年齢による定年制 60代で「反対」急増、50代の1.5倍に

還暦からの働き方アンケート(中)定年制の是非、50代と60代の違いはどこから

2020.11.16

 あなたは年齢による定年制をどう考えますか? 「還暦からの働き方」アンケートの一環として、「年齢による定年制」の是非について、朝日新聞Reライフプロジェクトが読者会議メンバーの皆さんにたずねたところ、「反対」と答えたひとの割合が、60代では3割を超え、50代の約1.5倍に達する結果になりました。

定年制の賛否

定年制「反対」50代は21%、60代は32%

 第二の人生の生き方・働き方について、アクティブシニアのひとたちが、どう考えているかを探るアンケートの一環で「日本の企業や役所などの多くは年齢を区切った定年制を採用しています。あなたは定年制をどう思いますか」と質問しました。これに対し、回答をよせた272人のうち、年齢による定年に「賛成」が44%、「反対」が28%、「よくわからない」が同じく28%で、賛成が反対よりも6割近く多い形になりました。

 しかし、賛否の割合を年代別にひもといてみると、50代と60代では、この比率が大きく異なっていました。

年代別の定年制賛否

 まず50代では「賛成」が49%とほぼ半数をしめ、「反対」は21%にとどまっていました。これに対し、60代では「賛成」の回答が39%まで低下、かわりに「反対」が32%と、50代の1.5倍に跳ね上がっていました。

 65歳定年が広がるなか、60代は、定年を目前に控えたり、定年を迎えたりの最中にあります。その体験のなか、年齢による一律の定年に疑問を感じるひとが増え、制度に反対する割合が大きく上昇したといえそうです。

 一方、男性と女性で違いがあるかをくらべると、男性全体の「賛成」は45%、「反対」28%、女性は「賛成」44%、「反対」26%で、どちらも全回答者の賛否とほぼ同じ比率になりました。50代、60代の賛否を男女別でみても、それぞれの世代の賛成・反対の比率と大きな違いはありませんでした。

賛成派「区切りになる」「後進に道を」

 では、定年制に対する賛成・反対それぞれの理由はなんでしょうか。賛成の理由として多かったのは、大きく二つ。「働くうえで一つの区切りとなる」という考え方と、「次世代にバトンタッチさせるために必要」という意見です。

 「腕に技術をもった人は自分で区切りを付けられるが、サラリーマンはけじめをつけられない。定年後は自分や自分たちの生活を送るために必要だと考えます」(60代後半男性)、「自分では若いつもりでも、体力や行動力、思考力などは衰えているのを感じる。若い人たちの足をひっぱたり、お荷物になるのだけは避けたいから、定年は区切りだと思う」(60代前半女性)、「区切りがあった方が、何かと便利。公平性、透明性などは、事前の取り決めがあって初めて成り立つ」(60代後半男性)。区切り派の方からは、こうした声が寄せられました。

 バトンタッチ派は「上の世代がいつまでも残っていると若い世代が就職できない」(50代後半女性)、「後進に道を譲るのも大切だと思うから」(50代後半男性)と考えています。「組織面で強制的な入れ替えが必要。定年制がないと一部の人間が組織に居座る可能性が高い」(60代後半男性)、「次世代に仕事を譲っていかないと、若年層のポストが確保できない。働ける間はポストにしがみつく人も多い。そういう人たちのポストを次世代に円満に譲ってもらうという意味では、定年制も必要だと思う」(60代前半女性)などの声も寄せられました。

 定年制への賛成意見のなかには、制度の仕組みそのものは、もっと時代に即した形に変えるべきだとする声もあります。「人生100年時代となったいま、定年をのばすのではなく、40代から50代の折り返し点で、これからの半分をどう過ごしたいのか、棚卸する仕組みづくりが企業内や地域に必要」というのは、60代前半の男性です。「そこを早く明確にできた人から、新たな仕事をするなり、起業するなり、社会貢献するなりをやっていけばどうか」

60代の反対の声「一律はおかしい」

 一方、定年制への反対意見として多いのは、一律の年齢制ではなく、「個人の状況」にあわせて定年を決められるような制度を求めるものでした。

 「60歳以降は個人差がありすぎます。そこを一定の年齢で輪切りにすることは実態に即していません。もう年齢で輪切りにする時代ではないと思います」(60代後半男性)、「仕事の能力は、経験を重ねて培われる部分もある。年齢で区切るのではなく、能力を加味してほしいと思う」(60代後半女性)、「一律の定年ではなく、個人が組織と協議して、オーダーメイドの定年制度が必要な時代になっている」(60代前半男性)。

 こうした意見は、とりわけ60代の方から数多く寄せられていました。

 背景には、実際に定年を迎えたあと、次の仕事が思うように見つからないことへの不満やいらだちがありそうです。60代前半の女性は、こう記しています。「若い年代が働くためには上の高齢者がリタイアしないといけないことは理解してます。が、いざ自分が働こうと企業に連絡すると、年齢で先に進めないのが辛いです」

 調査は、読者会議メンバーを対象にReライフプロジェクトのwebサイトで2020年9月1日~14日に実施。有効回答は272人(男性51%、女性49%)。年代別では49歳以下8%、50代36%、60代42%、70代12%、80代以上2%。

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