<連載> 今日から始める“ 腸” 寿生活Q&A

ヨーグルトの効果的な食べ方は? 「合う・合わない」どう見分ける?

消化器病専門医・松井輝明さんに聞く「腸活・大腸ケア」(8) 腸活食材・ヨーグルト

2020.10.07

 腸内環境を整える「腸活食材」として真っ先にあがるのがヨーグルトです。ただし、ひとによって「合う・合わない」があるといいます。どんな食べ方、選び方をしたらいいのか。消化器病専門医で帝京平成大学教授の松井輝明さんに聞きました。

ヨーグルト

生きた菌、腸に届けて定着菌を補佐

――「発酵食品が良いと聞いて、ヨーグルトを毎朝とっている。効果的な食べ方や食べる時間帯などを教えてほしい」(60代男性)など、腸活に効果的なヨーグルトの食べ方、選び方について、とくに多くの質問が寄せられました。

 腸活食材には大きく二つのカテゴリーがあります。ひとつは、よい腸内細菌が活発に活動できるようにする食材です。善玉菌(有用菌)のエサになる水溶性の食物繊維がこれにあたります。腸内フローラという畑の土壌を良くするための食材です。

 もうひとつが、腸内に定着している有用菌と同様の働きをする細菌そのものが入った食品で、乳酸菌やビフィズス菌入りのヨーグルトはその代表格です。こちらは腸内フローラに花を咲かせるための種まき食材といえるでしょうか。

 もともと乳酸菌は大腸の入り口近くの小腸に、ビフィズス菌は大腸の奥にある腸内フローラに主に生息しています。こうした腸内細菌と一緒になって活動してもらうのが目的で、最近は菌が生きたまま腸まで届くというものが少なくありません。とくにビフィズス菌は酸素が大嫌いなため、普通の発酵食品には含まれず、ヨーグルトは貴重な食材といえます。

朝イチ・空腹時を避け 食後や間食で

――効果的な食べ方や時間帯はありますか。

 乳酸菌やビフィズス菌を生きたまま腸に届かせるには、胃酸や胆汁が少ないときに食べるほうがいいでしょう。胃酸の出方が一番落ち着くのは、食後2時間ほどたってから。それから少したつと、今度は胆汁が出始めます。ですので胃酸や胆汁の影響を少なくするには、食後2~3時間ぐらいがいちばんいい時間帯です。

 空腹時、とくに朝食前は胃酸が最も多いので、朝起きて最初にヨーグルトを食べるというのは、腸活としては、あまり望ましくない。食事をしたあとのデザートにするか、あるいは食後2~3時間たったころ、次の食事までの間食として食べるのがおすすめです。

――「腸活のためにヨーグルトを食べる場合、同じヨーグルトを食べ続けなければ意味がないと見聞きしたのですが、本当でしょうか」(50代女性)、「人によって有効とそうでない種類があると聞きます。それを見極める方法が知りたいです」(50代女性)といった質問も寄せられました。

効果の確認、最低でも1週間かけて

 どのヨーグルトが自分にあっているかは、ある程度、食べ続けてみないとわかりません。1回、2回食べただけでは、効果は表れません。最低でも1週間、できたら10日~2週間、おなじヨーグルトを食べ続けてみて、変化が実感できるかどうかを確かめてみてください。

 何が変わるかというと、5日目ぐらいから力まずにすーっと便がでるようになる。そして便がくさくなくなります。こうした効果が確かめられたら、毎日、食べ続けるようにしてください。逆に10日間、同じ製品を食べ続けても変化が感じられないときは、ほかのヨーグルトを試してみましょう。

――効果が感じられる場合は、そのヨーグルトに入っている菌が腸内にすみついたから、ということですか? 「ヨーグルトを食べても、菌は通過するだけという話を聞きました」(50代男性)という質問がきています。

 食品として摂取した菌はたとえ生きたまま腸まで届いたとしても、腸内に同じ系統の菌がすみついていない限り、数日後には、便と一緒に排出されます。同じ仲間が腸内にいて引き留めてくれないと、定着するのは難しいのです。

 たとえば乳酸菌は菌の種類が350~400種あり、ビフィズス菌でも30~40種、腸の中に定着している菌とヨーグルトに入っている菌が完全に一致することはあまり期待しないほうがいい。ただし、生きて腸に届いていれば、排出されるまでの間、腸内にすみついた菌と同じように働くので、効果が感じられたときは、取り続けることが大切です。

プロバイオ+プレバイオ=シンバイオ

 もうひとつ、心掛けてほしいのが、エサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖などを一緒にとることです。最初に説明した畑づくりの食材で、腸活のための車の両輪となります。腸に届くまでに死んだ菌も腸内にすむ善玉菌のエサになるので、腸内環境を良くするのに役立ってくれます。

 善玉菌を育てる畑づくり食材のことを「プレバイオティクス」、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌そのものを「プロバイオティクス」ともいいます。そして、この二つを組み合わせ同時にとるのが「シンバイオティクス」です。ヨーグルトでも、食物繊維が豊富な果物や豆類などをトッピングしたり、オリゴ糖を含むはちみつをかけたり、お好みでアレンジしてみてください。

 Reライフ読者会議メンバーから募集した「腸活・大腸ケア」や「便通」に関する疑問に、消化器病専門医の松井輝明さんが答えます。次回は「便通をよくする運動とは?家でもできる体操は?」を取り上げます。

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  • 松井輝明
  • 松井 輝明(まつい・てるあき)

    帝京平成大学教授・医学博士

    日本大学医学部卒業。医学博士。日本大学板橋病院消化器外来医長、日本大学医学部准教授を経て現在、帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 健康科学研究科 健康栄養学専攻長 教授。日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、消化器一般、機能性食品の臨床応用を専門に研究。著書に「大腸活のすすめ~腸は自分で変えられる」(朝日新聞出版)など。

  • この連載について / 今日から始める“ 腸” 寿生活Q&A

    全身の健康の要ともいわれる「腸」と「腸内フローラ」。いつまでも健康でいるために、“知っているようで知らない”素朴な疑問について、専門家の先生にわかりやすく答えてもらいました。

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