<読者ブログ>

<連載> シネマのある人生(映画部)

ジョーカー誕生に隠された闇 現実と妄想が交錯するエンディングに言葉を失った

「ジョーカー」/おとなの映画感想文

2020.05.21

 読者会議メンバーから映画レビューを募る企画に2019年秋に公開された「ジョーカー」についての感想が寄せられました。
 都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、純粋で心優しいアーサー。どん底から抜けだそうともがくアーサーが、なぜ、狂気あふれる「悪のカリスマ・ジョーカー」に変貌(へんぼう)していったのか――。弱者に無関心な社会に見捨てられた孤独な男の内面を描くリアルな人間ドラマです。

最初の殺人シーンでみせた「表情」の変化にドキリ

 映画はごみ収集業者の連日のストのニュースから始まりました。町は暗く汚くまるで貧しさに沈んでいるようでした。
 主人公のアーサーは母の看病をしながらピエロを仕事とし、コメ ディアンを目指して働くのですが、仕事はうまくいかず、心も病んでいます。仕事を首になり、ぎりぎりまで追い詰められて、ピエロのまま、3人の一流企業で働く人を殺してしまいます。ピエロの男を警察は追いますが、街にあふれる貧しい人たちはそのピエロを英雄扱いします。アーサーのおどおどしたようなぼんやりした表情が、殺人を機にはっきりとした表情をのぞかせるようになったのが印象的でした。
 自分のルーツを探そうとしますがそのルーツさえ母の妄想で、自分がその母に虐待されていたことを知ります。狂気はさらに進み、同僚や出演したテレビ番組で憧れの司会者さえも殺してしまいます。妄想と貧しい現実の間で進むアーサーの狂気を目の当たりに、やりきれない苦しさが増します。
 最後に突然現れる、明るい病院の中で逃げ回るアーサー。血を連想させる赤い足跡。どこまでが妄想でどこが現実なんだろうと、闇が自分の心に迫ってくるようなエンディングでした。
(神奈川県 千喜良政枝さん 50代)

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