<連載> 専門家のお悩み相談室

遺骨がまだ家にあります お墓のベストな場所はどこ?

シニア生活文化研究所所長・小谷みどりさんが疑問に答えます(9)

2020.09.18

 人生の終末期は、誰にでも訪れます。少子高齢化による「多死社会」を迎える中、弔いのあり方も多様化しています。あなたは、ご自分のお墓をどうしたいと考えていますか? Reライフ読者会議メンバーの疑問に、Reライフ.netで「”ひとり死”時代の葬送と備え」を連載した、シニア生活文化研究所長の小谷みどりさんが答えます。

お葬式イメージ

Q:愛知県の50代女性からの質問

 父が1年前に亡くなり、葬式、法要など、きちっとやってきましたが、お墓を買っていなくて、遺骨が購入した仏壇の横にあります。 なぜなら、和尚さんがあと数年で引退して、誰も跡を継がないという噂(うわさ)があるからです。 長男の弟が、母も亡くなったら一緒に埋葬しようと考えているようですが、お参りしやすい場所など、お墓にとってベストな場所はあるのでしょうか。

A:小谷さん「慌てて納骨しなくてもいいのです」

 遺骨を自宅にずっと安置することは、法律上は問題ありません。「自宅にあると気持ちが切り替えられないからよくない」「成仏しない」という人もいますが、価値観は人それぞれです。私自身は、慌てて納骨する必要はないと思います。

 お墓は、遺骨を安置する場所ですが、遺(のこ)された人にとっては故人を偲(しの)ぶ場所です。お墓参りをすると、気持ちがすっきりしたと感じる人は少なくないでしょう。

 したがって、お墓は遺された人がお参りしやすい場所にあるのがベストです。お参りするのに時間も交通費も労力もかかれば、頻繁にはお墓参りできません。自家用車でしか行けない郊外の墓地や、急斜面に立っているお墓も、高齢になると、思いたった時に気軽に行くことができません。

 とはいえ、「海を見下ろせる場所がいい」「自然に囲まれた立地がいい」といった希望もあるでしょう。寺院墓地、公営墓地、民営墓地かという選択もあります。屋外のお墓ではなく、屋内型の納骨堂がいいという方もいます。血縁を超えた人たちの遺骨を安置する共同墓や、墓石の代わりに樹木をたてる樹木葬型の墓地がいいという方もいます。

 こうしたお墓はすべての墓地にあるわけではありません。どのようなお墓に納骨したいのか、イメージや費用を家族で話し合い、いくつかの候補から公共交通機関などで気軽に行きやすい場所を選んではいかがでしょうか。

<こんな声も寄せられました>

  • ・親の代で墓じまいをして、私は散骨、樹木葬か遺骨のかけらを娘たちの手元に置いてもらいたいと思っています。その準備は私が元気なうちに、どのように始めたら良いのでしょうか。(奈良、60代女性)
  • ・入るお墓がない。墓じまいは必要ないのですが、 遺骨の始末をどうするのか悩ましい。(大阪、70代女性)

<専門家のお悩み相談室 シニア生活文化研究所長・小谷みどりさんが答えます>

  • 小谷みどり
  • 小谷 みどり(こたに・みどり)

    シニア生活文化研究所長

    大阪府出身。博士(人間科学)。専門は生活設計論、死生学、葬送問題。2018年末まで第一生命経済研究所に25年余り勤務。国内外のお墓や葬儀の現場を歩き、その実態や死生感の変化などを著書などで伝えている。著書に『<ひとり死>時代のお葬式とお墓』(岩波新書)、『ひとり終活』(小学館新書)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。奈良女子大学、立教セカンドステージ大学で講師をするほか、身延山大学、武蔵野大学の客員教授も務める。

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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