<連載> 映画に学ぶ「残された時間の歩き方」

悔いのない人生のために考える 「死ぬまでにやりたいこと」

映画「最高の人生の見つけ方」を見て作る人生のリスト

2020.09.25

 それは、いつか実現させたくて、心の中で温め続けている計画? 若い頃、やりたくても果たせなかったこと? 自分に残された時間を思う時は誰でも、そうした様々な「夢」の実現可能性に思いをはせるのではないでしょうか。人材コンサルタントの田中和彦さんと考える「残された時間の歩き方」。今回は、同じ原作を元につくられた、洋邦2作品を通して、あなたが「死ぬまでにやりたいこと」について考えてみましょう。

 「残された時間の歩き方」というこの連載タイトルから想起される映画といえば、なんといっても「最高の人生の見つけ方」でしょう。
 オリジナル版は2007年のハリウッド映画で、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの共演でした。昨年秋に公開されたリメイク版の日本映画は、吉永小百合さんと天海祐希さんが2人の主人公を演じ、設定が男性から女性に変更されていました。
 物語は、余命宣告された2人が意気投合し、「死ぬまでにやりたいことリスト」を作り、残りの人生の時間を悔いのないように生き抜けるという内容。旅行してピラミッドを訪ねたり、スカイダイビングに挑戦したり、そして行き来の途絶えた家族との関係修復へ……と、笑いあり涙ありのウェルメイドな作品でした。オリジナル版の「人は生き、人は死ぬ。世の中はその繰り返しだ」というセリフも印象に残りました。

映画「最高の人背の見つけ方」(邦画)劇中写真
旅を楽しむ2人を演じる天海祐希(左)と吉永小百合 (日本版)©2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会

 実は、ハリウッド版の映画に触発されて「死ぬまでに行きたい旅行先リスト」を作ったご夫妻がいます。
 数年前の週末、レンタルDVDで「最高の人生の見つけ方」を見終わった2人は、顔を見合わせると、どちらからともなく「死ぬまでにやりたいことって何?」という会話になりました。たしかに、それも自然の流れだとうなずける話です。
 妻のKさん(65)は、「あの約束、まさか忘れていないでしょうね?」と、夫のTさん(68)に迫ったそうです。Tさんは結婚前、Kさんが旅行したがっていたフランス西海岸にある世界遺産、モンサンミシェルに「結婚したら一緒に行こう」と誓っていたのです。
 2人が、サン・マロ湾の小島の上にそびえたつモンサンミシェル修道院を訪れたのは、その半年後のことでした。忘れられない素晴らしい旅になったことは言うまでもありません。3人の子供も独立し、時間も自由な夫妻は、シーズンオフを狙えば、格安ツアーでいろんな場所に行けることを知りました。
 それ以降、世界遺産を中心に「死ぬまでに行きたい旅行先リスト」を作り、海外と国内とを隔年で旅行しています。これまで屋久島、アンコール・ワット、白川郷を制覇し、今年はスペインのサグラダ・ファミリアの予定でしたが、コロナ禍の影響で延期したとのこと。
 目下の夫妻が解決すべき論争点は、「来年は海外と国内の両方に行くのか、それともすべての計画を1年後ろにずらすのか」だそうです。ほほ笑ましいというか、うらやましいというか、素敵な「死ぬまでにやりたいこと」の話ですよね。

映画「最高の人生の見つけ方」
病室で知り合い意気投合する2人を演じるモーガン・フリーマン(右)とジャック・ニコルソン (米国版) ©2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

 さて、映画に話を戻すと、オリジナル版の主人公は自動車整備工(モーガン・フリーマン)と実業家の大富豪(ジャック・ニコルソン)。リメイク版では、人生のほとんどを「家庭」に捧げてきた普通の主婦(吉永小百合)と、人生のほとんどを「仕事」に捧げてきた社長(天海祐希)という設定でした。本筋はほぼ同じなのですが、ラストシーンの「リストに最後に残ったやりたいこと」については、リメイク版に大胆な(スケールの大きい?)設定変更がありました。まあ、それは言わぬが花……。ぜひ、ご自身でお確かめください。
 男性はオリジナル版に、女性はリメイク版に共感するようです。夫婦で洋邦2作品を見比べてみるというのも一興かもしれません。そのうえで、一緒に「リスト」を作ってみてはいかがでしょうか? 残された時間が充実すること、間違いなしだと思います。

今回登場した映画について

  • 映画「最高の人生の見つけ方」
    © 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
  • 「最高の人生の見つけ方」(2007年 アメリカ)
    発売・販売元 ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
    ©2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
    ブルーレイ ¥2,381+税 / DVD ¥1,429 +税

    デジタルレンタル中、ダウンロード販売中

  • 映画「最高の人生の見つけ方」(邦画)DVD初回ジャケット
    ©2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会
  • 「最高の人生の見つけ方」(2019年 日本)
    発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
    販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント(9月まで)
        NBCユニバーサル・エンターテイメント(10月から)
    ©2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会
    【初回仕様】ブルーレイ プレミアム・エディション  /6,980 (税込)
    【初回仕様】DVDプレミアム・エディション /5,980 (税込)
     通常版DVD /4,980 (税込)

    デジタルレンタル中、ダウンロード販売中

  • 田中和彦
  • 田中 和彦(たなか・かずひこ)

    人材コンサルタント/プロデューサー/(株)プラネットファイブ代表取締役

    1958年、大分県生まれ。一橋大社会学部卒業後、リクルートに入社。「週刊ビーイング」「就職ジャーナル」など4情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社ギャガで映画プロデューサー、キネマ旬報社・代表取締役を経て、現職。キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『「定年サバイバル時代」の働き方ルール』(朝日新聞出版社)、『50歳から男振りを上げる人』、『42歳からのルール』(明日香出版社)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。

  • この連載について / 映画に学ぶ「残された時間の歩き方」

    映画はこれまで、実に様々な人生を描いてきました。映画の数だけ、違った人生の形があるとも言えます。人生100年時代。第二の人生を、いかに充実したものにしていくか。そんな「残された時間の歩き方」のヒントを、古今東西の映画をお手本にしながら考え、お届けする連載です。

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