年金が減ったりもらえなくなる可能性がある」そんな不安があります。

2.公的年金運用への不安

 国民から集められた公的年金の一部は年金積立金として資産運用されています。近年、経済の先行きを見通すのが難しくなってきており、資産運用その運用状況が芳しくない報道を目にしたことも増えてきました。また物価や賃金と連動したマクロ経済スライドの仕組みに伴う年金額の減額なども、将来受給できる年金金額に対しての不安につながっています。

3.老後の資金が用意できていない

 国民全体の傾向として、老後の資金が十分でない傾向が統計調査からみられます。
 総務省の家計調査報告(2019年)によると、厚生年金の平均受給月額は約22万円に対して、夫婦1カ月間の平均支出額は約25万円で、最低でも毎月3万円の赤字生活になる試算です。また、金融広報中央委員会「知るぽると」の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2019年)」によると、60代の夫婦世帯平均貯金額は約1635万円、中央値は650万円(共に金融資産を保有していない世帯を含む)でした。老後の生活費として貯金を当てにできず、不安は解消されません。

4.退職までに住宅ローンの返済が終わらない

 晩婚化などもあり、60歳の定年後も住宅ローンの返済を続けるケースも増えています。
 退職金で住宅ローンの一括返済を考えている場合でも、勤めている会社の状況によって、その金額が変動したり転職によって見込んでいた退職金が変動することもあります。年金生活になっても住宅ローン返済を継続する必要のある人にとっては、大きな不安要素となります。

老後資金は早めに考えよう

 そうした不安を解消するためにも、将来を見据えて早めに貯蓄や住宅ローンの繰り上げ返済などを心がけることが大切です。住宅費、教育費など支出が多いときこそ、無理ない範囲を見極めて貯蓄を始めてみましょう。

関連記事:「50代の平均貯蓄額とは?老後資金をためるためのポイント

年金以外の収入を増やす手段の一つとしての資産運用

 定年後に年金以外の収入を得るには資産運用も一つの方法です。投資した資産が減るリスクが伴うため、注意して行う必要があります。資産運用のポイントとしては以下があります。

  • ・余裕資金で行うこと
  • ・短期の増減に一喜一憂せず長期投資を心がける
  • ・少額でも月々継続して積み立て投資を行う
  • ・日本の株以外に海外にも目を向け不動産や債券など分散投資を心がける

 はじめやすい資産運用の商品には以下のものがあります。取引のある銀行、証券会社などに相談してみるのもよいでしょう。

  • ・NISA(つみたてNISAを含む)
  • ・個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • ・投信積み立て

投資を始める場合は少額からやってみる

 投資を始める場合、毎月3000~5000円程度の少額から始めてみるのも選択肢です。様子をみて、向いていると思えば少しずつ金額を増やしてもいいでしょう。運用益が非課税になるつみたてNISA、あるいは老後資金の準備のための運用の目的が絞れるなら、所得税・住民税の節税ができ、運用益は非課税、受け取る時にも公的年金等控除などが使える個人型確定拠出年金(iDeCo)を検討してもいいでしょう。自分のリスクの許容範囲を知って、無理のない商品を選びましょう。

ハイリスクハイリターンの金融商品は避ける

 レバレッジをかけて大きくもうけることができる金融商品もありますが、これらは投資ではなく投機と呼ばれ、貴重な資産を増やすどころか、大きなマイナスを被る場合もあります。老後資金を増やす目的でハイリスクハイリターンの資産運用をするのは控えた方が賢明でしょう。

保有している不動産の活用

 米国では子育ての終わった世代は、コストのかかる大きな家を売却し、夫婦で小さな家に住み替えるのが普通です。その時の売却益を資産運用に回して老後の生活費にしていることもあります。

 日本でもリバースモーゲージという商品があります。「リバースモーゲージ」とは、ローンが完済している家を担保にお金を借りて、自分の死後に担保となっている家を売却して一括返済するシステムです。不動産の価値が大幅に下がった際に、融資限度額の見直しや契約期間中の元本の支払いが必要となるリスクもありますが、保有している不動産を老後の生活費に活用することもできます。ただ、リバースモーゲージを取り扱う金融機関はあまり多くありません。

年金に不安を感じたら早めに老後の準備を

 年金に不安を感じている人の多くは、「公的年金だけで暮らせない」と思っています。
心配しているだけではなく早めに準備を始めてみましょう。元気なうちは働きたい人は、老後の働き先を確保する、資格を取る、スキルを身に付けるなどをしてみましょう。今回ご紹介した資産運用を始めるのも、早いほうがよいでしょう。
 「人生100年時代」を豊かな老後生活が送れるようにするには、早めの準備がポイントです。

(取材・文 山口 尚孝)

  • 深野康彦
  • 深野 康彦(ふかの・やすひこ)

    有限会社ファイナンシャルリサーチ代表

    大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。金融資産運用設計を研鑽(けんさん)して1996年に独立。現在のファイナンシャルリサーチは2006年に設立(起業2社目)。さまざまなメディアやセミナーを通じて、資産運用のほか、住宅ローンや生命保険、あるいは税金や年金などのお金周り全般についての相談業務や啓蒙(けいもう)を幅広く行っている。

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