<連載> 専門家のお悩み相談室

お寺や墓地の運営会社が破綻したら、お墓はどうなるの?

シニア生活文化研究所所長・小谷みどりさんが疑問に答えます(12)

2020.10.30

 人生の終末期は、誰にでも訪れます。少子高齢化による「多死社会」を迎える中、弔いのあり方も多様化しています。あなたは、ご自分のお墓をどうしたいと考えていますか? Reライフ読者会議メンバーの疑問に、Reライフ.netで「”ひとり死”時代の葬送と備え」を連載した、シニア生活文化研究所長の小谷みどりさんが答えます。

墓地運営会社の破綻

Q:千葉県の50代男性からの質問

 墓地の運営会社が破綻して、後を引き継ぐ会社がない場合、お墓はどうなるのですか。

A:小谷さん「勝手に動かされることはないが、補修など問題が出る恐れ」

 墓地の管理運営者は法律で、地方自治体、宗教法人、公益法人であることが定められています。お墓は継承を前提としている以上、墓地には永続性が求められます。そのため、経営者が破綻しないよう、営利目的の株式会社などは墓地を経営できません。

 しかし実際には、登記上の経営者は宗教法人であっても、実質上は石材店や開発業者が運営をしているメモリアルパークが都市近郊にはたくさんあります。いわゆる名義貸しです。またお寺が実際に経営していても、檀家や信者以外でも買える宗教不問の墓地や納骨堂もあります。

 この20年だけでも、いくつもの墓地や納骨堂が経営破綻しています。経営主体が宗教法人だからといっても安心ではありません。自治体が運営する公営墓地でも、夕張市のように破綻する例もあります。

 とはいえ、墓地の経営を辞めるには、お墓の使用者の承諾が必要で、かつ改葬がすべて完了してからでなければ許可されません。経営する財団法人が破綻し、20年以上もそのまま存続する墓地が横浜市内にありますが、敷地内では台風被害の補修修繕まで手が回らないのが現状です。

 一方、経営が引き継がれ、墓地を継続して使用できる場合は、使用料が値上げされる場合があります。いずれにしろ経営者が破綻しても、すでに建っているお墓が勝手に動かされることはまずありえません。

<こんな声も寄せられました>

  • ・墓じまいをして共同のお祈りをしてもらえるようなシステムに興味があるが、お金の支払いやシステムについて知りたい。その施設が経済的に破綻したらどうなるのか不安。(栃木、50代女性)
  • ・都内には便利さを売りにした室内陵墓が建設されていますが、経営的に生き残っていけるのか疑問に思っています。法人としての室内陵墓が破産した場合や経営権が譲渡された場合、預けられている骨つぼの扱いはどうなるのでしょうか。(東京、70代男性)
  • ・お寺の経営が厳しく、永代供養の費用を払っていても破綻するかもしれないという記事を雑誌で読んだ。もし契約したお寺がそんな状態になったら保証はどうなるのでしょうか。新たなお寺と一から費用も含めて契約しなおしになるのですか。(兵庫、60代性別その他)
  • 小谷みどり
  • 小谷 みどり(こたに・みどり)

    シニア生活文化研究所長

    大阪府出身。博士(人間科学)。専門は生活設計論、死生学、葬送問題。2018年末まで第一生命経済研究所に25年余り勤務。国内外のお墓や葬儀の現場を歩き、その実態や死生感の変化などを著書などで伝えている。著書に『<ひとり死>時代のお葬式とお墓』(岩波新書)、『ひとり終活』(小学館新書)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。奈良女子大学、立教セカンドステージ大学で講師をするほか、身延山大学、武蔵野大学の客員教授も務める。

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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