<連載> 専門家のお悩み相談室

国土が狭い日本で、お墓が増え続けても大丈夫?

シニア生活文化研究所所長・小谷みどりさんが疑問に答えます(14)

2020.11.27

 人生の終末期は、誰にでも訪れます。少子高齢化による「多死社会」を迎える中、弔いのあり方も多様化しています。あなたは、ご自分のお墓をどうしたいと考えていますか? Reライフ読者会議メンバーの疑問に、Reライフ.netで「”ひとり死”時代の葬送と備え」を連載した、シニア生活文化研究所長の小谷みどりさんが答えます。

お墓参りで手を合わせる

Q:神奈川県の40代女性からの質問

 国土が狭い日本で、お墓が永久に増え続けても大丈夫なのでしょうか。

A:小谷さん「土葬に比べて、火葬は省スペースな埋葬方法」 

 日本の火葬率は99%を超え、世界有数の火葬大国です。一つの墓石の下に複数の遺骨を納める形態は、土葬に比べれば省スペースです。しかし、高度成長期に地方から都市部に流入してきた人たちが1980年後半以降、続々と定年退職を迎え、新たにお墓を必要とするようになると、東京のような大都市では「墓地が足りない」という現象が起きました。

 これから20年間は死亡人口が増加するため、墓地がますます不足するのではないかと思われがちですが、大阪市の市営墓地では数年前から、すでにお墓を建てた人からの返還数、いわゆる墓じまいが、新しく建ったお墓の数を上回っています。実際に全国の墓地は、1996年から2018年までの間に4000カ所も減少し、代わって納骨堂が1000カ所増加しています。

 昨今、「継承を前提としない合葬墓がいい」「納骨堂でいい」「お墓はいらない」など、お墓に対する意識が多様化し、死亡人口の増加と新規の建墓件数は比例しなくなっています。とはいえ、核家族化や過疎化などで、無縁墓がこれから増えていくのは明らかです。

 同じく国土が狭い台湾や韓国では、ここ20年で土葬から火葬に移行し、樹木葬や散骨が推奨されています。土葬をする欧米では、墓所の使用期限が定められ、土地のリサイクルが徹底されている国があるほか、ここ数年、遺体のコンポスト化やアルカリ加水分解、液体窒素による凍結乾燥など、遺体や遺骨を残さず、環境に優しい方法が研究されています。

 日本でも、環境問題の観点からも、持続可能なお墓のあり方を考える必要があるのかもしれません。

<こんな声も寄せられました>

  • ・狭い日本に、お墓があふれています。30年ほど前、高尾山のふもとに親(次男だったので)が墓を買った時、墓地の数は三つくらいでした。父が亡くなった15~16年前には16に増えていました。お墓だらけです。無縁仏も増えています。解決策はないのでしょうか。(大阪、70代女性)
  • 小谷みどり
  • 小谷 みどり(こたに・みどり)

    シニア生活文化研究所長

    大阪府出身。博士(人間科学)。専門は生活設計論、死生学、葬送問題。2018年末まで第一生命経済研究所に25年余り勤務。国内外のお墓や葬儀の現場を歩き、その実態や死生感の変化などを著書などで伝えている。著書に『<ひとり死>時代のお葬式とお墓』(岩波新書)、『ひとり終活』(小学館新書)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。奈良女子大学、立教セカンドステージ大学で講師をするほか、身延山大学、武蔵野大学の客員教授も務める。

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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