NHKの長寿ラジオ講座「実践ビジネス英語」が3月末で終わることが、今月10日に発表されました。国際ビジネスの最前線で起きるトレンドを会話形式の「ビニェット」で紹介し、時事問題も採り入れた幅広いテーマ設定で人気を博しました。前身の番組を含めて計33年間、講師を務めた杉田敏さんに「卒業」への思いを聞きました。

リスナー泣かせの難易度「ちっとも“やさしく”ない」
「Hello, everybody! 杉田敏です」「それではご一緒に、勉強して参りましょう」――。杉田さんのラジオ講座が始まったのは1987年。81年に旺文社から出版した『戦略的ビジネス英会話』という本がきっかけでNHKから依頼され、「やさしいビジネス英語」というラジオ講座がスタート。番組は優しい杉田さんの声で始まるものの、その内容は国際ビジネスの最前線で交わされる会話で難易度が高く、リスナーからは「ちっとも“やさしく”ない」という声が相次いだという。しかし、杉田さんは「教材のレベルは、自分の目線よりも少し上でないといけません」と語る。
それから34年。ラジオ講座からの「卒業」を決めた理由を、「私もだんだん年を取ってきて、知力、体力、気力が年相応に衰えています。そろそろ引き時かなと考えました」と話す。
「二足のわらじ」のラジオ講座とPRに一体感
杉田さんのキャリアは、英字新聞の記者から始まった。アメリカ留学を経て、興味があったPRの世界に転身。日米で国際ビジネスの第一線に立ち続けながら、通算で33年もの間、ビジネス英語講座のテーマ設定やビニェットの執筆、収録を担ってきた。
一見、ラジオとPRの世界は遠いようだが、杉田さんにとって「二足のわらじ」は「一体感があった」という。「PRでいろいろなクライアントを担当し、多種多様な仕事をしてきて、その経験をいつかまとめてみたい気持ちがあった。ビニェットを書くときも、『この経験を盛り込もう』と思っていた。だからそんなに苦労したという気持ちはないし、書くことは好きなので、楽しいことが多かった」と振り返る。タイムリーなテーマを選び、杉田さんが実際に経験したことや同僚との会話などをヒントにしてビニェットの構成を考えてきたという。
テーマの「ネタ枯れ」に悩んだこともなかった。「テーマにしたいことがありすぎて、困るくらい」と笑う。日々のラジオ番組は終わるが、季刊でビジネス英語のムック本が出る予定。春号のテーマは、ダイバーシティー(多様性)、夫婦別姓、コロナ時代のニューノーマル、次世代食品(植物肉と昆虫食)の四つ。今は夏号のテーマを練っている最中だ。「どのテーマを今の時期だったらどういう風に料理したらいいか」と考えるのだという。
スタッフとリスナーに支えられて
ラジオ講座が長寿番組になったのは、「やはりスタッフの協力があってこそ」だと語る。昔からの思い込みで間違ったことを言ってしまったり、言葉の抑揚が間違っていたり。東京・神田の下町育ちの杉田さんは、いまだに「ひ」と「し」が混同してしまう。「この人たちなくしては、いい番組はできなかった」という。
同じくらい大切にしていたのは、リスナーからの反応だ。「この三十数年間、1日たりとも聞かなかった日はありません」というメールに驚いたり、講演会で昔のテキストを持ってきてくれる人に会ったり。リスナー同士で職場結婚したという報告も。「そういう反応が大きな励みになりました」
◇
That’s all for today!(今日はここまで)。次回は「オトナの英語学び直し術」について聞きます。
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