<連載> 専門家のお悩み相談室

「家事はきちんと」という呪縛に縛られ、ヘトヘト…… 家事を減らすヒントは?

家事研究家・佐光紀子さんが読者の疑問に答えます(5)

2020.06.22

 新型コロナウイルスの影響で外出自粛が長引き、家事の負担が増えた人も多いことでしょう。頑張りすぎて笑顔が消えてしまっては本末転倒です。上手な「手抜き術」や家事分担のコツを学びませんか。Reライフ読者会議メンバーの疑問に、『もう「女の家事」はやめなさい』などの著書がある家事研究家・佐光紀子さんが答えます。

家事はきちんと

Q:東京都の60代男性からの質問

 「家事はきちんとこなすべきだ」という呪縛に縛られています。整理整頓されている部屋のあり様が落ち着くのですが、子どもたちが巣立ち、2人で暮らす妻は全く逆の考え。食事づくり以外の家事は私が担うことになり、毎日ヘトヘト状態です。「残り少ない人生だから丁寧な生き方をしよう」と思っていますが、体がついてきません。年齢相応の手抜き術を考えたいです。

A:佐光さん「雑誌やSNSの『実態のない基準』と戦わなくていい」

 「家事をきちんと」の呪いは大きいです。雑誌やSNSには素敵な料理やホテルのようなインテリアの写真があふれていて、あたかもそれが世間の基準のような錯覚に陥ります。そういった「実態のない基準」と戦っている人も多いのではないでしょうか。世間と比べるのではなく、我が家の現状を基準にして「当社比」に変えることから始めましょう。

 私の88歳の母は、料理は全て手作りにこだわっていました。しかし、年を重ね、「買い物や料理が負担になってきた」と言い出したので、冷凍食品のカタログを送ってみました。冷凍食品をきっかけにコンビニのデリバリーも使ってみたようで、今は「全部手作りでなくてもいいわね」と、気持ち的にも体力的にもすごく楽になったようです。

 「残り少ない人生だから丁寧な生き方をしよう」というお気持ちはとてもよくわかります。それが日本人の美徳であったとも思います。けれども、一方で、「残り少ない人生だからこそ、楽しく明るい気持ちで日々を過ごしたい」と私自身は思っています。

 丁寧な暮らしというのは、家事を丁寧にすることでしょうか?ピシッとアイロンのかかったシャツではなく、洗いざらしの綿のシャツで、のんびり散歩を楽しむのも、丁寧な暮らしではないでしょうか。半分しか洗濯は終わらなかったけれど、風の心地よいベランダでコーヒーが飲めて気分がよかったな、とか、今日の散歩で見た夕焼けの写真はよく撮れたから、相方や子どもに見せなくちゃとか。家事を生活を回す手段以上に過大評価せず、生活を楽しむという意味で丁寧に暮らす方法もあるのではないでしょうか。

<他にもこんな声が寄せられました>

  • ・夫婦2人定年を迎えて 一緒にいる時間が長くなりました。一方、家事は増えて思ったような自由な時間は取れないと思います。どのようにこれからの時間を有効に使うか、ヒントをもらいたいです。(神奈川、60代女性)
  • ・家事を減らすにはどうすればいいのかを教えてほしいです。(神奈川、70代男性)
  • 佐光紀子
  • 佐光 紀子(さこう・のりこ)

    家事研究家、翻訳家

    1961年、東京都に生まれる。1984年、国際基督教大学を卒業。繊維メーカーや証券会社で翻訳や調査に携わったあと、フリーの翻訳者に。ある本の翻訳をきっかけに、重曹や酢などの自然素材を使った家事に目覚め、研究を始める。2002年、『キッチンの材料でおそうじするナチュラルクリーニング』(ブロンズ新社)を出版。以降、掃除講座や執筆活動を展開中。

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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