弱者を直撃するコロナ禍 地域で助け合い「共生社会」を目指す

堀田力さんインタビュー(上)

2020.12.16

 元検事の堀田力さんは、1991年に57歳で早期退職し、ボランティアの世界に転身。公益財団法人「さわやか福祉財団」を立ち上げました。今年5月には「地域助け合い基金」を始め、コロナ禍でも負けずに活動を続ける団体に助成をしています。基金を通じて見えてきたことや、活動への思いを聞きました。

堀田力さん
公益財団法人「さわやか福祉財団」会長の堀田力さん

弱者を直撃するコロナ

 基金のスタートから約半年、少しずつですけれども、約320団体に計4200万円を助成しました。いただいた寄付が約180件、計1000万円弱で、財団からの資金を加え、地域の助け合い活動をしている団体や個人に助成しています。勢いとしては静かに動き出しましたが、全国から助成申請があります。

 申請では、子ども食堂に代わる食糧配布が目立ちます。日々の食事にも困るひとり親家庭が出てきている悲惨な状況が聞こえてきて、フードバンクなども利用して、工夫しながら食材や食事を届けています。障がい者や外国人の支援活動もそうです。コロナ禍で、弱者に厳しい状況が起きているのだと痛感しています。頼もしいのは、助け合い活動をしている人たちが歯を食いしばって頑張っていることです。

 しかし、我々の助成はごく一部で、助け合いは行政の手が届かないところの支援ですから、これがなければ何もないわけです。その先には「大きな闇」が広がっています。もちろん行政にもきめ細かく見てほしいけれども、限界がある。その先を「並走」してくれる仲間がいることがすごく大切だと思います。

地域助け合い基金
地域助け合い基金のパンフレット

災い転じて、もっとつながろう

 助け合い活動というのは、ある意味「濃厚接触」です。助け合いの接触を、コロナが断ち切りました。助け合いの精神を真正面から阻もうとするわけですから、これは負けていられません。人と人のつながりは、社会が成り立つ基本中の基本。何としても乗り越えて、もっと強い絆を作らなければいけないと思っています。

 基金のキャッチフレーズ「コロナ禍を乗り越えて共生社会へ」には、災い転じて「もっとつながりたい」という意識を強めていこう、という思いを込めました。地域の人々が絆を結び、助け合う「共生社会」は、誰もが安心して暮らせる温かい社会です。仲間の活動に「コロナ禍の前よりもっと強い共生社会を創(つく)ることができる」という希望を感じています。

「集まれない」逆境から編み出された工夫

 コロナ禍で、皆が人とのつながりを絶たれた生活の厳しさと不安とを感じたと思います。NPOだけでなくご近所や町内会単位でも、再び助け合いの芽が出始めています。地域の「居場所」づくりや「サロン」などの活動も、コロナ禍を乗り越えようとしています。居場所に集まれないので、電話をしたり、手紙や回覧板などに気持ちを書いて伝え合ったり、食事や食材を配って困りごとを聞いたり、それぞれに折り鶴を折って集めたり。様々な工夫をしながら、心のつながりを維持しています。コロナ禍が収まっても応用できる活動手法です。

 これまでは、体力が衰えて居場所に来れなくなった人々が仲間から離れていくという課題がありましたが、コロナ禍で集まらなくてもつながる方法が編み出されました。これは、居場所を「点」から「面」のつながりに広げていく鍵になります。コロナ禍に負けず、助け合いの輪を広げていきたい。基金がその一助になることを願っています。

  • 堀田 力(ほった・つとむ)

    弁護士、さわやか福祉財団会長

    1934年生まれ。61年検事に。東京地検特捜部検事としてロッキード事件を捜査した。法務省官房長を経て、91年退官し弁護士登録。公益財団法人「さわやか福祉財団」会長、一般社団法人「全国レガシーギフト協会」代表理事。著書に「『共助』のちから」など。

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