
ストレスは、日常生活の様々な場面で発生します。そのため、気づかないうちに、いつのまにかストレスがたまっていることがあるのです。何かにストレスを感じることは仕方ありませんが、たまったストレスは発散しないといけません。今回は、ストレスの上手な発散方法を説明していきます。
<目次>
ストレスを発散する前に原因をしっかり知ろう
ストレスは日常生活の中の様々な刺激により発生します。この外部からの刺激のことをストレッサーと言います。
厚生労働省の調べによると、ストレスを感じている人が比較的多い年代は、男女ともに30歳~59歳です。そこから60代、70代と年齢が上がるとともに少しずつ減少していきますが、80歳以上で再び増加傾向にあります。

悩みやストレスの原因には様々なことが挙げられますが、40歳以降に抱える、主なストレスの原因は「収入・家計・借金」「自分の病気や介護」「家族の病気や介護」「自分の仕事」です。その中でも「自分の病気や介護」については、年齢を重ねるごとに、不安を抱く人が増加していることがわかります。

なぜたまるの?ストレスが発生する仕組み
外部からの刺激を受けた時、身体の中ではどのようなことが起き、ストレスが発生しているのでしょうか。ストレスが発生する仕組みを見ていきましょう。
人の身体は刺激による変化を感じると、正常な状態に戻そうという働きをします。具体的には外部からの刺激に抵抗するために身体全体にエネルギーを供給しようとして、副腎皮質ホルモン(アドレナリンやコルチゾール)を血液中に分泌します。この働きがストレス発生の仕組みです。副腎皮質ホルモンが分泌されると、身体が正常化する一方で、消化機能や免疫力などの働きが弱まってしまう特徴があります。
一時的なストレスは、いつも以上の集中力や判断力を発揮するといったよい面もありますが、ストレス過剰の状態が長く続くと、身体は疲弊し活動力も低下してしまうため、適度なストレスに留めることが大切です。

あなたのストレス状態をセルフチェックしてみよう
ストレスに対する耐性は、人それぞれです。ストレス耐性チェック、ストレス度数チェックをして、自分に合ったストレス発散方法を探しましょう。
ストレス耐性チェックシート
各項目の中で、もっともよくあてはまると思われる段階にチェックをつけてください。

チェックした点数を合計して判定します。
【合計が50~80の人】
ストレス耐性が高い人といえます。ストレスをバネにして力を発揮しやすいといえます。
【合計が40~50の人】
平均的なストレス耐性の人といえます。
【合計が20~40の人】
ストレス耐性の低い人といえます。生活の変化があると体調を崩しやすく、気持ちの変化が起こりやすいです。
次にストレス度をチェックしてみましょう。
ストレス度チェックシート
現在のストレス度を判定します。あてはまる症状にチェックをつけてください。

チェックの数を合計して判定します。
【チェックの数が0~5の人】
今のところ、ストレスがほとんどなく問題がないといえます。引き続き、健康維持に努めましょう。
【チェックの数が6~12の人】
軽度のストレス状態です。心にストレスがたまってきています。ご自分で回復可能な段階なので、睡眠を多めにとったり気分転換を図ったりすることでストレスを発散してください。
【チェックの数が13~20の人】
ストレスが大分たまっている状態です。ご自分で不調を感じている方が多いのではないでしょうか。症状によっては、早めに医師やカウンセラーに相談してみることも検討しましょう。
【タイプ別】ストレスの発散方法
ご自分のストレス耐性や状態は分かりましたか?ストレスの状態によって、発散しているつもりが、反対にストレスを溜め込む原因になっていることもありますので、ご自分に合った発散方法を試してください。
タイプ1「やる気がでない」人は、「外に出す」ストレス発散が効果的です
「体調は良くしっかり寝ているのに、スッキリと起きることができない」「休日にどこかに行くのが面倒くさい」など、身体は元気でも何事にも意欲が湧かない状態の人は、たまったストレスを外に出すストレス発散方法がお勧めです。
運動をして汗をかく
- ・ジョギング
- ・ウォーキング
- ・サイクリング
- ・ヨガ
- ・エアロビクス
便通をよくする
身体にたまったストレスを便と一緒に外に出してスッキリしましょう。便通を良くするには、食物繊維の多い海藻類や香味野菜も効果的です。
大きな声を出す
大声で叫ぶだけでもストレス発散効果があります。一人カラオケや車の中など、一人で思う存分大声を出せる場所でストレスを声と一緒に追い出してください。
涙を流す
ストレスは、怒りや悲しみ、不安などの感情が蓄積されてたまっていきます。感情の起伏によって流れる涙には、ストレスに反応して作られる副腎皮質ホルモンの一種が分泌されており、涙を流すことでストレスが発散される効果があります。映画やドラマを見ながら思いっきり泣いて、ストレスも一緒に外に発散してスッキリしましょう。
タイプ2「疲れが取れず気力で動いている」人は、「休息」でストレス発散
「いつも疲れていて、帰宅したらすぐに横になりたい」「食欲が湧かない」「常にだるさを感じている」こんな人は、とにかく休息が必要です。無理に身体を動かしてもストレス発散にはならないため、ゆっくり身体を休め、心身をいたわってください。休息によるストレス発散には以下のような方法があります。
- ・早めの就寝
- ・湯船で温まる
- ・消化に良い物を食べる
- ・マッサージでリラックス
このような方法でたまった疲れをとり、心身ともにゆっくりと休みましょう。
アンケート「あなたの気分転換のコツは?」
Reライフ読者会議メンバーの皆様を対象に2020年4月にストレス発散方法についてアンケートを実施しました。アンケート結果の一部をご紹介します。コロナ禍の自粛生活などストレスがたまりやすい生活の中で、どうやって気分転換し、発散しているのか、他の方の意見を参考にしてみてください。
50代女性
生活への影響:通っていたスポーツジム、合唱、ヨガ教室、絵画教室、着付け教室等がすべて休止になり、近所のスーパーや銀行に出かける以外、外出の機会、人と接する機会がほとんどなくなりました。また、旅行や演劇・音楽鑑賞、美術鑑賞などもできなくなり、精神的にストレス(抑うつ感、閉塞(へいそく)感)を感じます。
気分転換のコツ:DVDを見ながらヨガをしたりしています。また、両親はすでに他界したのですが、実家の片付けがなかなかできなかったので、この機会に片付けを進めています。ただ、物を処分する作業は精神的にも肉体的にも疲れますので、あまり良い気分転換ではないなと思います。近所の都立公園を散歩するのもよいと思うのですが、歩くのが好きではないので、なかなか足が向きません。
60代女性
生活への影響:スポーツクラブが休業し、ボランティア活動も中止になり、外出の機会が減ると同時に学校が休校になったため、孫の世話が毎日となりました。外に連れて行って遊ぶ場所もほとんどなくて、家の中で遊ばせています。孫も自分もストレスがたまっています。
気分転換のコツ:スマホのアプリで英会話の勉強をしたり、Netflixをみたり、家の片付けをしたり、孫に料理を教えたりして、気分転換をしています。運動不足なので、散歩をするようになりました。
70代女性
生活への影響:高齢者家族なので感染しないように三密を守っているため、人との交流の機会が減ってストレスを感じています。 外出が減っているため、閉塞(へいそく)感からのストレスがたまります。
気分転換のコツ:木々の手入れや家庭菜園をして気分転換をしています。 ネットでの勉強(E-ラーニング)を申し込んで、改正民法、高齢社会の問題などの講座を受講して空いた時間に利用しています。
40代男性
生活への影響:母親の持病などの病院の通院ができなくなっており、身体の心配が尽きません。病院に行きたいが高齢の為感染の恐れを考えるととても悩みます。
気分転換のコツ:小学生の時に飼っていた熱帯魚の飼育を40年ぶりに始めました。熱帯魚の可愛さと優雅な泳ぎを見ていると、時間の経過を忘れるぐらい、家の中で癒やされております。
60代男性
生活への影響:週1~2回、20年以上続けているスイミングに行けていないことです。健康維持はもちろん、気分転換にもなっていただけにストレスにつながっています。
気分転換のコツ:ラジオ体操とストレッチ。あと、インターネットを使った英語の勉強。去年、ラグビーワールドカップで多くの外国人と接する機会があったのに、英語が話せず悔しい思いをしたので、オリパラに向けて少しでもおもてなしができるように‥と思って取り組んでいます。
70代男性
生活への影響:高齢の年金生活者のため、公民館や高齢者センターでのサークル活動に参加することにより、ボケ防止、活力の維持をはかっていますが、それらが全部閉ざされたため、家にいて無気力になりがちです。せめて読書でもと思っても、図書館も閉館です。こんな状態で老化が進むのではないかと気がかりです。
気分転換のコツ:朝夕の犬の散歩で行きあう人と、いわゆる犬友としての付き合いを進めてゆきたいと思っています。
その他、DVDや動画配信サービスで好きな映画や番組を見るという回答も多くみられました。同じ家の中であっても、好きな作品に没頭することで、別の場所へトリップしたような感覚が気分転換になり、見終わった後の充実感も得られます。気軽にできる、お勧めのストレス発散方法の一つですね。
上手にストレスを発散していこう
ストレスには大小さまざまなものがあります。時には、力を発揮する後押しをしてくれることもあるため、ストレスの全てが悪いものではありません。日々の生活習慣や考え方を少し変えるだけで、ストレスフリーな生活を手に入れることもできるのです。
今後、仕事に追われる多忙な生活から、好きなことを選び、自分のタイミングで動くことができる生活にライフスタイルが変化していくでしょう。一見、ストレスフリーな生活のように感じますが、環境の変化によって、隠れていたストレスが現れることもあります。リタイア後の充実した生活のためにも、自分のストレスの状態を把握し、こまめに発散させてください。
(取材・文 原 幸代)
監修:白澤卓二
関連記事
あわせて読みたい
おすすめ記事
\ プレゼント・アンケート受付中! /
プレゼント・アンケート
-
-
[受付中]和田秀樹さんの『「65歳の壁」を乗り越える最高の時間の使い方』贈呈
2023/05/23
-
-
[受付中]あなたの節約術は? 7月の朝刊Reライフ面アンケート
2023/05/19
-
-
[受付中]ギリシャ神話から広告まで「文化」を学べ 杉田敏さんの『英語の極意』贈呈
2023/05/16
\ 学ぼう、参加しよう!ただいま募集中 /
講座・イベント
-
-
[受付終了]Reライフ山歩き部 近藤幸夫さんと一緒に岩殿山に登りませんか
2023/04/04
-
-
[受付終了]老後のお金を学び、管理する金融サービスについて意見を聞かせてください
2023/02/28
-
-
[受付終了]「Reライフフェスティバル2023春」を取材しませんか? 読者リポーター募集
2023/02/03
これまでの活動をリポート
-
-
吉永小百合さん ずっと「今」を大切に 生き方そのものが美しい
2023/04/07
-
-
眠りの質を知る方法は? 睡眠障害治療の専門家・内山真さんが解説
2023/04/05
-
-
市毛良枝さんのように 「自分らしい生き方」探し続けたい
2023/04/03