<連載> 高齢社会2.0
高齢ドライバーの事故を減らせ 本人に注意を促し家族も見守れるドラレコ自動車保険
【テクノロジーが変える暮らし(6)三井住友海上】急ハンドルなどのアラート機能+家族に運転状況お知らせ
頻発するあおり運転の影響で、車を運転する際のトラブル対策としてドライブレコーダー(以下ドラレコ)への関心が高まっています。しかし、ドラレコの活用はそれだけではありません。逆走など高齢ドライバーの事故防止や、運転技術の衰えに対する本人の気づき、家族による高齢ドライバーの見守りにも活用されています。そんなドラレコを、自動車保険の特約としてサービス展開する企業が続々出てきています。そのひとつ、三井住友海上の『見守るクルマの保険(ドラレコ型)』。高齢ドライバーを見守るドラレコの可能性を探っていきます。

特徴は「事故自動通報」と「安全運転支援アラーム」
高齢ドライバーの事故を減らす議論は、免許返納や自動ブレーキシステム、自動運転へと解決法が一足飛びに向かいがちだ。しかし、真の問題は運転する人の技術の衰えにある。まずは注意を促し慎重な運転をしてもらう。さらに本人にそのことを認識してもらうことが、事故を防ぐ1つの手だてになる。
三井住友海上のドラレコ特約は、加入者が月額850円を支払って、同社がレンタルしたドラレコを自動車に設置することで様々な機能が上乗せされるもの。損保各社はドラレコ特約の商品を販売しているが、三井住友海上のドラレコは、通信機能付きなのが特徴。安全運転を支援する「アラート機能」が充実しているうえ、家族にも月1回「運転診断レポート」を送ったり、事故の際に連絡したりするサービスが付いている。運転する本人へ注意を促して安全運転意識を高め、家族に対しても見守り機能を提供しているものだ。
「ドラレコは録画機能がメインですが、このドラレコの特徴の1つは、『事故緊急自動通報サービス機能』があることです。事故の衝撃を検知すると、当社のセンターに位置情報などが送られてきます。また、SIMカードも入っているのでドラレコを通してコールセンターのオペレーターと通話ができ 、事故の初期対応のアドバイスなどを受けることができます。2つめは『安全運転支援アラート機能』で、前方の車両に接近しすぎた場合や、高速道路の逆走、事前に設定していた指定区域の外に出たときなどは、運転者にアラートでお知らせします」(三井住友海上自動車保険部課長代理の有働佳晃さん)

安全運転支援アラート機能は、5回以上の急加速・急減速、急ハンドル、ふらつきなど高齢ドライバーが引き起こしやすい運転ミスや、一時停止違反を検知するうえ、2時間以上の長時間運転や事故多発地域、気象警報の情報をドライバーに伝えてくれる。しかも、アラートは警告音ではなく、言葉で注意を促すので、利用者から好評だという。
高齢ドライバーの運転サポートのため、家族などを「見守り者」として登録することができるのも特徴で、万が一の事故の際には、見守り者に連絡が入って安否の確認や対応結果が共有される。また、毎回の運転結果を1か月ごとにまとめ100点満点で評価した運転診断レポートが「見守りレポート」として家族のもとに送られてくる。

このドラレコ特約サービスは2019年1月に始まり、20年2月現在の利用者は約16万件と確実に増えている。特約保険料(月額850円)がかかるが、「ドラレコを付けたお客さまのほうが、付けていないお客さまよりも保険の乗り換えが少なく継続率が高くなっています」(有働さん)と顧客満足度も高い。
高齢ドライバーに対する「ネガティブな見方」を変えたい
同社はこれまでも社会の変化に対応して新商品の発売や、補償範囲の拡大などをすすめてきた。
たとえば、認知症など心神喪失状態の人が運転中に事故を起こしても、一部しか補償ができないケースがあった。しかし、19年1月に他社に先駆けて、心神喪失の人が起こした事故でも保険金を支払えるようにするなど、高齢社会に対応して保険の補償範囲の拡充を図っている。
「高齢者の事故をめぐる議論は、免許返納や運転させないというネガティブな方向に流れがちです。それをドラレコ特約のサービスのように、『高齢ドライバーでも運転を続けていただく』というポジティブな考えで商品開発をしています。お客さまのニーズは日々多様化しているので、今後の商品・サービスの向上についても研究を行っています。当社のドラレコを付けることで事故の低減につなげ、お客さまの安全なカーライフをサポートしていきたい」(有働さん)

自動車保険は補償面だけを見ると、各社それほど大きな差はない。しかし、テレマティクス(安全運転など運転データを元に保険料を計算)が登場し、損保会社が提供する通信機が付いたドラレコの設置によって、事故の際の対応や日常の運転支援などで違いが出てきている。
現在、ドラレコサービスは各社ともに有料だが、今後こうしたテクノロジーで事故が減少していけば、保険料にも反映され、利用者にとってより身近で便利なサービスとして多様化していくかもしれない。
(取材・文・撮影 小川純/テックベンチャー総研)
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