キャッシュレス生活はじめよう 簡単でお得なはじめ方とは?

人生100年時代を生きるキーワード・キャッシュレス

2020.03.31
キャッシュレス生活イメージ

 「支払いといえば現金」で育ってきた世代にとって、突然キャッシュレスといわれてもすぐには受け入れにくいものですね。便利さはイメージできるし、おトクなポイント特典もあるらしい。ただ、現金を持たずに外出するのはなんだか心配。

 誰でも慣れないことを敬遠してしまう気持ちってありますよね。でも、やってみれば意外と簡単です。ここではキャッシュレス生活の魅力をご紹介します。

<目次>

キャッシュレスってどんなこと?

 近年、日本でもキャッシュレスが広まりつつあります。現金を使わずに会計を済ませることだとイメージできても、詳しくわからない人もいるかもしれません。まずはキャッシュレスとはどんなものなのかをきちんと理解しておきましょう。

キャッシュレス決済の現状

 キャッシュレス決済とは「現金以外で決済する」方法です。クレジットカードやデビットカード、Suica、PASMOといった交通系ICカード、電子マネー、各種スマートフォンアプリなどを使って支払いをすること全般を指します。

 高速道路を利用する際のETCカード支払い、銀行の自動引き落としやATM振り込みは使ったことがありますよね?広く普及している身近な決済方法もキャッシュレス決済に含まれます。

 日本銀行が2018年に行った「生活意識に関するアンケート(第74回)」によると、最も利用されている現金以外の決済方法はクレジットカードで、キャッシュレス決済の約70%を占めています。

 最近では、銀行や流通業、携帯電話のキャリア企業などが積極的にキャッシュレス事業に参入し、キャッシュレス支払いに対応した店舗も増加中ということもあって、その認知度や利用者数は向上しています。

すでに海外ではキャッシュレスが一般的

 2018年に公開された野村総合研究所と経済産業省の資料によると、家計支出のうち、キャッシュレス決済が占める割合が最も多いのは韓国の96.4%。ほとんどの支払いをキャッシュレスで行っています。そのほか、イギリス、オーストラリア、シンガポール、カナダ、スウェーデンといった国の人々も、家計支出の半分以上をキャッシュレスで決済しています。一方で日本は19.8%とかなり低めです。

 海外でキャッシュレス決済が一般化している主な理由としては、現金の窃盗やスリの被害の危険性があげられます。一方、日本は比較的治安がよく、偽札流通の可能性が低いため、キャッシュレス化が進まない要因のひとつと言えます。

諸外国におけるキャッシュレス比率の変化

  キャッシュレス比率(※)
2007 2016 07年→16年
韓国 61.8% 96.4% +34.6%
イギリス 37.9% 68.7% +30.8%
オーストラリア 49.2% 59.1% +9.9%
シンガポール 43.5% 58.8% +15.3%
カナダ 49.0% 56.4% +7.4%
スウェーデン 41.9% 51.5% +9.6%
アメリカ 33.7% 46.0% +12.3%
フランス 29.1% 40.0% +10.9%
インド 18.3% 35.1% +16.8%
日本 13.6% 19.8% +6.2%

※キャッシュレス比率は、(カード決済(電子マネー除く)+E-money決済)/家計最終消費支出により算出(ともにUS$ベースで算出)

出典:経済産業省・株式会社野村総合研究所「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」

政府も後押しするキャッシュレス生活

 経済産業省は2017年に発表した「未来投資戦略」の中で、2025年までに「キャッシュレス決済比率40%」を目標とすることを宣言しました。キャッシュレス化を推進していく理由として以下のメリットをあげています。

キャッシュレス化のメリット

  • ・普段から多くの現金を持たなくても買い物ができるようになる
  • ・財布や現金に比べて落とした時のリスクが軽減される
  • ・店舗にとっては現金の管理費用やその時間が削減されるため生産性向上につながる

 上記に加え、サービスによっては、決済金額の何%かが、ポイントとして還元されることもメリットのひとつといえるでしょう。

キャッシュレス生活の始め方

 キャッシュレス生活を始めるポイントは、各サービスの特長を知ることと、自分に合っているものを選ぶことです。

各サービスの特長を知ること

 キャッシュレスサービスは支払うタイミングによって、「前払い型」「即時払い型」「後払い型」の三つに分けることができます。

  前払い型 即時払い型 後払い型
支払いタイミング 事前にお金をカードにチャージ。決済の際代金分が引かれるタイプ 支払いの際、連動する銀行口座から自動的に代金が引き落とされるタイプ 一定期間に支払った額が、後日まとめて銀行口座から引き落とされるタイプ
決済の種類 交通系ICカード
など
デビットカード
など
クレジットカード
など

 例えば、「知らないうちに使い過ぎてしまった」というようなことを避けたい人は、あらかじめ使用の上限となる一定額をチャージする「前払い型」や、口座にお金がなければ決済することができない「即時払い型」を選びましょう。逆に、引き落としをできるだけ先送りしたいなら「後払い型」を選びます。支払いタイミングの特長を確認して、使いやすいタイプを見つけましょう。

自分の生活に合っているものを選ぶこと

 どのキャッシュレスの方法にするのかは、自分の生活スタイルに合ったものを選ぶとよいでしょう。

 例えば、毎日電車やバスを利用し、買い物や外食もほぼその沿線で済ませる生活であれば、交通系ICカードがよいでしょう。コンビニエンスストアやスーパー、飲食店でも使え、1枚でほとんどの支払いを済ませることができます。

 旅行や出張で飛行機を良く使う人なら、航空会社のマイルがためられるクレジットカードに支払いを一本化し、ポイントを全てマイルに変えるのもいいでしょう。

キャッシュレス生活のリスクも知っておこう

 政府も推進し、大手企業や銀行も参入するキャッシュレスサービスですが、全くリスクがないわけではありません。キャッシュレス生活を始める前に、そのリスクについても知っておきましょう。

使えない店もある

 キャッシュレスが日本国内で拡大しているとはいえ、いまだにクレジットカードに対応していない店舗もあります。支払いの段階になって、現金しか使えない店だとわかるというのは、キャッシュレス生活にありがちなリスクです。

 普段の生活エリア内でカードが使えるかどうか、前もって確認しておいたほうがよいですね。また、出張や旅行で知らない土地に行くことが多い人は、念のために現金を用意しておきましょう。

いざという時に使えないことも

 大規模な災害時などに電気の供給がストップすることで、キャッシュレス決済ができなくなることも考えられます。もしものときに備えて、家には非常用の現金を用意しておくことも忘れずに。

ついつい使いすぎてしまうことも

 クレジットカードなど後払い型のキャッシュレスサービスを利用していると、これから入ってくるお金を当てにして買い物ができるので、後になって支払いに困るひともいるようです。そんな方は、事前に現金をチャージする前払い系のサービスや、即時払いのデビットカードなどを利用するといいでしょう。

拡大が予想されるキャッシュレス環境

 世界的に見ると、日本のキャッシュレスの推進はまだまだですが、政府の後押しや大企業の事業参入を背景に、これから数年に渡ってキャッシュレス市場が拡大することが予測できます。

 経済産業省が2020年に発表した「キャッシュレスの現状および意義」の資料によると、日本における民間最終消費支出にしめるキャッシュレス支払いの比率は年々あがっており、2018年は24.1%をしめました。これは2008年の11.9%と比べて2倍以上になっています。 今後も外国人観光客の増加やオリンピックをはじめとする国際的なイベント開催などによるニーズも高まり、キャッシュレス決済のインフラは一層整備され、拡大していくと考えられます。

【図】キャッシュレス支払額と民間最終消費支出に占める比率

キャッシュレス環境拡大に向けた取り組み

 次世代に向けて、どうすればキャッシュレスサービスが消費者にメリットをもたらすことができるのかという実験が、官民を問わず積極的に続けられています。

 最近では、生体認証や顔認証で決済ができる社員食堂が登場するなど、いずれ財布はもちろん、スマートフォンやカードすら必要のないキャッシュレス決済が主流になるかもしれません。

まずは気軽にキャッシュレス生活の体験を

 キャッシュレスについて基本的なことがわかったら、早速生活の中に取り入れてみましょう。決済方法や支払いタイミング、ポイントの還元率やキャンペーンについて確認しながら、使いやすそうな方法を選んでみてください。

 キャッシュレス決済と現金決済を併用するなどして、新しい支払いのスタイルに慣れていきましょう。

(取材・文 溝口 敏正)

  • 岩田昭男
  • 岩田 昭男(いわた・あきお)

    消費生活ジャーナリスト

    消費生活ジャーナリストとして、約30年に渡りクレジットカードや電子マネーなどの金融、流通分野を取材する業界のオピニオンリーダー。著書に『電子マネー戦争Suica一人勝ちの秘密―魔法のカードの開発秘話と成功の軌跡』(中経出版・現カドカワ)、『キャッシュレス覇権戦争』(NHK出版)など多数。公式サイト:岩田昭男の上級カード道場(https://iwataworks.jp/)

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