おときさん76歳パワーの源「未来へ届けたい歌がいっぱいある」

【Reライフ読者会議】加藤登紀子さんオンライン交流会トーク

2020.07.28

 新型コロナウイルスの影響で音楽イベントの自粛が続く中、先陣を切って1000人規模のライブを開催した加藤登紀子さん。7月15日のReライフ読者会議とのオンライン交流会では、ライブや曲に込めた思いから76歳のいまも現役の秘訣(ひけつ)まで、語っていただきました。心に刺さる「おときさん」の言葉をお届けします。

加藤登紀子さん交流会

歌は心で歌うもの、マスクしてたって心で歌える

 6月28日、東京・渋谷区のBunkamuraオーチャードホールで開催した「加藤登紀子 55th Anniversary concert 2020『未来への詩』with Yae」。開催するかどうか迷っていたが、1カ月前に緊急事態宣言が解除され、開催の条件がぴったり当てはまっていた。「雲の晴れ間のような一瞬の時期。不思議な不思議な、大切な大切な1日を天からいただいた」

  1曲目の「Rising」を歌い始めた瞬間、「1000人の会場に『ありがとう』という気持ちだった」と振り返る。

  ライブ中、「歌は心で歌うもの」と観客に語りかけた。「マスクしてたって心で歌えるわよって言った一言。酒瓶の中にたまった思いが、ふたを開けるとふわっと匂いたって出てくる。それが歌。口が開かないうちは中で歌い続けている。どんな人も体中に歌がある」

新型コロナで苦しむ人へ「この手に抱きしめたい」

 55周年コンサートのタイトル曲「未来への詩(うた)」。心に刻まれた思いを次の時代に伝えていくために、人々は歌をつくってきたと思う。「遠い時代から送られた宝物を、次の未来へも送り届けなきゃいけない。届けていきたい歌がいっぱいある。それを『未来への詩』と名付けました」

加藤登紀子さんコンサート
「加藤登紀子 55th Anniversary concert 2020『未来への詩』with Yae」撮影・山本倫子(6月28日、東京・渋谷区)

 「この手に抱きしめたい」は、4月13日、新型コロナが一番大変だった時期に作詞作曲した。YouTubeで公開したギターの弾き語りに賛同したアーティストがつながり、「加藤登紀子 with friends」としてオンラインでセッションした動画が話題だ。

 「感染者も死者も、ニュースでは数字でしかない。数字の向こうには、ものすごい苦しみがあり、たくさんの涙があり、医療関係者の苦闘があるのに、数字で受け止めている。その気持ちが自分の中にもよぎっていることがつらかった。現場にも行けない、数字でしか見ていないような私に歌う権利があるのか、届く歌がつくれるのかと思ったけれど、たくさんの方と一緒に歌うことができてうれしかった」

加藤登紀子さん交流会

  森繁久彌さんの楽曲で、人気ナンバーとなった「知床旅情」に出会った意外なきっかけも語った。「後に結婚する藤本敏夫という男が初めてキスをした日に歌ってくれたの」と照れながら告白。「人の出会い、運命との出会いは思いがけないことの連続。人生というのは、限られたいくつかの瞬間が決めていくものなんだと改めて思う」

悲しいと思う気持ちを大切にして乗り切って

 夫を亡くした友人をどう励ませばいいかという相談には、自身の経験を語った。

 18年前に夫が逝ったとき、一番寂しかったのは1人で食べる朝ご飯。しばらく食べることができなかった。そんなとき、夫が農場でみそをつくっていたと知って持ち帰り、食べられるようになった。「何かつながっているというか、一緒にいることができる縁(よすが)があるとすごく元気になれる」

 76歳になり、「あの世はそんなに遠くないな」と思う。「人がこの世を去っていくのは卒業みたいなもの。みんな卒業証書をもらってあの世にいく。遠距離恋愛のつもりでいたらいいのではと言ってあげて」

  23歳で戦死した詩人の竹内浩三が書いた手紙の一節も紹介。「彼女に振られたとき、こんなに悲しいことがあったのだから、悲しまなければ損だと書いている。悲しいときには悲しいと思う気持ちを大切にして乗り切ってほしい」

去年より今年の方がちょっとプラスでいたい

加藤登紀子さん交流会

  いまも現役歌手の秘訣(ひけつ)を聞かれ、「ずっと若いから」と笑わせる場面も。

 50の坂を越えるころが、若さがなくなっていくようで、一番不安だったという。そのころからボイストレーニングやストレッチを始めた。「去年より今年の方が腕があがるようになったとか、足が広がるようになったとか、ちょっとプラスになったと思って生きていきたい。生きることに頑張るようになりました。50歳のころよりも今の方がちょっと若いです」

 今年の正月には、自宅と事務所があるマンションのエレベーターを使わないと目標を立てた。「『地球温暖化』って8段ずつ数えながら、温暖化を防ぐため、階段を上り下りしています」

  • 加藤登紀子
  • 加藤 登紀子(かとう・ときこ)

    歌手・女優

    1943年生まれ。「ひとり寝の子守唄」「百万本のバラ」「知床旅情」などのヒット曲で知られる。女優として映画「居酒屋兆治」のほか、声優としてアニメ「紅の豚」にも出演。11月下旬以降は、大阪(29日)、横浜(12月2日)、東京(同26、27日)などで「加藤登紀子 ほろ酔いコンサート2020」を開催予定。

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