更年期で2度目の声変わり?! 老化に負けない「声筋」トレーニング

山王病院東京ボイスセンター長 渡邊雄介さんに聞く(下)

2020.07.27

 年齢を重ねるにつれて、「声が老けた」と感じる人も多いのではないでしょうか。声はお化粧ができないので老化を隠すのは難しいですが、適切なケアやトレーニングで「声筋(こえきん)」を鍛え直せば、改善できるそうです。『声筋のすごい力』などの著作がある山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介さんに、治療やリハビリの現場で使われているトレーニング法を教わりました。

山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介医師
山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介医師

「声の老化」をどう乗り越えるのか

 声がかすれるようになったり、以前は出せた音域が出せなくなったりしていませんか? 声帯に長年の疲れがたまり、更年期による変化が加わり、張りのある声から老けた声に変わっていきます。個人差もありますが、年を重ねると男性は声が少し高くなり、女性は声が少し低くなります。更年期は「2度目の声変わり」とも言える時期。どうやって上手に乗り越えるか。声を出すのに必要な筋肉「声筋」は、何歳からでも鍛えることができます。努力次第で老化を遅らせたり、よみがえらせたりすることもできます。

呼吸も姿勢も整う「の↑の↓発声法」

 声筋を鍛える筋トレの方法を三つご紹介します。「の↑の↓発声法」は、呼吸も姿勢も整う包括的なエクササイズです。道具が不要で、誰でも簡単にできます。
 まず、口を小さくすぼめて、「のー」を低い音から高い音まで、鼻に抜けるように発声します。高い音から徐々に「のー」を低くしていきます。肺活量を増やすのが目的ではないので、声は長く延ばさなくていいです。10回を1セットにして、慣れるまで1日1~2セットでOKです。できれば1日3セットを2~3時間以上間を空けて行います。

高齢の人にもオススメ「ストロー発声法」

 「ストロー発声法」は、「の↑の↓発声法」よりも簡単なので、高齢の人にも勧めています。ただし、高血圧の人は控えてください。
 まず、ストローを1本、口にくわえます。「ウー」と5秒以上声を出します。できるまで繰り返します。次にストローを加えたまま、「の↑の↓発声法」の要領で「ウー」を低音から高音まで発声します。続けて高音から徐々に低音まで発声します。1日50回、2週間続けてみましょう。ストローは細いほど効果が出やすいのですが、細いと難しいので太めのストローから始めてみてください。

瞬発力を鍛える「イェイ!プッシング法」

 「イェイ!プッシング法」は、声帯がやせている、弱っている人にオススメです。瞬発力を鍛えるトレーニングです。
 まず、目の前で拝むように手を合わせます。両手を右と左からぐっと押し合うタイミングで「A(エー)」と発声します。続けて、同じように両手を押し合うタイミングで「B(ビー)」と発声します。さらに両手を押し合うタイミングで「C(シー)」と発声します。「エービーシー」を続けて5回繰り返します。
 このトレーニングは声筋の緊張を高めるので、一度に長時間するのでなく短時間で5回やりましょう。のどが潤っている状態でできるように、お風呂の中で実践するのもいいでしょう。 

 筋トレは、禁欲的にやってもなかなか続きません。近著の『声筋のすごい力』では、「ニャーオ法」や「風呂カラオケ」など、のどの柔軟性を上げたり声筋を鍛えたりするトレーニング法をたくさん紹介しています。音声治療の現場で使われているエビデンス(科学的根拠)に基づいた方法です。ゲーム感覚で楽しみながら挑戦し、のどのケアや声筋のトレーニングを習慣にしていきましょう。

 渡邊さんは8月8日(土)午後1時半~2時半、オンライン講座「『声筋』を鍛えるトレーニング」に出演します。リハビリシンガー種浦マサオさんとの共演。参加費は会員2530円、一般2750円。オンラインセミナーアプリ「Zoom(ズーム)」を使い、パソコンやタブレット、スマートフォンで配信が見られます。申し込みは主催の朝日カルチャーセンターのHPで。問い合わせは新宿教室(03-3344-1941)へ。

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  • 渡邊雄介
  • 渡邊 雄介(わたなべ・ゆうすけ)

    山王病院 国際医療福祉大学東京ボイスセンター長

    1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

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