<連載> 専門家のお悩み相談室

世帯収入は年金のみ、将来の介護や医療費が心配です

ケース2 Bさん(岐阜、72歳男性)の場合

2021.01.20

 新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちのお財布事情も先行き不透明に。しかし、ピンチの時こそ、働く世代も年金世代も家計を見直すチャンス。Reライフ読者会議メンバーから寄せられた悩みに、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんがZoomで家計改善のコツをアドバイスしました。2人目のテーマは、年金世帯の医療費について。

Bさんの家計簿

民間保険は公的保険を補完する役割

 今回の相談者は、年金収入のみで妻と2人暮らしだという岐阜県在住のBさん(72歳)。年金収入の範囲内で暮らし、月3万円くらいずつ貯金をしています。「老後資金が2000万円足りない」という報道を見て、将来の医療や介護の費用が心配だと言います。「新型コロナのこともありますし、やはり医療費が気になっています」

 Bさんの家計簿を見た深田さんは「花丸の家計簿」と太鼓判を押した上で、「見直す余地があるのは、保険料です」と指摘しました。Zoomの画面越しにBさんが払っている保険料の明細を見せてもらうと、深田さんは「地震保険や火災保険はそのままでいいですが、月8000円の生命保険と医療保険はやめてもいいと思います。民間の生命保険と医療保険は、公的保険の足りない部分を補完する役割だと心得ましょう」と話しました。

 「これでも多いですか?本当に?」と驚いた様子のBさん。「保険は現役時代の3分の1に減らしたので、これで足りるのかと心配しています」

高額療養費制度
医療費の70歳以上の自己負担限度額©深田晶恵

 深田さんは「その根拠を説明しますね」と、公的な健康保険の「高額療養費制度」の表を示しました。病院や薬局の窓口で支払った額が、その月の初めから終わりまでで一定額を超えた場合に、その超えた金額が戻ってくる制度です。ただ、入院時の食費負担や差額ベッド代などは対象外。上限額は個人や世帯の所得に応じて決まっていて、表は70歳以上の場合です。

 「まず、新型コロナにかかったら原則、医療費はゼロ。国が指定する感染症だからです。そして、Bさんの年収区分は表の『一般』にあたります。がんや心臓、脳などの病気が分かった場合、その月の1日から30日までの間、外来の上限額は個人ごとに1万8000円。例えば、10日に病気が分かって、20日から入院すると、外来と入院を合わせた上限額は5万7600円になります。4回目以降は4万4400円」

 さらに、深田さんは「実は入院は、それほど長くさせてもらえないのです」と続けました。厚生労働省の患者調査では、入院の半分以上は10日以内で、30日以内に8割が退院します。「入院日数を短くするという国の方針と医療技術の進歩で、入院日数は昔と比べて短くなっています。がんも昔は入院して治療を受けていましたが、今は通院で治療を受けることが当たり前の時代です」と説明しました。

医療費自動精算機

払い戻しの手続きが不要「限度額適用認定証」

 「貯蓄は親の世代が残してくれたもの。やっぱり、子どもや孫に迷惑をかけたくないので」というBさんに、深田さんが「健康保険限度額適用認定証」についても解説しました。「もし入院や手術をすることになった時は、市役所の国保係に電話をしてこれをもらってください。入院するときに窓口で見せると、手術前の検査などを受けても、Bさんの高額療養費の上限1万8000円を超えたら会計がなくなります。後日払い戻しの手続きがいらないですよ」

 Bさんは「肩の力が抜けました」とほっとした表情に。深田さんは「高金利時代を生きたBさんの親世代が残してくれたお金の半分は利息でしょうから、ゼロ金利の今とは状況が違います。親から自分がしてもらったことを、そのまま子どもの世代にしなくてはと考えなくていいんですよ」と話しました。

深田晶恵さん監修『かんたん年金家計ノート2021』

  • かんたん年金家計ノート2021
    給与生活と違い、年金の受け取りは2カ月に1回。深田さんが執筆・監修し、11年間改良を重ねてきた『かんたん年金家計ノート2021』は、限られた収入でもお金に不安のない生活を送れる工夫が随所に。付録の「深田式お金歳時記」で1年間の収入と支出の予定を一目で確認。老後資金の目減りを防ぐため、毎月の「貯蓄取りくずし額」も把握できる。知っておきたいお金の基礎知識は、マネー特集ページで紹介。今年は、相続と健康保険制度。
  •  給与生活と違い、年金の受け取りは2カ月に1回。深田さんが執筆・監修し、11年間改良を重ねてきた『かんたん年金家計ノート2021』は、限られた収入でもお金に不安のない生活を送れる工夫が随所に。付録の「深田式お金歳時記」で1年間の収入と支出の予定を一目で確認。老後資金の目減りを防ぐため、毎月の「貯蓄取りくずし額」も把握できる。知っておきたいお金の基礎知識は、マネー特集ページで紹介。今年は、相続と健康保険制度。

<深田晶恵さんの記事>

  • 深田晶恵
  • 深田 晶恵(ふかた・あきえ)

    ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士) (株)生活設計塾クルー取締役

    1967年、北海道生まれ。外資系電機メーカー勤務を経て96年にFP資格を取得。現在は、特定の金融機関に属さない「生活設計塾クルー」のメンバーとして、個人向けのコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。ダイヤモンドオンラインなどでマネーコラムを連載中。著書に『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』『かんたん年金家計ノート 2022』『まだ間に合う! 50代からの老後のお金のつくり方』など。

    深田晶恵さんのウェブサイトはこちら

  • この連載について / 専門家のお悩み相談室

    「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。

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