「コロナと闘う管理栄養士の食事」に学ぶ、ウイルス感染予防の食事術

コロナに負けない献立づくり(上) 栄養バランスと免疫力向上の三つのポイント

2020.05.01

 新型コロナウイルスの感染予防のために、日々の食事で気をつけることはなにか。医療現場での実務経験がある管理栄養士たちが、自らの日頃の食事をブログで公開し、献立のコツや工夫を伝授する取り組みを始めています。名付けて「コロナと闘う管理栄養士の食事公開」。新型コロナによる外出自粛が続くなか、家での食事を栄養バランスや免疫力の向上につなげていくには、どんな工夫ができるのか。ブログを立ち上げた足立香代子さんに聞きました。

買い置き食材で朝食、ズボラな腸活ランチも

 「3日に1回の買い物でもコロナに負けない朝食」「ズボラでもできる常備菜de腸活のランチ」「ぶりしゃぶでN-3系脂肪酸をたっぷりとる夕食」。ブログで公開中のメニューには、ひとつひとつに、こうした見出しがつけられていて、主食・主菜・副菜の材料や作り方のほか、栄養的なポイント、工夫した点、応用時のアドバイスなどが写真とともに掲載されています。

 たとえば「ズボラ腸活ランチ」は、もち麦ごはんを主食に、さけの酒蒸し、ゆで卵、玉ねぎとパプリカのマリネなどを主菜・副菜にしたランチ。工夫のポイントは、食物繊維とビフィズス菌のダブル補給です。

 腸内の善玉菌を増やすためには「善玉菌を含むもの(ヨーグルト、チーズ、納豆、キムチなど)」と「善玉菌のエサとなるもの(食物繊維、オリゴ糖など)」の組み合わせが効果的。そんな説明とともに、食物繊維はインスタントまいたけスープに加えた糸寒天で、善玉菌はビフィズス菌入りのヨーグルトでとるアイデアを紹介しています。

ズボラ腸活ランチ
「ズボラでもできる常備菜de腸活のランチ」。さけやアスパラ肉巻き、ゆで卵、無糖ヨーグルトで、たんぱく質は約28グラム

 「3日に1回の買い物でもコロナに負けない朝食」のメニューは、冷凍食パンに、ツナ缶入りいり卵、ホウレン草と凍り豆腐のミルクスープなど。日持ちがよい缶詰・卵・冷凍野菜での体力確保がポイントです。卵・ツナ缶・凍り豆腐などのたんぱく質源と、冷蔵保存のきくニンジンや冷凍のホウレン草、ブロッコリーなど黄緑色野菜を準備しておくことで、栄養のバランスを整えられるとアドバイスしています。

 それぞれの献立には、血糖値が気になる人、体重増加が気になる人、歯の具合が悪い人、小食の人、コロナで食欲がない人など、ケース別の応用のポイントを載せているのも特徴です。「コロナに負けない朝食」では、血糖値が気になる人には「おかずファースト。パンにオリーブオイルをつけると食後血糖値の上昇をおさえます」、忙しい人には「インスタントスープにミルクを入れるだけなら簡単」、食欲がない人には「かまないで済むフレンチトーストか、牛乳で煮るパンがゆなどに」といった具合です。

コロナに負けない朝食
「3日に1回の買い物でもコロナに負けない朝食」。ツナ入りのいり卵、凍り豆腐の入ったミルクスープで、魚と卵、大豆、牛乳のたんぱく質が約25グラム

栄養バランス、工夫次第でチャーハンだけでも

 「栄養バランスをどう整えるのか。管理栄養士の実際の食事をみてもらうことで、コツやポイントをつかんでもらえたら」と、ブログを立ち上げた足立さん。バランスをとるための基本は、主食・主菜・副菜を組み合わせた日に3食の食事と、1日のうちのどこかで牛乳・乳製品や果物をとることですが、「管理栄養士でも忙しいときは、じゃあチャーハンでとなる。でも、そのチャーハンがとてもバランスがよければ、いいんです」。ラーメンを食べる、お総菜を買う、インスタントや冷凍品もつかう。食品の組み合わせ方を知っていれば、こうした食材で、栄養バランスのよい食事にできるといいます。

 足立さんは、長年、病院で栄養指導や入院患者の栄養管理に取り組んできた管理栄養士で、70歳を過ぎたいまも、一般社団法人臨床栄養実践協会の理事長をつとめています。4月半ばのブログ開設にあたっては、医療現場での実務経験がある管理栄養士の仲間に声をかけ、1日1回、実際の食事メニューの公開をめざしています。

懸念はフレイル、体重を減らしてはダメ

 新型コロナウイルスによる外出自粛が長期化するなか、家での食事の重要度は、いや応なく高くなっています。とくにシニアは、外出自粛による運動不足で、筋力が衰えたり、気分や体調がすぐれなくなったりする「フレイル(虚弱化)」に注意する必要があります。足立さんは、まず、(1)体重を減らさないようにする、(2)たんぱく質をしっかりととる、(3)色の濃い野菜・果物を食べる、の三つを心掛けることを勧めます。

 最初のポイント、体重を減らさないために習慣化したいのは、毎日、体重計にのること。「体重は増えても減っても困ります。私は朝、必ずのるようにしています」。とくに運動不足の結果として筋肉が衰えていくと、体の抵抗力が弱くなり、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化する恐れが高まってしまいます。「この際、シニアは、ちょっと小太りのひとでも、体重を減らさないことがとても大切です。コレステロールなどを気にしすぎて、油の量を控えすぎている人も少なくありません。一方、過剰に太りすぎのひとは、どんな食事をしたら、免疫力を落とさないで体重を減らせるか。食事の内容を考えなおす必要があります」

 二つ目のポイント、たんぱく質の摂取は、筋肉を落とさず、フレイルにならないために欠かせません。仮にご飯やパン、お菓子で体重を維持していたとしたら、筋肉量がへり、脂肪に置き換わっている可能性もあります。「実はシニアは、みなさんが思っている以上にたんぱく質をとる必要があります。たとえば私の場合、体重を落とさないためには、75グラムから90グラムのたんぱく質をとらないといけません」と足立さん。「肉も魚も卵も大豆も、いろいろなたんぱく質をとるようにしましょう。とくに魚は、多くとると免疫力をあげるのに役に立つとされ、シニアのひとにお勧めの食材です」

 三つ目の、色の濃い野菜をとるときは、赤や緑や黄色など、食卓がカラフルになることを心掛けます。黄緑色野菜とキウイフルーツゴールドやいちごなどの果物には、ビタミンCなど、さまざまな栄養素が含まれているからです。

 「この三つのポイントを心掛ければ、だいたいは大丈夫です」と足立さん。ブログでは、栄養バランスのよい食事だったかどうかを一食ごとや一日単位で自己採点するチェック表も紹介しています。「外出自粛やテレワークなどで家にいることを機会ととらえ、多くの人にバランスのとれた食事の取り方を考えてみてほしいと思います」

足立香代子さんのブログ「コロナと闘う管理栄養士の食事公開」https://eiyoushokuji.blogspot.com/

(取材・文 田中 郁也)

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  • 足立香代子
  • 足立 香代子(あだち・かよこ)

    一般社団法人臨床栄養実践協会理事長

    中京短期大学家政科食物栄養専攻卒業後、医療法人病院を経て、せんぽ東京高輪病院に勤務し、現職。医療現場で過剰栄養に対する栄養指導や入院患者への栄養管理を実践し続ける一方、栄養からみた検査値の読み方・評価、対面指導技術をはじめ、食事に経腸栄養、静脈栄養を含めたトータルコーディネートができる人材育成に従事。著書に「ズルい食べ方ー人生を守る『足し算食べ』BEST100」(ワニブックス)ほか多数。

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