「筋力低下」「コロナ太り」を予防する、効果的な食事の仕方

コロナに負けない献立づくり(下)巣ごもり中のフレイル予防・肥満防止、二つのポイント

2020.06.05

 外出自粛や在宅勤務で気がかりなのは、運動不足による筋力低下や体調不良です。「コロナ太り」が気になるときも、食事を抜いては逆効果、栄養不足になりかねません。やせず、太らず、体調を維持していくための食事のコツを「コロナと闘う管理栄養士の食事」をブログで公開する足立香代子さんに聞きました。

出勤前に朝食を頂くミドル夫婦

 おいしくものが食べられなくなった。疲れやすく、何をするのも面倒で、体重が以前より減ってきた・・・。家にこもりがちな毎日、思い当たる点はありますか? とくにシニアは「フレイル」になっていないか、注意が必要です。

 フレイルとは、年をとって体や心のはたらき、社会的なつながりが弱くなった状態のこと。そのままにしておくと、さらに衰えがすすみ、高齢の人は介護が必要になる可能性もあります。

筋肉を衰えさせない、たんぱく質の目標量

 予防のために大切なのが、たんぱく質をしっかりとること。年をとると、たんぱく質は筋肉になりにくくなります。意識して多めにとることがポイントです。厚生労働省のパンフレット「食べて元気にフレイル予防」は、日常生活のタイプごとに、高齢者にとってほしい、たんぱく質の目標量を紹介しています。

 たとえば65~74歳の女性の場合、タイプ別の1日のたんぱく質の目標量は次のとおりです。
(1)1日のほとんどを座って過ごす人・・・58~78グラム
(2)家事や通勤、軽いスポーツをする人・・・69~93グラム
(3)立ち仕事やしっかりスポーツをする人・・・79~105グラム

コロナに負けない献立づくり
年齢や活動量に応じたたんぱく質摂取の目標量。活動量が「低い」「普通」「高い」に分けて定めてある。厚生労働省のパンフレット「食べて元気にフレイル予防」から

「おかずファースト」「間食活用」で目標クリア

 じつはいま、大人の女性が1日にとっているたんぱく質は、平均で60~70グラムほど。年齢による違いが多少あるものの、目標値との開きがかなりあります。どうしたらいいか。足立さんが勧めるのは「おかずファースト」と「間食の活用」です。

 「年齢があがってくると、なかなか全部を食べきれなくなってくる。おかずファーストなら、主食の量で加減することができます」と足立さん。肉や野菜、油をつかったおかずを最初に食べていけば、たんぱく質など必要な栄養素がきちんととれ、血糖値の上昇も抑えられます。

 食欲がないときは、香辛料をつかってアクセントをつけたり、好きな食材を選んだりすることも効果的です。「栄養があるものでも、嫌いなものばかりでは、食もすすみません。わたしは牛肉が好き、わたしは豚肉など、好きなほうにすればいいです」

 間食は、たんぱく質など大切な栄養素を補うために活用します。「私の場合、間食は、ほとんど果物。そこにヨーグルトなど乳製品を加えるようにしています」。果物は食物繊維が豊富で、ビタミン類も多く含まれています。乳製品は、食欲がすごく落ち、かむのもいやになったときの貴重なたんぱく源ともなります。

お菓子で「コロナ太り」する悪循環を絶つ

 コロナ太りを気にする人にも、おかずファーストと間食の活用が、役立ちます。おかずから先に食べれば、主食の量は少なめにしやすくなります。食事の合間に、つい口がさびしくなって、お菓子、とくに粉菓子をとってしまうと「本来の食事のときに食欲がわかず、栄養バランスがくずれて、悪循環になりがち」です。果物・乳製品での間食は、こうした悪循環による肥満を防いでくれます。

コロナに負けない献立づくり
「ダイエットに最適!食べる手間がかかる夕食」。骨付きのトリ肉、貝殻付きのアサリをつかい、食べるのに手間がかかるようにした。たんぱく質は24グラム

ダイエットは「食べる手間がかかる」献立で

 足立さんが主宰する「コロナと闘う管理栄養士の食事」では、体重増が気になる人向けの献立も紹介しています。たとえば「ダイエットに最適!食べる手間がかかる夕食」。骨付きのトリのもも肉黒こしょう焼きとアサリのワイン蒸しが主菜です。トリ肉や貝類は、エネルギー(カロリー)は低めで、たんぱく質がとれるのがミソ。骨付き、殻付きにすると、食べるのに手間がかかり、よりダイエット向きになります。

 フレイル予防の一環として、厚生労働省は、さまざまな栄養素の望ましい量などを定めた「食事摂取基準」の2020年版で、50歳以上のシニアがとるべきたんぱく質の目標量を引き上げました。これまでは、どの年代もタンパク質からとるエネルギーの割合を13~20%としていましたが、この下限値を50~64歳は14%に、65歳以上は15%に改めたのです。高齢になるほど、たんぱく質をとることが大切ということを目標値として示した形です。

 近年の研究で高齢期のやせすぎは、肥満より死亡率が高くなることがわかってきました。シニアになって、病気でもないのにやせてきたら、要注意。太りすぎにそなえるメタボ予防から、フレイル予防への切り替えどきかもしれません。

足立香代子さんのブログ「コロナと闘う管理栄養士の食事公開」https://eiyoushokuji.blogspot.com/

パンフレット「食べて元気にフレイル予防」(厚生労働省サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089299_00002.html

(取材・文 田中 郁也)

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  • 足立香代子
  • 足立 香代子(あだち・かよこ)

    一般社団法人臨床栄養実践協会理事長

    中京短期大学家政科食物栄養専攻卒業後、医療法人病院を経て、せんぽ東京高輪病院に勤務し、現職。医療現場で過剰栄養に対する栄養指導や入院患者への栄養管理を実践し続ける一方、栄養からみた検査値の読み方・評価、対面指導技術をはじめ、食事に経腸栄養、静脈栄養を含めたトータルコーディネートができる人材育成に従事。著書に「ズルい食べ方ー人生を守る『足し算食べ』BEST100」(ワニブックス)ほか多数。

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