【読者会議】我慢の日常 こう楽しむ

<Reライフアンケート>コロナ禍で始めたこと、やめたことは?

2021.01.17

 新型コロナウイルスにより、私たちは大きな制約を受け、価値観の転換をも迫られました。暮らしを見直したり、つらい状況を楽しみに変えたりした読者の「ニューノーマル」を紹介します。

歌詠み送信 会えない友に

 秋風に つけてみるかな イヤリング いやその前に 夏の蓬髪(ほうはつ)

 静岡市の自営業片井郁代さん(69)は昨年9月、こんな歌を詠んだ。
 蓬髪は、茂ったヨモギのように、ぼうぼうに伸びた髪。ある日、たまにはイヤリングでもつけようかと鏡に向かうと、乱れた髪が目に飛び込んだ。「これを何とかするのが先だわ」。苦笑いとともに、歌が生まれた。友人にLINEで送ると、「ちゃんとおしゃれしてくださいね」と返事が届いた。
 コロナ前は時々、ランチや美術館に出かけていたが、昨春以降は控えている。家にこもっていた5月ごろ、片井さんはふと、歌を詠むことを思いついた。中学時代に俳句クラブに入っていたが、当時はなかなかうまくできず、厳しく批評されてばかり。その後、歌人の故河野裕子さんの歌集などを読むことはあっても、自分で詠むのはそれ以来だ。

 「密です」と 思わず叫ぶ 発芽かな 雑な性格 近所に知られ

 前年の朝顔の種を、プランターにざざっとまいておいた。いっぺんに出てきた芽に、思わず、コロナ対策で小池百合子・東京都知事が呼びかけた言葉が口をついた。「密です」。歌をノートに書きとめた。
 会えない友人たちにLINEで送ると、感想や添削が届いた。自作の歌を返してくれた相手とは、互いに送り合うように。買い物や図書館への行き帰り、自転車をこぎながら季節のうつろいに五感を澄ます。
 うまくいかない時もある。10月、美しい月とキンモクセイの香りを一緒に詠み込もうと頭をひねっていると、友人からの着信音が鳴った。同じ題をぴたりと収めた三十一文字。「負けた!」と感服した。
 穏やかに晴れた11月には、2歳上の姉と、母の墓に参った。

 姉とゆく 小春日和の 墓参り

 母の介護に追われていたころは、姉と出かけることもままならなかった。その時間ができ、うれしいような寂しいような複雑な思いを込めた。半年前には指を折り文字数を数えていたのが、今では自然に言葉がリズムに乗る。「ささいなことでも、こうして書いておけば思い出になるでしょう」
 一人暮らしの友も増えた。歌を送ることは、会えない友の家を訪ねてノックする代わりだった、と振り返る。「閉じこもっていた日々、歌が外の世界に扉を開けてくれました」

コロナ禍の日常

飲み過ぎ怖く 平日は断酒

 コロナ禍でやめたことは、平日の晩酌です。中国語の通訳として役所などに同行する仕事をしていますが、出番が減り、家で過ごす時間が増えました。以前は毎夜缶チューハイを1~2本飲んでいたのですが、時間がある分、際限なく飲んでしまうのが怖く土日だけに。浮いた酒代でロードバイクを買い、半日で行ける範囲をサイクリングするようにもなりました。節酒と自転車の相乗効果で、体調がよくなったと感じます。
(愛知県 男性 54歳)

オーブンを新調 パン作り

 在宅勤務で通勤や出張がなくなった分、読みかけの本を読み、じっくり考えをまとめる時間を持てました。10万円の給付金で壊れていたガスオーブンを新調し、パン作りも始めました。フランスパン用の粉でバゲットを焼いたり、ナッツやレーズンを入れてみたり。ものづくりの楽しさ、焼きたてのおいしさにやみつきになり、妻や息子にも好評。今も土曜の晩にこねて寝かせ、日曜の朝は焼きたてのパンを出しています。
(神奈川県 宇佐美千明さん 64歳)

家事減らし 自分の時間に

 家事をがんばりすぎることをやめました。以前は朝食やお弁当の支度、洗濯に3時間かけ、開店と同時にスーパーへ。できあいは買わず、空いた時間に下ごしらえ。そんな毎日でした。ところが、家で過ごす人が増えたせいか朝のスーパーは混み、思い通りに運ばなくなりました。日課を守ることにこだわらず、時にはおそうざいを買うなど少しずつ家事を手放したら、自分のために時間を使えるようになり、気持ちが楽になりました。
(東京都 女性 52歳)

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

PAGE TOP