「コロナフレイル」のリスク増大 食べて・動いて・会話で防ぐ

東京大学・飯島勝矢さんに聞く 新型コロナ禍での健康二次被害と防止策

2021.02.05

 新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が長期化し、懸念されるのが心身の機能などが低下する健康二次被害です。朝日新聞Reライフプロジェクトが読者会議メンバーを対象に実施したアンケートではコロナ禍で外出頻度が減り、体の不調を感じる人が少なくありませんでした。

 日増しに「コロナフレイル」のリスクが高まっている、と東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢さんは指摘します。感染予防をしながら健康を維持するにはどうすればよいか。現状と対策を聞きました。

フレイル外出頻度

外出頻度が様変わり、週2日以下が半数

 ーー Reライフプロジェクトのアンケートではコロナ禍前、週5日以上外出する人が6割近かったのが、コロナ禍の中では週2日以内の人が半数近くに。コロナ禍を契機に、外出頻度の傾向がすっかり逆転しました。

 私たちの調査でも同様の結果が出ています。東京都内の高齢者の多い大規模団地での調査では、高齢者の外出回数が顕著に減っていました。粗食になったり、欠食したり、食事の乱れも目に付きます。ありあわせのものでいい、という感覚になりやすいようです。

 ーー 運動不足の影響でしょうか、体重が増えた人が目立ちます。

 在宅勤務になった現役世代は、通勤をしなくなった分、コロナ太りになりがちでしょう。ただ、より注意が必要なのは、体重が減るケース。いわば「意図しないダイエット」です。特にシニアは、この「コロナ痩せ」の方が多い印象です。高齢者の体重減は、脂肪ではなく筋肉を減らします。徐々に心身の機能が衰えていき、要介護の一歩手前の状態である「フレイル」になるリスクがあります。

フレイル変化グラフ

筋力・筋肉量とも低下、インナーマッスルも

 ーー 確かに「階段の上り下りが大変になった」(60代後半女性)といった声があがっています。

 筋肉量も筋力も落ちたケースが目立ち、足腰の筋肉とともに体幹のインナーマッスルが衰える傾向が顕著です。階段の上り下りや立ったり座ったりするとき、体のバランスをとる筋肉ですから転倒リスクが非常に高くなります。

 ーー「コーラス活動が休止になり、むせたりするようになった」(60代前半女性)という人もいました。

 口周りの筋肉が衰える「オーラルフレイル」がもうひとつの問題です。人と会わなくなり、おしゃべりをしない、粗食になって、ものをよくかまない。しゃべらないから滑舌が悪くなる悪循環です。

 自粛生活が長期化し、生活が不活発になれば、筋肉はどんどん衰え免疫力が低下する負の連鎖に入っていきます。いまは大丈夫でも、2年後、3年後に介護が必要になる可能性も高まる。コロナによるフレイル「コロナフレイル」への警戒を怠ってはいけません。

東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢さん
東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢さん

予防の3大原則は、栄養・運動・社会参加

 ーー 予防策はありますか。

 栄養と運動と社会参加がフレイル予防の3大原則です。しっかりかんで、しっかり食べる。こまめに体を動かす。なるべく話す機会を多くする。この三つが大事です。

 筋肉を落とさないよう、まずたんぱく質とビタミンDを積極的にとりましょう。たんぱく質の1日の摂取量の目安は体重1キロにつき1グラム、筋肉になりにくいシニアは1.2~1.5グラムはとってほしい。60キロの人なら60~90グラムです。

 散歩のほか家の中では家事をしたり片付けをしたり、こつこつ運動量を積み上げる。社会参加は言い換えれば、人とのつながりです。ネットや電話でもいい。おしゃべりをして、人とつながる機会を絶やさないことです。

「友だちづきあい」「観劇・鑑賞」など減少

 昨年12月~今年1月、「コロナ禍の健康」をテーマに実施したReライフプロジェクトのアンケートでは、読者会議メンバー255人が回答。外出頻度が減少し、運動不足や体の不調を感じている実態が浮かび上がった。

 週にどれくらい外出するか尋ねたところ、コロナ禍で外出を「ほぼしなかった」(17.6%)と「週に1~2日」(29.4%)と答えた人の割合が大幅に増え、あわせて全体の半数近く(47.1%)にのぼった。

 減少した外出機会の中身を見ると、「旅行」「友だちづきあい」「観劇や映画、美術鑑賞」「友人や同僚との外食」が目立ち、社会とのつながりが減っていることがうかがえる。

 また、運動不足を「とても感じる」「少し感じる」割合は65.9%にのぼり、「足腰が弱くなった」など体調の変化を訴える人もいた。

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  • 飯島勝矢
  • 飯島 勝矢(いいじま・かつや)

    東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター教授

    1990年、東京慈恵会医科大学卒業。専門は老年医学、老年学。特に、健康長寿実現に向けた超高齢社会のまちづくり、地域包括ケアシステム構築、フレイル予防研究などを進める。内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員、厚生労働省「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」構成員などを務める。

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