<連載> 専門家のお悩み相談室

定年後に「お金を上手に使う」というのは、どういうことですか?

作家・楠木新さんが読者の疑問に答えます(1)

2020.05.27

 あなたは定年後、お金を上手に使えますか? 「人生100年時代」を迎え、長い老後に備えて節約や貯金に意識が向きがちです。でも、それだけで幸せな老後を送れるのでしょうか。Reライフ読者会議メンバーの疑問に、『定年後のお金』を刊行した作家の楠木新さんに答えてもらいました。

金融イメージ

Q:京都府の60代女性からの質問

 フリーランスの仕事をしているせいか節約癖がついてしまい、いつしかお金を使えなくなっていました。これまで比較的余裕のある時でも、最安値の物ばかり購入し、自分を大切にしていないようで気になります。

 現在も仕事をしていますし、仕事の性格上、まだまだ続けられます。年金と預貯金を試算するとおそらく平均余命まで暮らしていけるのに、今もケチケチ生活です。心配せずに自分のためにお金を使いたい。そのための考え方などお話いただけるのかな、と思い応募しました。

A:楠木さんの答え

  節約癖があるのは素晴らしいです。収入額からお金の余裕を考える人は多いですが、実際は「収入―支出」で決まります。金融機関で財産相談に乗っている人はそれがよく分かっていて、伊丹十三監督の映画『マルサの女』では、それを説明するセリフもあります。フリーランスで仕事を続けられるのも安心ですね。

 自分のためにお金を使うのは、お金よりも、どういうことに取り組むかを見つけるのが先です。仕事の延長で楽しみを見つけて、興味のあることに取り組めばいいでしょう。定年前後の人たちに取材してきた例でみると、それほど多額のお金は必要としないことが多いと感じています。

Q:兵庫県の60代男性のからの質問

 最近、「人生100年時代」とか「老後資金として2千万円の貯蓄が必要」だとかよく言われています。そこで他の人の考えをよく聞いて、定年後のお金をためるだけでなく上手に使い、人生100年時代を後悔せずに楽しみたいと思って参加申し込みをしました。

A:楠木さんの答え

 老後資金の必要額は人によって違うので、2千万円にこだわる必要はありません。2千万円を算出した計算式を確認して、自分の財産と比較してみるのもいいでしょう。

 インタビュー前編でも述べましたが、自分でお金を使えるのは75歳くらいまでだというのが取材をしてきた実感です。そういう意味では、まだ10年間は自分の楽しいことをやれる期間があります。積極的に動かれてはいかがですか。

  • 楠木 新(くすのき・あらた)

    作家、神戸松蔭女子学院大学教授

    1954年神戸市生まれ。京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。 人事・労務関係をはじめ総合企画、支社長などを経験。会社勤務と並行して「働く意味」「個人と組織」をテーマに取材を続け、執筆、講演などに取り組む。 2015年3月に定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。『定年後』『定年準備』『定年後のお金』など著書多数。

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

PAGE TOP