新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちのお財布事情も先行き不透明に。しかし、ピンチの時こそ、働く世代も年金世代も家計を見直すチャンス。Reライフ読者会議メンバーから寄せられた悩みに、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんがZoomで家計改善のコツをアドバイスしました。

家計簿をつけていなくても家計を見直せる?
今回の相談者は、夫が定年退職を迎えて嘱託になったという兵庫県のDさん(58歳)。嘱託で働くことになり、給与がこれまでの半分ほどに減るそうです。「これまで家計簿をつけずに過ごしてきたので、年間どれだけお金を使っているのか把握していませんでした」と打ち明け、「夫が嘱託で何年働けるかは分かりません。これからの資産形成をどうしたらいいのでしょうか」と質問しました。
深田さんは「家計簿をつけていなくても大丈夫です」と言います。Zoom家計診断の前に、Dさんには1カ月の家計収支を書き出してもらいました。子どもは既に巣立ち、家計も別。住宅ローンの返済は終わり、これまでボーナスには手をつけずに年300万円くらいの貯蓄ができていたそうです。
それを聞き、深田さんは「収入が高い割に生活費がそれほど多くないですね。結婚後、きちんと貯める習慣があったので老後資金がしっかり貯まっています。立派です」と話し、60歳と65歳の「収入ダウンの崖」について解説しました。(※詳しくはケース1を参照)「次の65歳の収入ダウンの崖に備えて『わが家はこの金額があったら暮らせる』という額を見つけ、その範囲中で暮らすトレーニングをしましょう」と助言しました。

「家計の見直し=節約」ではない
Dさんが「節約をした方がいいのですか」と尋ねると、深田さんは「お金は使ってもいいです」と答えました。「旅行や家のリフォーム、お子さんの結婚費用など、使ってもいいのですが、50代から60代になるのを機に『暮らしのサイズ』を見直さないと、貯蓄と退職金があったとしてもみるみる減ってしまいます」と注意を促しました。
「暮らしのサイズを知った上で、どれくらい貯蓄できたらいいのでしょうか」と聞くDさんに対し、深田さんは「老後資金の総額が見えてきた60歳と65歳の時点で、65歳以降の『取り崩し額の予算』を立てることが大切です」と助言しました。(※計算方法の解説はこちら)
Dさん夫妻の老後資金は、現時点で6200万円。今後の「特別支出」を1500万円と多めに仮定すると、(6200万円-1500万円)÷25年=188万円。これが「1年間の取り崩し額の目安」になります。
Dさんは「意外と少ない…。世間の価値観とずれていますか?」と驚いた様子。深田さんは「188万円もあると考えるか、188万円しかないと考えるか。もっと少ない人はいます。Dさんの場合、これに年金があるので年500万円くらいは使える計算になります」
「今回立ち止まって考えなかったら、夫の定年前と同じくらいお金を使ってしまっていたかも……」とDさん。深田さんは「60代前半に50代と同じような暮らしを続けていたら、65歳以降に使える額はこの数字よりももっと少なくなってしまいます」。

資産運用は「暮らしの見直し」の次に
「夫は退職金の運用に興味がある」と感じているDさんは「資産運用はどうしたらいいのでしょうか」と質問しました。深田さんは「資産運用はしてもいいですが、まずは夫婦二人で『暮らしのサイズ』を見直すことが先です。『何となく50代と同じ暮らしを続け、気づいたら1000万円減っていた』ということになりかねません」と釘を刺しました。
その上で、「『この線だけは守ってほしい』と提案するのはどうでしょう」と助言しました。「投資をしたいなら、現在の株式700万円に貯蓄から300万円を出し、総額1000万円の範囲内にして、あとは老後資金にとっておきましょう」
Zoom家計診断を終え、Dさんは「診断を受けるために家計の収支を把握して、これからのアウトラインを教えてもらえてよかったです」と話しました。深田さんは「まずは夫婦二人で、月にいくらの範囲で暮らせるか。『この金額で暮らせる』と分かれば、今後の自信になりますよ」と励ましました。
深田晶恵さん監修『かんたん年金家計ノート2021』
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給与生活と違い、年金の受け取りは2カ月に1回。深田さんが執筆・監修し、11年間改良を重ねてきた『かんたん年金家計ノート2021』は、限られた収入でもお金に不安のない生活を送れる工夫が随所に。付録の「深田式お金歳時記」で1年間の収入と支出の予定を一目で確認。老後資金の目減りを防ぐため、毎月の「貯蓄取りくずし額」も把握できる。知っておきたいお金の基礎知識は、マネー特集ページで紹介。今年は、相続と健康保険制度。
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この連載について / 専門家のお悩み相談室
「第二の人生」を生きていく上で、誰もが様々な課題に直面します。Reライフ読者会議のメンバーから寄せられた悩みや疑問を皆で共有し、解決のヒントを専門家に教えてもらいます。
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