<連載> 専門家のお悩み相談室

コロナで5人家族が全員在宅 光熱水費と通信費が高くて困っています

ケース1 Aさん(東京、55歳女性)の場合(下)

2020.12.16

 新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちのお財布事情も先行き不透明に。しかし、ピンチの時こそ、働く世代も年金世代も家計を見直すチャンス。Reライフ読者会議メンバーから寄せられた悩みに、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんがZoomで家計改善のコツをアドバイスしました。

家計管理スマホ

光熱水費は前月ではなく前年と比べて「見える化」

 今回の相談者は、新型コロナウイルスの影響でパートを休職中という東京都在住のAさん(55歳)。連載2回目で、60代前半は老後資金を減らさないように、支出を見直すよう助言されたAさんは「コロナで5人家族全員が家にいるので、光熱水費と通信費が高くなり、どう見直しても減らせそうになくて……」と悩みを打ち明けました。

家計診断Aさん

 これに対し、深田さんは「Aさんが自分でできる見直しは全てできています。家計の『見える化』をして、家族の協力を求めましょう」とアドバイス。光熱水費が悩みの種であれば、電気代、ガス代、水道代とその合計の支出額を一つの表で管理します。ここで大事なのは、「前月」ではなく、「前年」と比べること。「『光熱水費が1万円も増えた』と口で言うよりも、数字で見せることで理解してもらいやすくなります」

光熱水費の見える化
光熱水費の「見える化」の概念図。深田さんの説明を基に、編集部作成(数字は架空です)

 深田さんは続けて説明します。「お子さんたちには具体的な給与額は言わなくて良いですが、定年退職で給与が3分の1になったから生活スタイルを変えなければならないことを伝えます。例えば、暖房代の節約のために同じ部屋に集まる。朝にシャワーを浴び、夜に風呂に入っているのなら、どちらか1回にする。通信費を親が払うなら格安スマホに変えて、成人したら自分で支払う――などです」

 子ども3人を育ててきたAさん夫妻に、深田さんは「一人暮らしをしていれば、光熱水費が高ければ何かを我慢しなければならない。自宅にいるとお金のやりくりを学ぶ機会がないので、教えてあげる良い機会だと思います」と話しました。

定年前後の“退職金運用病”に注意

 Aさんは「老後資金を普通預金に入れておくのは金利が低くてもったいない気がします。投資やNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)はしなくていいのですか」と質問しました。

 深田さんは「Aさんの家計の場合、それは次の次です」と答えました。「第一段階、とにかく60歳で収入が減るから家計を見直すこと。家族全員で1カ月の支出を減らしましょう。第二段階は、住宅ローンの返済が80歳まであるのをどうするか。手もとにあるお金を繰り上げ返済に回すと、どれくらい残るのかを考えましょう」

 さらに、「家計に余裕がない状態では、値動きする投資商品で老後資金をリスクにさらすのは危険です」と前置きした上で、「Aさんがまた働き出すのであれば、ご自分のパート代でiDeCoやつみたてNISAをやるのならいいと思います。55歳という年齢を考えると、iDeCoはそれほど長期間できないので、つみたてNISAのほうがAさんには合うのかもしれません」。

 最後に、深田さんはこう励ましました。「企業年金は、一般的には夫が亡くなると妻は年金という形ではもらえません。もし、これからAさんが5年、10年働けば、何百万円か、自分のための老後資金をためられます。これまで家族のために立派に家計をやりくりしてきたので、これからは家族のためではなく、ご自分の将来の安心を確保してください」

かんたん年金家計ノート2021
給与生活と違い、年金の受け取りは2カ月に1回。深田さんが執筆・監修し、11年間改良を重ねてきた『かんたん年金家計ノート2021』は、限られた収入でもお金に不安のない生活を送れる工夫が随所に。付録の「深田式お金歳時記」で1年間の収入と支出の予定を一目で確認。老後資金の目減りを防ぐため、毎月の「貯蓄取りくずし額」も把握できる。知っておきたいお金の基礎知識は、マネー特集ページで紹介。今年は、相続と健康保険制度。

<深田晶恵さんの記事>

  • 深田晶恵
  • 深田 晶恵(ふかた・あきえ)

    ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士) (株)生活設計塾クルー取締役

    1967年、北海道生まれ。外資系電機メーカー勤務を経て96年にFP資格を取得。現在は、特定の金融機関に属さない「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けのコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。ダイヤモンドオンラインなどでマネーコラムを連載中。著書に『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』『かんたん年金家計ノート 2022』『まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方』など。

    深田晶恵さんのウェブサイトはこちら

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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