「貧者の一灯に」「生きた証しに」 1万字に込められた遺贈への思い

寄付・遺贈などの社会貢献に関する調査(1)

2020.12.18

 財産は多くなくても、「貧者の一灯」をともせたら――。朝日新聞Reライフプロジェクトでは5~6月、遺贈や寄付などの社会貢献に関する意識調査を実施し、273人から回答を得ました。遺贈に関心のある人は過半数でしたが、具体的に検討している人は3%。1万字を超える自由記述から、遺贈を考えるそれぞれの理由を探りました。

遺贈アンケートグラフ

「知っており、興味・関心がある」34%で最多

 遺言に基づいて特定の個人や団体に財産を残す「遺贈」について、「知っており、興味・関心がある」と答えた人が92人(全体の34%)で最も多かった。「知っているが、興味・関心はない」が82人(30%)、「知らなかったが、興味・関心がある」が48人(18%)、「知らなかったし、興味・関心もない」が38人(14%)だった。「知っており、具体的に検討している」は7人(3%)いた。

 自由記述を読み解くと、これまでの経験から遺贈先を思い浮かべている様子がうかがえた。大阪の50代女性は「現在もUNHCR (国連難民高等弁務官事務所)に毎月一定額を寄付し、自分自身もNPO活動(子どもの環境教育)や地域活動に取り組んでいる。知人でNPOを立ち上げ頑張っている人を支援したり、クラウドファンディングのメルマガで気になった団体に寄付したりしている」。
 東京の50代女性も「離婚し、娘たちも家を出て、ひとりぼっちになったときにワンコがそばにいて乗り越えられた。遺贈はシェルターや保護犬、保護猫活動にしたい」という。

具体的な遺贈先まで考えていない人が多く

 最も多かったのは、遺贈に関心があっても、まだ具体的には考えていないという人たち。神奈川の70代男性は「世の中に貢献できるような遺産の使い方を考えているが、まだ具体的には行動を起こしていない」。東京の70代男性は「自分がこの世に生を受けていた証拠を残し、誰かの役に立ちたい」との思いを書いた。

 具体的な遺贈先を思い浮かべる人も。東京の50代女性は「高校の時、家が貧しく奨学金をもらっていたおかげで、普通の高校生活を送ることができた。いつか恩返しがしたい」。神奈川の70代女性は「カンボジアの中学校に図書館を作るボランティアをしたので、自分の葬儀の香典から寄付をしてほしいと家族に伝えている」。千葉の60代男性は「出身大学や住んでいる自治体など、お世話になったところに遺贈を通じて感謝の意を表したい」。

“コロナ”で意識した社会貢献

 新型コロナの流行で、遺贈を意識したという意見も多かった。兵庫の50代女性は「今回コロナでいつ死ぬかわからないと思ったから」。東京の40代女性も「遺贈について意識がなかったが、コロナ禍により医療従事者の苦労を思い知らされ、興味を持った」という。

 一方、興味・関心がない層の答えは、「子どもたちに均等に相続したい」(長崎、70代男性)のほか、「そこまで考えるほどの財産がない」(北海道、70代男性)、「遺産というほどのものはない」(茨城、60歳女性)というものだった。

70~80代の印象的な言葉も

 70~80代の回答からは、「貧者の一灯」や「子孫に美田をのこさず」といった印象的な言葉が出てきた。東京の70代男性は「信じられないくらいの貧にあえぐ人々が、世界中に信じられないくらいの数いる。貧者の一灯がそうした人々を救えるのなら、遺贈に意味がある」。東京の70代女性は「若いころ献血を99回したが、とても充実感があった。遺贈についても大した金額ではないが、貧者の一灯の気持ちで実現ができたら」と記した。

 「『子孫に美田をのこさず』とのことわざもあり、考慮に値すると思う」(神奈川、70代男性)、「子孫に美田をのこさず」(愛知、80代男性)と書いた人もいた。

<こんな声も寄せられました>

  • ・財産は多くないが、一部は地球環境をよくすることに使いたい。(島根、60代女性)
  • ・自分がどのくらい生き、どのくらい遺産をのこせるか分からないが、ゆとりがあるのなら、児童養護施設の子どもたちの役に立ちたい。(東京、50代女性)
  • ・アフリカでコロナが流行していても飲み水もないのに手を洗うことができないと聞き、胸が痛む。遺贈で少しでも命が救えれば。(愛知、50代女性)
  • ・子どもに残すものもあるかどうか。(京都、50代男性)
  • ・子どもに障害があり、自分が亡くなった後の生活を支えるために遺産はできるだけのこしておいてやりたいから。(神奈川、50代女性)
  • ・財産を他人に承継することには抵抗がある。子どもはいないが財産を承継する肉親がいるので「遺贈」には全く関心がない。(新潟、40代男性)

 調査は、2020年5月12日~6月1日にReライフプロジェクトのwebサイトで実施。有効回答は273人(男性59%、女性41%)。年代別では49歳以下13%、50代36%、60代32%、70代17%、80代以上2%。

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