「コロナ離婚」、将来の見通しがないまま即断は禁物、リスクも考えて
男女問題や離婚を手がける弁護士に聞く(下)
四六時中、同じ空間にいることで、それまでの生活では経験したことがないストレスが積み重なって、もう限界……。そんな「コロナ離婚」の相談が増えているといいます。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所(東京都千代田区)の所長、中里妃沙子弁護士は「将来が見えないこの時期に即断するのは、リスクもあり、必ずしも得策ではない」とアドバイスしています(ただし、配偶者からDVを受けているなど、緊急性のあるものを除きます)。実際に離婚となると、踏むべきステップがたくさんあります。Q&A形式で聞いてみました。

Q:将来的に離婚を考えていますが、何を準備すべきですか?
A:離婚する前であれ後であれ、最終的には相手方と別居することとなります。そこで、別居に備えて、自分で自由に引き出しのできるお金を準備しておきましょう。いわゆる専業主婦であれば、離婚後の生活に備え、就職先を探しておくことも必要になります。
また、後に発生する「財産分与」の問題に備え、夫婦の共有財産を把握しておくことも大切です。その際、預金通帳や相手方の給与明細などは、コピーや写真を撮ってきましょう。
早い段階で、離婚に強い弁護士に相談して、方針を立てておくことも重要です。
Q:不動産価格が下がることで離婚に影響は出ますか?
A:主に財産分与の場面で影響があります。
婚姻後に不動産を購入している場合、離婚時の財産分与でこの不動産の処理が問題となり、一般に、離婚時の不動産評価額から、残ローン額を差し引いて、残額を2分の1ずつ分けるという処理をします(※特有財産でない場合を想定しています)。
このとき、残ローン額は変わらないにもかかわらず、不動産評価額が下落すると、分与対象額が減少することになります。したがって、不動産をお持ちの場合には、専門家に相談してから財産分与の話し合いをすることをおすすめします。
Q:夫が在宅勤務になり、DVやモラハラがますますひどくなっています。どうすればいいでしょうか?
A:DVとは、家族である夫や妻に対して振るまわれる暴力のことで、単に身体的暴行に限らず、性的な暴力やレイプ、暴言やストーキング行為など精神的にストレスをかけることも含まれます。特に家庭内という閉ざされた人間関係の中で行われるため、外部からは極めてわかりづらいものです。まずは専門家である弁護士やカウンセラーに相談することをおすすめします。
暴力から逃げるために、公的機関や民間が運営するシェルターに入るという方法もあります。最寄りの警察署の生活安全課や、都道府県や市町村が設置する配偶者暴力相談支援センターに相談してみましょう。
Q:夫の今後の収入の見通しが不安です。今は離婚を諦めるべきでしょうか?
A:まずは何に不安を感じているか見つめ直していただき、例えば離婚後の経済面が不安ということであれば、どうすれば経済的な基盤を整えられるかを調べることから始めましょう。専門家に相談すると、行政からの援助の受け方などの情報も得られます。小さなお子様がいるご夫婦やご高齢のご夫婦の場合は、気をつけなければいけないことも多くあります。慎重に検討していきましょう。
Q:元夫が養育費未払いのまま破産した場合、未払いの養育費をもらうことはできますか?
A:破産した場合、元夫は、原則として負っている債務を全て免責されることになります(要するに借金が帳消しになるということです。)。しかしながら、養育費の支払いを受ける権利は非免責債権とされており、元夫が免責を受けた場合でも、養育費の支払い義務を免れることはありません。したがって、元夫が破産に至った場合でも、元夫が破産後に取得した財産に強制執行をかけることも可能です。元夫が経済的に更生することが前提となりますが、必ずしも養育費の回収を諦める必要はありません。
◇
繰り返しになりますが、中里弁護士は、将来の見通しがない状態で、 この時期に離婚を即断するのは必ずしも得策とは言えないと言います。
離婚という大きな決断をする前に、「何に不満を感じているのか」、「失敗しない離婚のためにはどんな準備が必要か」、いったん立ち止まって、専門家に相談してみることをおすすめします。
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