メンタルヘルスの専門家が勧める効果的なストレス解消法

人生100年時代を生きるキーワード・ストレス解消法

2020.07.22
ストレス解消法

 人間関係や経済的な不安、仕事に関することなど、日常生活の中で、私たちがストレスを感じることがよくあります。最近では、新型コロナウイルスに対する不安から、より多くのストレスを感じている人もいるのではないでしょうか。

 今回は、ストレスの原因や効果的な解消法、やってはいけない解消法をご紹介します。楽しい人生が送れるように、原因を知って、上手にストレスを解消していきましょう。

<目次>

ストレスを解消するには原因を知ることから始めよう

 ストレスを解消するために、まずストレスとは何か、どんな人がストレスを感じやすいのかを知りましょう。

ストレスの原因とは?

 ストレスとは、心や体に圧がかかりゆがみが生じている状態をいいます。人は、人間関係や経済的状況、天候、疲労などさまざまな原因でストレスを感じます。

 ストレス過多の状態になると、不眠・抑うつ・気持ちの落ち込み、動悸(どうき)・めまい・肌荒れなどさまざまな症状が現れます。社会でも家庭でも抑圧が多く、年齢とともにホルモンの変化による体調不良が生じる点から、女性のほうが表面化しやすく、症状に現れやすいとも言われています。

 ストレスの主な原因を見ていくと、男性は仕事関係のことでストレスを感じやすく、女性は家族や人間関係のことでストレスを感じやすい傾向がありました。

40歳以上の男女が抱える悩みやストレスの主な原因
厚生労働省:平成28年国民生活基礎調査より

ストレスを感じやすい人の特徴は?

 ストレスの感じ方はひとそれぞれですが、敏感に感じる人には次のような特徴があります。

  • ・自己コントロールが苦手
  • ・真面目で完璧主義
  • ・自分の意見を曲げない頑固者、べき思考
  • ・周りの目を気にしすぎる
  • ・せっかち
  • ・ネガティブ思考
  • ・自己肯定感が低い
ストレスを感じやすい人の特徴

ストレスの原因を把握する方法

 ストレスは無意識のうちに蓄積されていくこともあります。ストレスの原因を把握するためにも、まずは自分自身の気持ちと向き合ってみましょう。普段から我慢したり、気を使っていたりしていると、少しずつ本当の自分が見えなくなってきます。今、自分が何を感じているのか?なぜイライラしてしまったのか?を相手に向けるのではなく、自分自身の心に目を向けてみてください。心の変化を見つけられるだけで、緊張状態が和らぐこともあるため、まずは、心や身体に負荷を感じた時、自分を大事に思うことからはじめてみましょう。

普段の生活で感じるストレスの解消法

 普段の生活でもストレスの原因となるものはたくさんあります。最近は、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、外出できないことがストレスとなった人もいるかもしれませんね。

 主なストレスの原因と、参考にしてほしい解消法を紹介します。自分に合ったストレス解消法を試してみてください。

よくみられるストレスの原因

  • ・友人や家族との人間関係
  • ・貯蓄や子どもの教育費など経済的不安
  • ・睡眠不足や偏った食事などの生活習慣
  • ・離婚、家族、ペットとの死別

 その他、新型コロナウイルス感染拡大予防のための外出自粛や今後の見通しに対する不安があげられます。

効果的なストレス解消法

 家事や仕事で睡眠がとれないと、睡眠不足に対するストレス、その原因で発生する小さな失敗に対してもまたストレスと、悪循環が生まれます。

いつもと違う…と感じた時は、まずゆっくり睡眠をとりましょう。

・自分自身の気持ちを誰かに話す

 自分の感情や思いを誰かに伝えることで、ストレスを解消させます。これは、カタルシス効果とも言われ、心の浄化作用があるのです。ストレスによる不安やイライラを、自分自身で落ち着かせることは簡単ではありません。心で感じていることを人と話し、人とのつながりを持つことで、安定させるのです。

・瞑想(めいそう)をする

 瞑想をすることは、リラックス効果だけではなく物事をポジティブに考えられるようになる、効果的なストレス解消法です。くよくよ考えたり、イライラしたり、心が落ち着かない日は、数分間でもいいので瞑想をしてみましょう。

 瞑想が難しい場合は、気づいた時にゆっくりと深呼吸をするのも良い方法です。1分間くらいの短い時間でも、呼吸を心で感じながらやってみてください。

効果的なストレス解消法

職場におけるストレスの原因と解消法

 ストレスの原因で最も多いのが、職場関係です。職場におけるストレスの主な原因と、ストレス解消法を紹介します。

職場におけるストレスの原因

  • ・慣れないリモートワーク
  • ・職場環境(勤務時間、通勤渋滞)
  • ・職場の人間関係(上司や部下との関係)
  • ・仕事内容(不本意な仕事、ノルマ、仕事量)
  • ・人事(昇進、降格、部署異動、転勤)

 最近では特に、コロナ不況による業績不振や雇用への不安があげられます。

職場での効果的なストレス解消法

・仕事に優先順位をつける

 たくさんの仕事をスムーズに解決し、進めることができれば、ストレスは解消されます。まずは今の仕事にきちんと優先順位をつけてみましょう。何から手を付けたら良いのかわからない人は、それだけでも精神的、時間的に余裕がなく、ストレスの原因となるのです。

・仕事の取捨選択をする

 せっかく優先順位をつけることができても、結局すべての業務をこなす責任を負っていては、ストレスが解消されないこともあります。本当にこの作業を自分がしなければならないのか?いま、やるべきなのか?ということを考えて、「この仕事はやらない」と思い切って取捨選択をすることも大切な解消法の一つです。

・職場と職場以外とのオンオフの切り替え

 仕事中は責任を持って徹底的に働くけれど、一歩でも職場から出たら電話は出ない、仕事のことは考えない。というくらい、極端にオンとオフを切り替えてみましょう。自宅にいても、つい頭の片隅に仕事のことを考えがちです。急にオフにすることが難しい場合は、仕事以外に夢中になれることを取り入れてみましょう。強制リセットするために、スポーツ・ゲーム・映画鑑賞・読書など、仕事以外のことに没頭できる時間をつくってみましょう。

 リモートワークでおうち時間が続いている方は特に、オンオフの境目がつけにくいかもしれませんね。家族や趣味のためだけに使う時間を作っていきましょう。

・ひとりで多くの仕事を抱え込まないようにする

 自分のキャパシティー以上に仕事を引き受けていませんか? 仕事量を自分に見合った適切な量にすることが、ストレスの解消につながります。

 断りきれず抱えた仕事はうまく進めることが出来ずミスが増え、さらなるストレス増加につながるので、出来ないことは出来ないと相談することが大切です。

・デスクを掃除する

 デスク周りがきれいに片付いていると、精神的にも落ち着き、書類などの探しものがすぐに見つかることで、ストレスも解消されるでしょう。

 使用頻度の高いものは見えやすいところに置く、必要な資料や書類は決まった引き出しに入れておく、いらなくなったものは処分する、などルールを決めて整理整頓を心がけましょう。作業がしやすくなるだけではなく、頭の中の整理にもつながります。

避けたいストレス解消法

注意が必要なストレス解消法は次のような場合です。

  • ・暴飲暴食
  • ・過度な飲酒
  • ・過度な買い物
  • ・ギャンブル

 自分が好きなことだからと「ストレス解消法」のつもりでやっていたとしても、度が過ぎると体調不良を招いたり、その反省がまたストレスに変わったりすることもあります。これではいつまで経ってもストレスが解消されません。もし、ひとりでストレスを上手に解消できなければ、無理をせず専門家に相談することをおすすめします。

自分に合った解消法を見つけてストレスと上手に付き合いましょう

 日常生活にはストレスの原因となることが多く、ストレスを完全に解消することは難しいかもしれません。しかし原因を知って、それに合った解消法を見つけることができれば、ストレスと上手に付き合って生活ができるようになるでしょう。思い当たることがあった時は、今回紹介してきた解消法を参考に、一度試してみてください。他にもストレスに対する解決方法を紹介した記事がありますので、こちらも合わせてご覧ください。

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(取材・文 山口 尚孝)

監修:大野萌子

  • 大野萌子
  • 大野 萌子(おおの・もえこ)

    一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャⓇ資格認定機関)代表理事

    一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャⓇ資格認定機関)代表理事、公認心理師、産業カウンセラー。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関等で、5万人に講演・研修を行った実績あり。著書、メディア出演多数。「よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑」(サンマーク出版)シリーズ50万部超のベストセラー。

    一般社団法人日本メンタルアップ支援機構ホームページ https://japan-mental-up.biz/

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