50代からでも遅くない 筋トレの効果と自宅でできる簡単メニューを紹介

人生100年時代を生きるキーワード・筋活

2020.03.31
50代 筋トレイメージ

 50代になり「身体がたるんでいく…」「すぐに疲れる…」「将来のケガや病気が心配…」など、身体の衰えに気づきはじめ、体力の悩みを抱えている女性も多いのではないでしょうか。そんな50代の女性が、若さを取り戻すなら「筋トレ」です。今さら始めて効果はあるのかと、不安に感じるかもしれないですが、50代こそ筋トレが体に及ぼす影響は大きいのです。

 この記事では、50代の女性にとって、筋トレの必要性やその効果、さらに自宅でできる簡単筋トレメニューを詳しくご紹介します。ゆっくりはじめて、あの頃の引き締まった体形を取り戻しましょう。

<目次>

女性の筋肉は50代がターニングポイント。その理由を解説

 男女年齢を問わず、健康維持や美しいボディーラインを保つために筋トレは効果的です。50代女性においては、特に筋トレの必要性が高いといえます。その理由は二つあります。

  • ・女性は50代を境に筋肉量が大きく低下しはじめる
  • ・閉経によって体内バランスが変化する

女性は50代を境に筋肉量が大きく低下しはじめる

 下のグラフは男女それぞれの年齢に伴う筋肉量の推移をグラフにしたものです。

 グラフを見てわかる通り、ある年齢を境に筋肉量は大きく低下し始めます。その年齢は男女で異なり、それぞれ以下の時期から筋力の低下が始まることがわかっています。

  • ・男性は40歳半ばから
  • ・女性は50代から

 グラフで見ても男性は「35~44歳」から、女性は「45~54歳」からと違いがあることもわかります。

 男女で差が出るのは、女性の閉経による影響と考えられます。

女性は閉経によって体が大きく変化する

 50代は女性にとって体が大きく変化する時期です。その理由は、閉経を迎えるため。閉経前後になると女性ホルモン「エストロゲン」がほとんど分泌されなくなります。それまで女性の体はエストロゲンの分泌によって、自律神経や免疫のバランスを保っていました。そのためエストロゲンが欠乏すると体内のバランスが大きく崩れ、更年期によるさまざまな症状が現れます。その一つが筋肉量の低下です。

 閉経を迎える平均年齢は50.5歳。つまり閉経を迎えた50代は、女性にとって筋肉のターニングポイントといえます。

50代からでも大丈夫。筋トレが50代女性に与える効果を解説

 女性は閉経を迎える50代から筋力が大きく低下することがわかりました。ぜひ筋トレを始めてほしいところですが、「この年齢から筋トレして効果はあるのかなぁ…?」と考える人も多いのかもしれません。では、50代から筋トレをする効果について詳しくみていきましょう。

美しい姿勢の維持

 「お年寄り」と聞いた時にどんな姿をイメージしますか?腰や背中が曲がって杖を付いている姿をみるとイメージ通りの「お年寄り」と思うでしょう。反対に、とても姿勢の良い80代、90代の方を見たとき、実年齢よりも「若い!」と感じませんか?このように、若さの秘訣(ひけつ)には姿勢の良さがあるのです。

 実際、人間は加齢に伴いだんだんと姿勢が悪くなってしまいます。その原因は「抗重力筋」が衰えるため。「抗重力筋」とは、地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のことです。

抗重力筋は首から足首までを支えていて、具体的には

  • ・脊椎(せきつい)起立筋
  • ・腹直筋
  • ・大殿筋
  • ・大腿(だいたい)四頭筋
  • ・下腿(かたい)三頭筋

などのことを指します。

 運動をせずに抗重力筋が弱まると、早い段階で背中が曲がり老けて見えてしまいますが、抗重力筋を日頃から鍛えておくことで、年齢を重ねても美しい姿勢をキープすることができるのです。

ダイエット効果

 若い頃に比べて「食事量は変わっていないのにどんどん太っていく」「食べる量を減らしているはずなのに体重が減らない」と感じている人も多いのではないでしょうか。その理由は基礎代謝が加齢によって低下するためです。基礎代謝とは生命維持に必要なエネルギー代謝。つまり、生きているだけで消費されるエネルギーのことです。

 厚生労働省が報告した、年代別の基礎代謝基準値を見ても年齢を重ねるほど低下していることがわかります。(※基礎代謝基準値は、基礎代謝量と平均体重から算出した数値)

 また、閉経前後は、基礎代謝が低下するだけでなく、脂肪の分解を助ける卵巣ホルモン「エストロゲン」が急激に低下します。その影響で、さらに脂肪が蓄積しやすい体に変化するため、女性は50代ごろから一層太りやすい体質に変化していくのです。

 その対策として筋トレはおすすめできます。下の表とグラフは、人間の臓器や筋肉などにおける1日のエネルギー代謝量とその割合を示しています。

 このように筋肉や内臓の働きによって安静時もエネルギーが消費されています。それが基礎代謝です。それぞれの重量が大きくなるほど、基礎代謝はアップします。しかし、内臓の重量を自分の力で自由に大きくすることはできません。

 自分の力で大きくできるのは、筋肉(骨格筋)と脂肪組織のみ。つまり、基礎代謝を増やすには筋肉量を増やせば良いということです。

 そのため、筋トレは基礎代謝をアップさせ脂肪の蓄積を軽減できるといえるでしょう。

生活習慣病予防

 先述したとおり閉経前後の10年間は卵巣ホルモン「エストロゲン」が急激に低下するとともに、50代女性は生活習慣病のリスクもグンと高まります。

 エストロゲンには、血管の状態を健やかに保つ、内臓脂肪を分解しやすくなる、といった働きがあります。そのため、閉経前後でエストロゲンが低下した50代女性は以下のような生活習慣病のリスクが高まってきます。

  • ・高血圧
  • ・脂質異常症
  • ・糖尿病
  • ・肥満
  • ・心臓病
  • ・脳卒中

 血圧や血管へ良い影響を与え、糖代謝や脂質代謝の改善効果が期待できる筋トレをはじめて、生活習慣病を予防していきましょう。

精神的にも健康になる

閉経は精神的にも大きな影響を与えます。閉経前後の精神的な症状には

  • ・イライラ
  • ・不安感
  • ・不眠
  • ・無気力

 などがあり、ひどいときにはうつ病を引き起こします。厚生労働省による調査では、女性は男性の2倍程度、うつ病にかかりやすいこともわかっています。

 精神の安定を保つためには質の良い睡眠が重要となるのですが、朝までぐっすり眠るためにも筋トレが効果的であることがわかっています。
2017年カナダにあるマクマスター大学が筋トレと睡眠の関係を研究した結果、筋トレには睡眠の質を高める効果があると発表されました。

 習慣的に行う筋トレが睡眠の質を改善するのです。快適な睡眠が不安感を軽減し、精神の安定につながり、更年期による症状としてもあげられる、うつ病の予防にも期待できるといえます。

美しさをキープ。50代のうちに鍛えたい「おしり」「太もも」「体幹」

 50代女性にとって筋トレが大切なことがわかりました。では、具体的にどこの筋肉を鍛えればより効果的なのでしょうか。上半身の筋力はそこまで大きく低下しません。加齢に伴う筋力の低下が最も激しいのが、下半身の筋力です。

そのため50代女性が特に鍛えたいのが、次の下半身の筋肉です。

  • ・大殿筋
  • ・大腿四頭筋
  • ・ハムストリングス

 この三つの筋肉には共通点があり、筋トレをすることによって次のような効果が期待できます。

  • ・大きい筋肉であるため、基礎代謝の向上が期待できる
  • ・抗重力筋であるため、美しい姿勢がキープできる
  • ・下半身が安定するため、立っていても疲れにくくなる
  • ・年齢を重ねてもパンツスタイルがかっこ良くきまる

 それでは、各筋肉について詳しくみていきましょう。

おしりの筋肉「大殿筋(だいでんきん)」

 大殿筋はおしりの筋肉のこと。立ち上がったり、歩いたり、走ったりなど日常生活の動きの中で重要な役割を果たしています。大殿筋は人間の体で最も大きな単体の筋肉です。そのため、鍛えることで基礎代謝アップも期待できます。

太もも表の筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」

大腿四頭筋は、ひとことでいうと「前もも」の筋肉のこと。下半身の中で最も大きな筋肉群で

  • ・大腿直筋
  • ・外側広筋
  • ・内側広筋
  • ・中間広筋

の四つの筋肉で構成されています。

 大腿四頭筋は、股関節やひざの動きにも重要な役割を果たしていて、鍛えることで下半身が安定します。立っていても疲れにくく、ケガ予防の効果も期待できます。

太もも裏の筋肉「ハムストリングス」

ハムストリングスは太ももの裏側の筋肉群のこと。3つの筋肉で構成されています。

  • ・大腿二頭筋
  • ・半腱様筋(はんけんようきん)
  • ・半膜様筋(はんまくようきん)

 主にひざを曲げるの際に働く筋肉で、大殿筋の動きもサポートしています。そのため、ハムストリングスを鍛えると大殿筋にも影響し、ヒップアップ効果も期待できます。

体のバランスを整える「体幹」

 三つの下半身の筋肉を鍛えると共に「体幹」のバランスを整えることも重要です。体幹とは、頭部、腕、足を除いた胴体部分のことを指し、次の筋肉が含まれます。

  • ・胸や背中や腹部の大きな筋肉
  • ・肩や股の関節まわりの小さな筋肉

 ある筋肉だけが発達していたり弱かったりと体幹のバランスが乱れていると、腰痛や姿勢が乱れる原因になります。体幹のバランスが整うことで身体が安定し、次のような効果も期待できるのです。

  • ・美しい姿勢のキープ
  • ・基礎代謝の向上
  • ・腰痛予防
  • ・疲れにくくなる
  • ・バランス感覚が保たれ転倒しにくい

50代からスタート。自宅で太もも、おしり、体幹を鍛える筋トレメニュー

 いよいよ筋トレの実践です。下半身の筋肉を鍛えたり、体幹を整えたりする具体的な筋トレメニューを三つご紹介します。どれも自宅でできるので、時間を見つけてはじめていきましょう。

1.お尻・太ももを同時に鍛える「スクワット」

お尻・太ももを同時に鍛える「スクワット」
お尻・太ももを同時に鍛える「スクワット」

 スクワットは、簡単にいうと「しゃがむ→立ち上がる」を繰り返すトレーニング。先ほど紹介した「大殿筋」「大腿四頭筋」「ハムストリングス」をまとめて効率よく鍛えられます。

 スクワットは正しい姿勢で行わないと、効果を得られないばかりではなく、ひざを痛める原因にもなります。慣れるまでは鏡の前で行うなどして、正しい姿勢を常にチェックしながら行いましょう。

基本姿勢

  • ・足を肩幅に広げ、つま先は真っすぐ前に向ける
  • ・背筋をしっかり伸ばす
  • ・両腕を肩の高さで前に伸ばす
  • ・お尻を軽く後ろに引く

動作方法

  • 1)基本姿勢からお尻を後ろに引くイメージで、上半身を真下にゆっくり下げる
    ポイント:ひざがつま先より前に出ないように注意する。
  • 2)床と太ももが平行になったところで、ゆっくり元に戻す
    ポイント:ひざを伸ばし切らないようにする
  • 3)1~2の動作を10~15回繰り返す
  • 4)休憩をはさみながら3セットを行う

スクワット時の呼吸

もし余裕があれば

  • ・しゃがむときに息を吸う
  • ・立ち上がる時に息を吐く

と、呼吸のタイミングも意識できるとより効果的です。

2.体幹を鍛える「プランク」

体幹を鍛える「プランク」
体幹を鍛える「プランク」

 プランクは体幹をバランスよく鍛えられる王道のトレーニング方法。プランクを簡単に説明すると「うつぶせでひじを着いた状態をキープする運動」です。同じ動作を繰り返すスクワットとは違い、同じ姿勢をキープするプランクは、一見簡単そうに見えますが、実際にやってみると全身がプルプル震え、正しい姿勢をキープするのがなかなか難しいことがわかります。

プランクのやり方

  • 1)うつぶせになる。
  • 2)腕を肩幅に広げ、ひじ下を床つけて状態を起こす。
    ポイント:肩から真っすぐ降りた位置にひじがくるようにする。
  • 3)足を肩幅ほどに開き、つま先を立てる
    ポイント:足首が直角になるように。
  • 4)お尻を引き締めるイメージでゆっくりお腰を持ち上げる
    ポイント:お尻を持ち上げすぎて出っ張らないようにする。
  • 5)肩・お尻・かかとが一直線になることを意識して10~20秒間キープ
  • 6)休憩をはさみながら3セット行う

プランクで意識すること

  • ・おなかを引き締め、緊張状態をキープ
  • ・呼吸を止めない
  • ・目線は上げすぎず下げすぎず、自然体のななめ前方をキープ
  • ・腰は肩の延長線上の位置をキープ

 プランクは特に腰の位置が重要です。低すぎると腰痛の原因となります。逆に高すぎると効果がありません。腰の位置をしっかりキープできる秒数から始めてみることがおすすめです。

3.ひざをついた「腕立て伏せ」

ひざをついた「腕立て伏せ」
ひざをついた「腕立て伏せ」

 腕立て伏せと聞くと「腕を鍛えるトレーニング」とイメージする人も多いと思います。実は、腕立て伏せは胸がメインに働く種目です。そして体幹も必要になるトレーニングです。

 普段から筋トレしていないと、1回もできないも人が多いと思います。筋トレ初心者の人は、まずはひざをついた腕立て伏せから始めてみるのがおすすめです。

  • 1)手は肩幅より少し広げた位置に置く
  • 2)ひざだけ床につける。ひざ上、ひざ下は浮かせる
  • 3)背中は丸めず真っすぐ。おなかに力を入れて腰が落ちないようにする
  • 4)ひじを外側に曲げて、上体を下げる
  • 5)限界まで下げたら、ゆっくりとひじを伸ばしながらもとの姿勢に戻る
  • 6)4~5を10~15回繰り返す
  • 7)休憩をはさみながら3セット行う

 プランクと併用して体幹を鍛え、普通の腕立て伏せができることを目標にしてみるのはいかがでしょうか。

無理は禁物、食事に注意。50代で筋トレする際の注意点

 50代から筋トレをはじめる際は、以下の点に気をつけながら、自分のペースですすめていきましょう。

無理して毎日やらないで

 今回ご紹介した筋トレメニューは毎日行う必要はありません!週に2-3回を目標にやりましょう。無理して「毎日やらなくては」と焦る必要はないのです。

・1日やらなかったことをきっかけにやめてしまうため
50代は、若いころに比べて筋肉量の増加や疲労の回復にも時間がかかります。もう何年も運動をしていない人や、まだ筋肉が鍛えられていない最初のうちは特に大変です。「毎日やろう」と頑張りすぎると早々につらくなってやめてしまう可能があります。

・疲労が蓄積して日常生活に支障をきたすため
筋トレは長期的・継続的に行うことが大切です。毎日やってすぐにやめてしまうよりも自分の体調や気分と相談しながら、週2-3回を目安に続けていく方が効果的です。無理せずに気軽に行える範囲で始めましょう。

食事は3食以上を心がけ、食事の間をあけすぎない

 食事の間をあけてしまうことは、筋肉量を低下させる原因になります。なぜなら空腹状態が続くと、体は筋肉を分解してエネルギーに変えてしまう機能があるためです。そのため、せっかく始めた筋トレが無駄になってしまいます。本格的な筋力トレーニングに励んでいる人の中には、空腹状態を作らないために食事を1日6食とっている人もいるくらいです。

 そこまで本格的にする必要はもちろんありませんが、なるべく空腹状態を避けることが筋肉をキープするポイントです。ダイエットを兼ねているからと食事を抜いたりせず、3食しっかりとることを心がけましょう。

炭水化物とたんぱく質をバランスよく食べる

筋肉を育てるには、炭水化物とたんぱく質をバランスよく摂取することが重要です。

  • ・たんぱく質・・・筋肉の「材料」
  • ・炭水化物・・・筋肉の「エネルギー源」

 50代からの筋トレ効果を高めるために、筋肉の材料となるたんぱく質を意識して摂取することが大切です。たんぱく質を多くむ肉、魚、卵、大豆食品などを積極的に食べるようにしましょう。

 しかし、筋肉をつけるに「たんぱく質だけ取れば良い」と考えて、炭水化物を抜くことはおすすめしません。炭水化物は筋肉のエネルギー源。筋肉を動かすためのエネルギーがないと、体は筋肉を分解してエネルギーに変換してしまいます。これでは、筋トレの意味がなくなってしまいます。

 「筋肉のための食事」と意識しすぎるのではなく、いつもの食事に少したんぱく質をプラスするくらいの意識で取り入れてみてはいかがでしょうか。

50代からでも遅くない、筋トレで将来も元気に若々しく過ごそう

 閉経の影響で身体的にも精神的にも大きく変化する50代女性。この心身のターニングポイントをきっかけに、筋トレをするか・しないかで、将来若々しさを保つことにも大きな違いが出てきます。50代からのスタートでも全く遅いことはありません。今回ご紹介した自宅でできる筋トレメニューから始めてはいかがでしょうか。

(取材・文 門 東花)

  • 比嘉一雄
  • 比嘉 一雄(ひが・かずお)

    CALADA LAB.代表取締役

    1983年、福岡県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部卒業後、東京大学大学院に進学。石井直方研究室にて筋生理学を学ぶ。科学的エビデンスを基にしたメソッドで多くのクライアントさんのダイエットの成功に導く。月間200本以上のパーソナルセッションをこなしながら、様々な活動を行う。書籍は40冊を超える。IoTトレーニングマシン「Higatrec®」を作成し、世界最大級の展示会「CES」でイノベーションアワードを受賞。Youtubeチャンネル東京筋肉大学も開始。

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