<連載> 専門家のお悩み相談室

夫が定年して給料減、妻はコロナで収入ゼロ 老後資金はどう計算

ケース1 Aさん(東京、55歳女性)の場合(中)

2020.12.09

 新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちのお財布事情も先行き不透明に。しかし、ピンチの時こそ、働く世代も年金世代も家計を見直すチャンス。Reライフ読者会議メンバーから寄せられた悩みに、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんがZoomで家計改善のコツをアドバイスしました。

貯金箱

60歳以降に経験する「収入ダウンの崖」

家計診断Aさん

 今回の相談者は、新型コロナウイルスの影響でパートを休職中という東京都在住のAさん(55歳)。Zoom家計診断には、定年退職したばかりのAさんの夫(60歳)も同席しました。連載1回目で住宅ローンの返済プランの助言を受けた後、すかさず「住宅ローンを完済したとして、今後どんな老後資金のリスクがありますか」と尋ねました。
 深田さんは「私は60歳と65歳の収入の変化を『収入ダウンの崖』と呼んでいます。60歳以降に再雇用制度で働いたとしても、年収は50代の半分以下、人によっては3分の1程度まで減ります。2回目の崖は、65歳で年金だけの生活になったときです」と話し、イメージ図を見せてくれました。

収入ダウンの崖
©深田晶恵

 さらに、「配偶者がいる人には、配偶者が亡くなったときに3回目の崖があります。夫婦2人暮らしの間は2人分の年金が受け取れますが、どちらかが亡くなると年金収入は大きく減りますが、支出は半分に減るわけではありません」と説明しました。

「老後資金の目安」を計算してみよう

 では、どうしたらいいのでしょうか。深田さんはAさん夫妻に老後資金の目安の計算方法を伝授しました。

「年金生活で予想される毎年の赤字額」×「25年分(90歳-65歳)」+「特別支出500万~1000万円」=「老後資金の目安」

 「特別支出」とは、住宅の修繕費や病気になったときにかかる費用、車の買い替え費用など、65歳以降で1回くらいは必要になる可能性がある「いざというときのお金」のこと。例えば、年金生活に入ったとき、年間の赤字額が70万円で、特別支出を1000万円とみるなら、70万円×25年分+1000万円=2750万円が、老後資金の目標額になります。

 さらに、「老後資金の総額がある程度見えてきた60歳と65歳には、65歳以降の貯蓄取り崩し額の予算を立ててみましょう」と深田さんは別の計算式を出しました。

{「老後資金の総額」-「今後の特別支出1000万円」}÷「25年分(90歳-65歳)」=「1年間の取り崩し額の予算」

 例えば、65歳時点の老後資金が3000万円であれば、(3000万円-1000万円)÷25年=80万円。これが「1年間の取り崩し額の目安」になります。

60代前半は「収支トントンの生活」を目指す

 深田さんは、「収入ダウンの崖」を乗り越えるために、60代前半の再雇用制度で働く間は、減った収入で支出を賄う「収支トントンの暮らし」を目指すことを提唱しています。Aさん夫妻にも「収入が減ったら、暮らしを見直すこと。60歳までにためた老後資金や退職金を減らさないことを目指しましょう。これまでと同じ生活をしていたら、あっという間に老後資金は消えてしまいます」と話しました。

 →次回は、家計見直しのコツを教わります。

<深田晶恵さんの記事>

  • 深田晶恵
  • 深田 晶恵(ふかた・あきえ)

    ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士) (株)生活設計塾クルー取締役

    1967年、北海道生まれ。外資系電機メーカー勤務を経て96年にFP資格を取得。現在は、特定の金融機関に属さない「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けのコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。ダイヤモンドオンラインなどでマネーコラムを連載中。著書に『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』『かんたん年金家計ノート 2022』『まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方』など。

    深田晶恵さんのウェブサイトはこちら

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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