<連載> 専門家のお悩み相談室

お金のない人はどうしたらいいの? 老後のお金に不安がいっぱいです

作家・楠木新さんが読者の疑問に答えます(3)

2020.06.05

 あなたは定年後、お金を上手に使えますか? 「人生100年時代」を迎え、長い老後に備えて節約や貯金に意識が向きがちです。でも、それだけで幸せな老後を送れるのでしょうか。Reライフ読者会議メンバーの疑問に、『定年後のお金』を刊行した作家の楠木新さんに答えてもらいました。

通帳を見ながら会話をするシニア夫婦

Q:大阪府の60代女性からの質問

 62歳で既に定年となりました。今はパート勤務で少ない収入となり、今後のお金に不安がいっぱいです。

A:楠木さんの回答

 不安なお気持ちはわかります。繰り返しですが、自らの財産がどうなっているかをまずは確認してみましょう。「財産増減一括表」を作成し、退職金や年金額などを把握してみることが安心の第一歩です。財産はお金に換算できるものだけだと皆さん思いがちですが、将来も働けること自体も大きな財産です。精神的な支えにもなります。

 あまりお金を使わない範囲で楽しんでいる人もいます。朝のラジオ体操、スマホで航空機の離発着の写真を撮る、図書館やブックオフを利用した読書、子ども食堂などのボランティアのお手伝いなどなど。少しでも興味があれば取り組んでみることが良いかもしれません。やってみて面白くなければ、ほかのことに関心を向ければ良いのですから。また定年前後の人を取材してきて、人とのつながりが大きな価値を持つことを実感しています。

Q:兵庫県の50代男性からの質問

 あと2年で定年を迎えますが、あまり貯蓄がありません。60歳以降をどのように生きていけばいいかずっと悩んでいます。

A:楠木さんの回答

 定年目前まで長期間の勤務、ご苦労様です。まだ2年あれば、かなり準備はできます。「あまり貯蓄がない」とのことですが、定年後、雇用延長で働くか、異なる仕事をするかなど、これからの働き方をどうするかを具体的に検討すべきです。将来も働けること自体も大きな財産です。

 私は60歳で定年した直後の2年間は無職で過ごしましたが、働くことは健康にも良く、精神的にも好影響を与えることを実感しました。また現役の時は、働くか趣味で過ごすかなど「二者択一」で考えがちですが、定年後になると時間ができるので、仕事をしながら趣味の時間を持ち、ボランティアをするなど、二つか、三つのことを並行して取り組むことも可能になります。そうした方がフィット感の高い人が多いです。現役の時よりも時間がたっぷりある人が多いからです。パートで働きながら数年かけて大学院に通い博士号を取った人もいました。

  • 楠木 新(くすのき・あらた)

    作家、神戸松蔭女子学院大学教授

    1954年神戸市生まれ。京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。 人事・労務関係をはじめ総合企画、支社長などを経験。会社勤務と並行して「働く意味」「個人と組織」をテーマに取材を続け、執筆、講演などに取り組む。 2015年3月に定年退職。現在、神戸松蔭女子学院大学教授。『定年後』『定年準備』『定年後のお金』など著書多数。

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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