ウイルスと向き合う?空想の世界へ?「コロナで巣ごもり」だからこそ、オススメの本

Reライフ白書「新型コロナウイルスによる暮らしの変化」調査結果(4)

2020.05.15

 新型コロナウイルスの感染拡大で、外出が減って家で過ごす「巣ごもり」の時間が増えている人も多いことでしょう。Reライフ読者会議メンバーの皆さんに「今だからこそお薦めしたい本」を募集したところ、未知のウイルスと向き合う小説や、閉塞(へいそく)感を忘れさせてくれる壮大なファンタジーなど、多彩な提案が寄せられました。

読書をする男性

 最も多く挙がったのは、フランスの作家、アルベール・カミュが1947年に発表した小説『ペスト』だった。「人間の心理や医療崩壊など現在の状況と似ている。学ぶべきことが多い」(千葉、50代女性)、「最後の8行は鳥肌が立つ」(大阪、60代女性)、「えたいの知れない病の流行により人々が翻弄(ほんろう)され、様々な不条理が起きている様が、昨今のコロナの流行と重なり、今の状況を客観視できる」(山形、40代女性)といった声があった。

  • ペスト
    (著)カミュ(訳)宮崎嶺雄『ペスト』(新潮文庫刊)
  • ペスト(新潮文庫刊)
    (著)カミュ(訳)宮崎嶺雄
    出版社:新潮社

 日本の小説でも、感染症を題材にした本を挙げた人が多かった。災害をテーマにした著作を多く発表してきた作家・高嶋哲夫の『首都感染』を選んだ神奈川の50代男性は、「書庫から引っ張り出してきて再読。こんな総理だったらなぁ。厚生大臣が医者出身だったり、WHO(世界保健機関)にいた医者がいたり、ありえない設定だけど楽しめた」と紹介。栃木の50代女性も「今の状況にぴったり。高嶋哲夫さんは大震災も原発も二つの台風も起こる前に小説にされていて、私はいずれも読んでいたので冷静でいられる」と書いた。
 SF作家・小松左京の名作『復活の日』も、「ウイルスの変異・社会的影響について考察されていた」(埼玉、60代男性)など、薦める人が目立った。

感染症を冷静な視点で捉えるには

 東京の50代女性は、生物学者・福岡伸一の著作『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』を挙げ、「新型コロナウイルスのパンデミックに戦々恐々とする中で、各国でウイルスと戦いを戦争になぞらえる発言に閉口していた。戦時下のように今回の非常事態が語られる中、新型コロナウイルスのような種を超えるウイルスの仕組みなどを分かりやすく解説してあり、人と病原体との戦いについて根源的な仕組みの部分から冷静な視点で捉えることができる一冊」と評価した。
 朝日新聞出身で東大教授だった石弘之が書いた『感染症の世界史』を「中世のペストやスペイン風邪など人類と感染症の攻防が分かりやすくまとめられている」(京都、60代男性)と紹介する人もいた。

「長編再読」派はこのシリーズ推し

 ウイルスに関する情報とは距離を置き、「長編を読み直したい」という人も多かった。「司馬遼太郎の『竜馬がゆく』のような長編を読み直したい。時間が十分あるので、じっくりと読めると思う」(東京、60代男性)や、「佐伯泰英の『居眠り磐音』シリーズは昔ながらの勧善懲悪時代劇、磐音がばったばったと悪い輩(やから)を斬っていくのはスカッとする」(神奈川、50代男性)など、人気長編が挙がった。「新田次郎や吉川英治の全集。名作であり、人間のあり方を考えさせられるから」(栃木、60代男性)という声も。

「今から読む人は幸せ」な長編ファンタジー

 長編ファンタジー小説を薦める人も多かった。全153冊におよぶ栗本薫のファンタジー小説『グイン・サーガ』。兵庫の50代女性は「大好きな本だが読み返すには長すぎて、なかなか手が付けられなかった。一気読みしたい」、千葉の40代女性も「読みごたえがある。自粛明けを待つのには十分な量だと思う」という。

  • 豹頭の仮面―グイン・サーガ
  • 豹頭の仮面 ―グイン・サーガ(早川書房刊)
    (著)栗本薫
    出版社:早川書房

 昨年、18年ぶりに新作が発表されて話題になった小野不由美のファンタジー小説『十二国記』シリーズ。「今から読む人は幸せ。このような時期は長編作品を読むよい機会」(神奈川、60代女性)のほか、「私にとっては哲学書のような存在。悩んだり落ち込んだりした時に読み返している。読む度に気持ちを変え、前に進む力をもらっている」(神奈川、60代女性)という人もいた。

 今年3月、小説家・角田光代訳の『源氏物語』全3巻が完結したのを受け、「最近、角田光代さんが書き終えたと報道にあった。時間に余裕があるのだから長編作品が良い」(京都、60代女性)や、「図書館に貸し出し希望を出している」(千葉、60代女性)といった声もあった。

まだまだあります! オススメしたい作家・本

  • ・原田マハの『風神雷神』。あの大変な中でどう生き抜いたかがひしひしと伝わる(東京、70代女性)
  • ・渡辺淳一のベストセラー『鈍感力』。あまり気張らずに、鈍感でいられることが大事だと思う。(東京、50代男性)
  • ・奥田英朗の『空中ブランコ』は絶品!勇気が出る。(静岡、50代女性)
  • ・小川糸の『ツバキ文具店』。緊急事態宣言の中、不自由な生活を強いられているが、主人公とともに鎌倉での生活を想像し、楽しんでみては。(大阪、60代女性)
  • ・帚木蓬生の『聖灰の暗号』上下巻。宗教・人間関係・病・一つのことを守ることの大切さを教えてくれる(東京、70代女性)
  • ・上橋菜穂子の『鹿の王』。原因不明の疫病に対する医療従事者の様々な思惑なども書かれていて、生き物に対しての真摯(しんし)な目線が素晴らしい(埼玉、60代女性)
  • ・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。多様性について知ることができ、お互いを尊重することの大切さを考えることができる。(兵庫、60代女性)
  • ・米国の絵本作家ターシャ・テューダ―の言葉シリーズ。読んでいると心が和み、癒やされる。(茨城、50代女性)
  • ・英国の作家ロアルド・ダールの本すべて。気分転換になります!(鹿児島、50代女性)
  • ・カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』。分厚い本なので、こんな時しか読破できない。運命を受け入れてその中で生きていく意味などを考えた。(千葉、60代女性)
  • ・新美南吉『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』。難しい本でなく、読みやすい本。私の好きな童話を薦めたい。(滋賀、60代女性)
  • ・おくやまれいこ『おかしえんのごろんたん』『おばあさんとあひるたち』。(愛知、50代男性)
  • (敬称略)

 調査は、2020年4月7日~4月20日にReライフプロジェクトのwebサイトで実施。有効回答は622人(男性42%、女性58%)。年代別では49歳以下9%、50代33%、60代36%、70代19%、80代以上4%。

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