外出自粛で「声の老化」に要注意 いい声を保つNG習慣、OK習慣とは?

山王病院東京ボイスセンター長 渡邊雄介さんに聞く(中)

2020.07.22

 前回、のどの奥にある声を出す筋肉「声筋(こえきん)」が弱ると、声に張りがなくなり、「老け声」になることを教わりました。のどを守り、ツヤのあるいい声を取り戻すには、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。『声筋のすごい力』などの著作がある山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介さんに聞きました。

山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介医師
山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介医師

健康長寿の鍵を握るのは

 のどは呼吸や食事だけでなく、力を入れる、踏ん張ることにも密接に関わっています。全身の中では小さな部位ではありますが、声筋を鍛えることで全身の老化を食い止めることにつながる、健康長寿の鍵になっています。
 のどに疲労がたまっているのを放置すると、声帯が痩せ、萎縮していきます。更年期による変化が加わり、老化が進みます。声筋は30代から衰えますが、何歳からでも鍛え直すことができます。

のどに負担をかける”NG習慣”

 声筋を鍛える前提として、のどに負担をかけないように避けてもらいたい生活習慣が三つあります。①ファストフードと炭酸飲料の組み合わせ、②アルコール度数の高いお酒、③たばこです。
 ファストフードと炭酸飲料は、脂に甘い炭酸水が加わることで胃酸が分泌されすぎて逆流し、「むねやけ」のみならず「のどがやけ」てしまい、声がかすれることも。日本人の5人に1人が「逆流性食道炎」にかかっているとも言われています。
 アルコール度数の高いお酒がのどを通ると、のどの粘膜が硬くなります。のどに負担がかかり、いわゆる「酒焼け」の状態になります。
 たばこは、喉頭(こうとう)がんのリスクを高めます。声筋を鍛えようと思ったら、前提としてたばこはやめてください。

いい声を保つ”オススメ習慣”

 「のどをいたわる」というと、のどあめをイメージする人も多いと思います。ただ、糖分の取りすぎにならないか心配です。糖分が含まれないミント風味の清涼菓子や、キシリトール配合のガムのほうがオススメです。
 のどのケアで大切なのは保湿です。歌手やアナウンサーは吸入器を使う人もいますが、お手入れが煩雑でしょう。そこで私は、「ぬれマスク」と「おしぼり加湿」を薦めています。
 ぬれマスクは、2枚のマスクの間に水でぬらしたガーゼを挟むだけ。お気に入りの香りのアロマを加えてもいいでしょう。素材は布マスクでも不織布マスクでもOKです。政府から配られた布マスクが自宅で眠っているなら、それを活用してもいいでしょう。
 おしぼりは、湯気が出るくらいのぬるま湯500ミリリットルに、塩5グラム、料理用の重曹10グラムを入れます。ぬらしたおしぼりを口にあてて呼吸し、苦しくなければ鼻にもあてて5分間のどを潤します。声帯の粘膜を塩で引き締め、重曹で表面をつるつるに。たんの切れもよくなります。

「電話でおしゃべり」のススメ

 新型コロナウイルスの影響で、外出を自粛している人も多いでしょう。声を出さないと声筋はあっという間に衰え、ひいては足腰も弱っていきます。そこで、家族や友人などに電話で話すことを薦めています。相手の声から体調の変化も推察できます。メールやSNSで交流している人も多いと思いますが、家族や友人に電話をして声を出す機会を増やしてみてはいかがでしょうか。
 そして、電話がかかってきたら、大きな声ではっきりと話すことを心がけてください。張りのある声で話すことで、自然に腹筋や背筋も使います。なかなか運動ができなくても、日々声を出すことで「ちりも積もれば山となる」となるはずです。

 次回は、自宅でできる簡単な声筋のトレーニング法をご紹介します。

 渡邊さんは8月8日(土)午後1時半~2時半、オンライン講座「『声筋』を鍛えるトレーニング」に出演します。リハビリシンガー種浦マサオさんとの共演。参加費は会員2530円、一般2750円。オンラインセミナーアプリ「Zoom(ズーム)」を使い、パソコンやタブレット、スマートフォンで配信が見られます。申し込みは主催の朝日カルチャーセンターのHPで。問い合わせは新宿教室(03-3344-1941)へ。

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  • 渡邊雄介
  • 渡邊 雄介(わたなべ・ゆうすけ)

    山王病院 国際医療福祉大学東京ボイスセンター長

    1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

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