散歩や通院の外出補助や、傾聴、本の読み聞かせ、レクリエーションのお手伝いなど、介護の現場には、特別な技能や資格がなくてもできる、様々な仕事が欠かせません。仕事はきつく、重労働。そんなイメージが先行し、敬遠されがちな介護の仕事も、こうした「周辺業務」への理解が進めば、働きたいと考えるひとが増えるかもしれません。Reライフプロジェクトが実施したアンケートから探ってみました。

働く意欲あれど、「仕事がきつい」介護は敬遠
読者会議メンバーを対象に実施したアンケートに回答を寄せたのは、50代~70代前半を中心とした440人。今後の就業意欲について「働きたい」「まあ働きたい」が6割近く、地域の社会活動やボランティアに「参加したい」が7割近くになるなど、仕事や社会参加への意欲が高く、その理由として、「生活の糧を得るため」とともに「生きがいを感じるため」「社会や地域の役に立つため」などが上位にあがっています。
しかし、介護の現場で働きたいかという問いかけに対しては「働きたい」「まあ働きたい」と答えた人が合わせて約1割にとどまる一方、「あまり働きたくない」「働きたくない」が合わせて6割近くに達していました。

働きたくないと思う理由(複数回答)はなにか。トップにあがったのが「体力的に重労働」(73%)、「待遇が十分とはいえない」(38%)、「専門的な資格やスキルが必要」(29%)、「柔軟な働き方がしにくい」(26%)と続きます。
とりわけ「体力的に重労働」は、ほぼ4人に3人が働きたくない理由として選択し、2番手の「待遇が不十分」の2倍近くに達していました。介護はきつい、厳しい仕事というイメージが根強く、待遇面や資格獲得というハードルとも相まって、仕事先の候補とすることを敬遠する要因となっていました。

資格不要な「周辺業務」、過半数「知らなかった」
一方で、実際の介護の現場には、介護に関する専門的な知識やスキルがなくてもできる仕事が数多くあります。
たとえば食事の手伝いや給仕、見守りといった食卓関連のサポートや、散歩や通院の同伴、買い物代行やハイキングなどの外出支援は、その代表例です。話し相手となる傾聴や朗読会、読書会といったコミュニケーションのサポートや、軽い運動、囲碁将棋の相手、フラワーアレンジメントなど、レクリエーション関連の仕事や、経理や文書作成などの事務仕事や居室の掃除、修繕のような作業もあります。こうした仕事は、「周辺業務」と呼ばれ、どれも介護の現場に欠かせない仕事になります。

では、こうした「周辺業務」の存在は、どの程度、知られているのでしょうか。「知っていた」という人は194人で全体の44%にとどまり、「知らなかった」という人が246人で56%と、過半数を占めていました。
「資格がなければできない、仕事がない状況だと思っていました。資格を問わない職もあるのは驚きでした」(50代後半、男性)、「周辺業務の事まで考えられなかった。私にもできる仕事がある可能性がわかった」(50代後半、女性)、「体力的にキツイというイメージが強く、近づきにくい領域でした。周辺業務なら関われそうな気がしました」(50代前半、女性)。周辺業務を「知らなかった」という人からは、こうした声が寄せられました。

興味や関心を集めた周辺業務はなにか。最も多かったのが、話し相手となる傾聴や読書会、朗読会など「コミュニケーションのお手伝い」で、回答者の5割弱が選択しました。経理や文書作成、家族との連絡業務など「事務仕事のお手伝い」、軽運動など「レクリエーション関係のお手伝い」、散歩や通院の同伴など「外出に関するお手伝い」、孤食を防ぐ会食や給仕など「食卓周辺のお手伝い」などが3~4割台で続きます。
周辺業務の例示後、「まあ働きたい」3倍増
こうした周辺業務に関する具体的な例示をしたあと、改めて「介護の現場で働いてみたいと思うか」をたずねてみました。すると「働きたくない」と答えた人の割合が30%から18%へ、「あまり働きたくない」という人が28%から20%へとそれぞれ減る一方で「まあ働きたい」という人が7%から23%へ、ほぼ3倍に増えました。

介護の現場に、さまざまな働き口があることを知ったことで、興味・関心が高まり、仕事をしてもいいという気持ちの変化が顕著にあらわれたといえるでしょうか。同様のことが、介護現場での職場体験や研修への参加意欲についても、みてとれました。職場体験や研修に「参加したくない」は25%から18%へ、「あまり参加したくない」が"21%から17%へそれぞれ減少し、代わりに「まあ参加したい」が17%から24%へと上昇しました。

「試験的に参加してみて、継続が難しければやめることや、時間の融通ができることなどがあれば、多くの方が参加できると思います」(60代後半・女性)、「今後、自分の親も介護が必要になってくる。根本的な知識は知っておきたい。講習があれば参加してみたい」(40代後半、女性)、「いずれ妻か自分自身が介護を必要とする時がくる。それに備える意味でも、こういった経験を自分が元気なうちにしておくことは、非常に重要だと思う」(60代後半、男性)。参加意欲を示した人からは、こうしたコメントが寄せられました。
◇
調査は、読者会議メンバーを対象にReライフプロジェクトのwebサイトで2020年12月9日~2021年1月28日に実施。有効回答は440人(男性46%、女性54%)。年代別では49歳以下10%、50代33%、60代32%、70代23%、80代以上2%。
本プロジェクトは令和2年度介護のしごと魅力発信等事業(ターゲット別魅力発信事業)として実施しています。(実施主体:朝日新聞社・厚生労働省補助事業)
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福祉・介護に関する情報を必要とする方、仕事に従事したいと考えている方、事業者向けの情報をチェックしたい方など、福祉・介護に携わるすべての人たちをつなぐことを目指しています。
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