<連載> 専門家のお悩み相談室

60歳で住宅ローン残高2000万円超、退職金で一括返済してもいい?

ケース1 Aさん(東京、55歳女性)の場合(上)

2020.12.02

 新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちのお財布事情も先行き不透明に。しかし、ピンチの時こそ、働く世代も年金世代も家計を見直すチャンス。Reライフ読者会議メンバーから寄せられた悩みに、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんがZoomで家計改善のコツをアドバイスしました。

住宅ローン

退職金は大切な老後資金 一括返済は慎重に

 今回の相談者は、新型コロナウイルスの影響でパートを休職中という東京都在住のAさん(55歳)。今年は夫が60歳で定年退職を迎え、嘱託として働き続けるものの給料が大幅に減ることに。住宅ローンの残高が約2100万円あり、毎月12万円(ボーナス時30万円)の返済が80歳まで続きます。夫婦で参加したZoom家計相談の冒頭で、「退職金と貯金で、一括繰り上げ返済を考えています」と切り出しました。

家計診断Aさん

 この悩みに、ロングセラー『住宅ローンはこうして借りなさい』の著書がある深田さんは「退職金で一括繰り上げ返済をするのは、慎重に考えたほうがいいです」と答えました。退職金をローン返済に充ててしまうと、今後の老後資金がなくなってしまうからです。深田さんは「退職金は年金収入を補完するための大切な老後資金なので、できるだけ温存してください」と話し、老後資金を確保しながら住宅ローンの負担を減らす案を二つ”伝授”しました。

ローン返済概念図 (1)
繰り上げ返済の概念図©深田晶恵

【プラン①】期間短縮型

 月12万円の住宅ローン返済を続けながら、1500万円で「期間短縮型」の繰り上げ返済を実行します。1500万円を繰り上げ返済すると、完済年齢が80歳から65歳に早まるため、年金生活までにローン返済を終えられます。
 60代前半は何とか家計の赤字を出さず、今のローンを返済していく案です。現在の貯蓄額の700万円と退職一時金1850万円の計2550万円のうち、1500万円を繰り上げ返済に投入したとしても、夫が65歳になって完全な年金生活になったときに、手もとに老後資金が1050万円残る計算になります。

【プラン②】返済額軽減型

 もし、再雇用後の収入が大幅にダウンして、ローン返済を続けると家計の年間収支が赤字になりそうな場合は、1000万円を投入して「返済額軽減型」の繰り上げ返済をする方法も。これで毎月の返済額を約半分の5~6万円に圧縮し、ボーナス月は12万円を返すようにして、年間約90万円を80歳まで返していきます。月々の返済額は軽減できますが、返済期間が短くならないので、ローン返済は年金生活まで持ち越すことになります。

深田さんZoom診断_1
Zoomで読者に家計ワンポイントアドバイスをする深田晶恵さん

期間短縮 vs 返済額軽減 どちらが現実的?

 深田さんの提案に、Aさんの夫は「コロナで経済状況が悪化していますし、いつまで健康で働けるかと思うと、プラン①の『期間短縮型』の方が現実的だと思います」。深田さんも「期間短縮型だと、毎月の住宅ローンの返済額は重いのですが、再雇用としては給与収入が多い方なので、これから5年間を頑張って65歳までにローンを終えられると一安心できますね」と話しました。

 →次回は、老後資金の目安になる計算方法を教わります。

<深田晶恵さんの記事>

  • 深田晶恵
  • 深田 晶恵(ふかた・あきえ)

    ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士) (株)生活設計塾クルー取締役

    1967年、北海道生まれ。外資系電機メーカー勤務を経て96年にFP資格を取得。現在は、特定の金融機関に属さない「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けのコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。ダイヤモンドオンラインなどでマネーコラムを連載中。著書に『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』『かんたん年金家計ノート 2022』『まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方』など。

    深田晶恵さんのウェブサイトはこちら

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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