「すぐ忘れてしまう」とあきらめないで 「第二の人生」の学びにはコツがある

ビジネス英語講師・杉田敏さんに聞く(3)

2021.03.10

 「若い頃のように覚えられない」「すぐ忘れてしまう」――。英語を勉強しようと一念発起しても、年齢を重ねて記憶力の衰えを感じる人も多いのでは。NHKラジオでビジネス英語の講師を計33年間つとめた杉田敏さんは、「第二の人生の学びにはコツがあります」と話します。

英語の辞書を引く女性

文脈と関連づけて覚えていこう

 知らない単語があって自分で辞書を引く場合、その意味はなかなか忘れないーーと言われるものの、若い頃のように辞書を引いて単語帳を作るだけではなかなか覚えられない。杉田さんが東京・四谷の語学学校「日米会話学院」で担当している授業「英字新聞を読もう」では、分からない単語をただ調べるのではなく、「文脈」を読み解くことを重視する。「知らない単語が出てきたら、文脈の中で覚えていかないとなかなか単語力はつかないのです」と杉田さんは話す。

 Merriam-Webstarの辞書サイトでは、よく検索された単語を紹介する「Top Lookups Right Now」が随時更新されている。例えば、「この単語はアメリカの大統領就任式で使われていた」と結びつけると、単語帳をめくって覚えようとするよりも記憶に残りやすくなるだろう。「忘れないためには、どんな状況でこの単語を調べようと思ったのかも一緒に覚えることが大事」という。

テクノロジーの進歩を活用しよう

 年齢を重ねてからの最も効率的な学習方法を尋ねると、杉田さんは「私たちの若い頃と違うのは、テクノロジーの進歩」と言います。パソコンやスマートフォンで英語の読み上げ機能を使えば、PDFであっても機械が読み上げてくれる。「私が大学生の頃は、生の英語を聞くために英語の教会に行きました。今はクリック一つで正しいイントネーションの英語を聞くことができます」と話す。

 また、音声認識のソフトウェアやアプリを使い、自分で英語の単語や短い文を吹き込んでみると、正しい発音なら文字データとして表示される。発音に問題があれば「?」などが出てきて、自分の発音の弱点を把握できる。「学習を手助けしてくれるテクノロジーはもっと進化していくでしょうから、利用しない手はありません。自分の英語学習の中でプラスになるかどうかを見極めて使うと、勉強が楽になります」と話す。

技術に頼りすぎず、手を使って覚えよう

 ただし、技術に頼りすぎるのは本末転倒になりかねない。杉田さんは紙の辞書も電子辞書も愛用しているが、「手を使った方が覚えられる」と指摘する。アメリカの大学院や企業では、授業や会議中にあえてパソコンを開かないようにする動きもあるという。

 杉田さんは「知らない単語を調べる際には電子辞書を使ってもいいですが、その内容は自分の手で書くことで自分のモノにしていきましょう」と勧める。「自分はどうやったら覚えやすいのか。自分なりの覚え方を見つけ出すことが大事です」

 That’s all for today!(今日はここまで)。次回は、「二足のわらじ」を約30年間も続けた杉田さんの「時間管理&情報収集」の秘密を聞きます。

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  • 杉田敏
  • 杉田 敏(すぎた・さとし)

    ビジネス英語講師

    1944年、東京・神田生まれ。青山学院大卒業後、英字新聞「朝日イブニングニュース」の記者となる。オハイオ州立大に留学し、修士号(ジャーナリズム)を取得。米「シンシナティ・ポスト」記者を経て、73年に米大手PRコンサルティング会社バーソン・マーステラのニューヨーク本社に入社。日本ゼネラルエレクトリック(GE)副社長、バーソン・マーステラ(ジャパン)社長、電通バーソン・マーステラ副社長、PR会社プラップジャパン社長などを歴任。NHKラジオのビジネス英語の講師は、87年から通算33年間つとめた。

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