「生き方に根ざした」寄付文化へ転換のとき

堀田力さんインタビュー(中)

2020.12.18

 12月は「寄付月間」です。コロナ禍で暮らしが大きく変わった年の瀬に、あなたが思い描く未来について考えてみませんか。30年前、検事からボランティアの世界に転身し、活動の輪を広げてきた「さわやか福祉財団」会長の堀田力さんに、日本の寄付文化について聞きました。

堀田力さん
公益財団法人「さわやか福祉財団」会長の堀田力さん

空気を大切にする日本の「お付き合い寄付」

 日本の寄付文化は、欧米より20~30年遅れているというのが私の実感です。それでは日本人は欧米人に比べて利己主義で、他人に貢献したいとも思っていない、冷たい人間が多いかというと、決してそうではないです。日本にはおもてなし文化があり、人を大切にしますし、人間性は豊かですが、寄付という形で出にくいだけ。日本人の寄付の主流は、「みんなが寄付しているから」という「お付き合い寄付」なのです。

 そのため、東日本大震災のような大災害があると寄付も募りますし、結構寄付をするのですが、呼びかけが弱くなってくると寄付も減ってくる。アメリカで5年ほど暮らした範囲の知識ですが、日本と比べて個人の意識が強く、自分の思いを生かすために、自分の判断で選んで寄付をする意識が強いと感じました。

 日本では周りと和して生きていく空気を大切にします。だから寄付袋がご近所から回ってくると、「みんなどれくらい寄付していますか」と聞いて額を決めていませんか。何に使われるか、どこに行くのかわからなくても、です。これに対して欧米流は、自分が社会の中で暮らしていて、こういう風にしたい、参加していきたいという意識が強い。それが寄付につながっていると思います。

「自分も参加して社会を動かしていこう」

 日本はいま、「お付き合い寄付」からの転換期にあります。お付き合いが薄くなってきて、義理はやめる人も増えてきているでしょう。それに反比例して、「私はこういう社会になって欲しい」「私はこの分野で貢献したい」という個々の生き方に根ざした寄付が出始めています。出始めてはいるけれど、まだまだ強くなっていない。お付き合い寄付は減りつつあり、個人の思いの寄付は増えつつあるものの、トータルとしてなかなか伸びていかないというのが、日本の寄付の現状ではないでしょうか。

 自分の思いがまずあって、「自分も参加して社会を動かしていこう」という生き方に転換し始めている兆候はいっぱいあります。ですから、もっと自分の思いを大切にして、人の思いも大切にしていく生き方に進んでいってもらいたい。これは必ず進みます。いつかは日本の寄付文化も花開くでしょう。今はその前の「つぼみ」が膨らもうとしている時期なのです。

  • 堀田 力(ほった・つとむ)

    弁護士、さわやか福祉財団会長

    1934年生まれ。61年検事に。東京地検特捜部検事としてロッキード事件を捜査した。法務省官房長を経て、91年退官し弁護士登録。公益財団法人「さわやか福祉財団」会長、一般社団法人「全国レガシーギフト協会」代表理事。著書に「『共助』のちから」など。

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