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<連載> シネマのある人生(映画部)

今の時代を生きる全ての親子へ 父と子の愛と別れの“卒業式”

【商品モニター会】映画「旅立つ息子へ」 鎌田實先生とオンライン座談会

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2021.03.19

 息子にすべてを捧げてきた父と、ひとり立ちの時が訪れた息子。実話にもとづく親子の愛を描く感動作「旅立つ息子へ」が公開となります。出会いと旅立ちの季節にこそ見て欲しい本作。医師・作家の鎌田實先生とReライフ読者会議メンバーが一足早く鑑賞し、その魅力について語り合いました。

映画「旅立つ息子へ」

心の底から温かくなる! 見事なまでの伏線に脱帽

まず、最初に鎌田先生におうかがいします。映画をご覧になっての率直な感想をお聞かせください。

鎌田 自分自身も2人の子を持つ親ですが、親も子も完璧な人間はいないといつも思っています。この映画に登場する父子は、それぞれに個性が強い。父アハロンは、自閉症スペクトラムを抱える息子ウリを自分が守ると発言しますが、アハロン自身も完璧な人間なんかじゃなく、いくつもの問題を抱えています。じゃあ完璧じゃないって何?と考えたら、それって個性なんじゃないかなと。映画での、その描かれ方がとても良いなと感じました。個性豊かでいびつな2人の人間がどう成長していくのか、その姿が愛情たっぷりに切り取られています。

 物語では見事にちりばめられたいくつもの伏線が回収されていきます。その一つひとつを通して、親子の絆、そして子の自立が映画として見事に描かれています。とくに最後のシーンの仕掛けには思わず脱帽しました。

 心の底から温かくなる映画です。コロナ禍で少しざわつく世の中だからこそ、多くの人に見てもらって、ほんわかとした気持ちになってもらえたらいいなと思いました。

映画「旅立つ息子へ」
© 2020 Spiro Films LTD.

今こそ見て欲しい 新たな人生への心の成長物語

読者のみなさんはいかがでしたか?

星野 まず、息子ウリを演じたノアム・インベルの演技に驚きました。自閉症スペクトラムの子の細かいしぐさや行動特性が本当によく表現されています。父アハロン役のシャイ・アヴィヴィの演技も見事で、父と子のやりとりが愛情深く描かれていて、ドキュメンタリー映画を見ているような感覚になりました。

 鎌田先生もおっしゃった映画のラストシーン。あれは父子にとっての「卒業式」だと思いました。世の中、さまざまな親子がいて、それぞれの親子にいつか卒業式が訪れます。私は息子が入社式を目前に控え、感謝の気持ちを手紙にして読んでくれたことを思い出しました。

鎌田 卒業式っていい表現ですね。人間が生きていく上で、こうしたいくつもの卒業式が大事ですよね。

星野 すべてを捧げてきたアハロンがこの先どうやって生きていくか、彼の第2章がとても気になりました。続編を見たくなりましたね(笑)。

斎藤 タイトルから、こんな風に話が進んでいくのかなと想像していたものの、それを超える感動がありました。アハロンがウリにとって正しいと思っていたことも、冷静に外から見ると違うと思えることがいくつもある。私も、自分と娘との関係に重ねてみて、胸がいたくなる場面がいくつもあったんです。ウリは障害を抱える子どもとして描かれていますが、障害があってもなくても親が子どものことをどうやって考えていくかを見つめ直させてくれる、素敵な作品だなと。

映画「旅立つ息子へ」
© 2020 Spiro Films LTD.

鎌田 生きていく上で、絶対的に正しいことって難しいですよね。絶対的に正しいマルと、逆にあるバツ。その間には無数のいろいろな形をしたサンカクがある。だから、できるだけマルに近いサンカクを探し合うことが、生きる上で大切なのかなと。この映画では、お互いに完璧じゃない父と子が、できる限り完璧なマルに近いサンカクを探していく。どんな結果を選んだとしても、本当にマルなのかはわからないんです。それでも「このサンカクならいいよね」と思うところにたどり着いていることが素晴らしいなって思います。

俵山 アハロンは、自分自身が思ったとおりに生きていけなかったところもあって、子どもに対して密着したのかなと思いました。

映画「旅立つ息子へ」
© 2020 Spiro Films LTD.

 ラストでアハロンが笑っているのか、悲しいのか、複雑な表情を見せて、その表情がとても印象的です。あのラスト、そして「Here We Are」という原題から「2人でここまで来た、これからは新しい道が始まる」という含意を感じました。

鎌田 親は子に、社会のルールや生きていく上で、挑戦して乗り越えていくことを教えていくことが大切だと思うのですが、アハロンは子のために仕事を辞めたり、恋愛の面でもすべてを捨てて子に捧げてきたりした。こうあっちゃいけないんじゃないかと思わせるパターンでした。すべてを捧げてきてしまったからこそ、ウリは成長するのに時間がかかってしまったのかなと。ケースワーカーが「もう子どもではない」と言っても、アハロンは自分が守らないといけないと言う。だけど、それが旅をしながら変わっていくんですよね。

斎藤 私自身も、過去に少し似たような経験をしたことがあります。当時、引きこもりになっていた娘と、映画館に行ったんです。いつもなら隣同士で座るのですが、その日はたまたま席が空いていなくて、離れたところに座って見ました。離れて座ることに不安を感じていたのですが、映画が終わって娘のところに行くと、心を激しく動かされた様子で「涙が出て止まらない」と言うんです。これまで見せたことのない表情でした。2人だけの世界だと起こらなかったであろう化学反応のような、変化が訪れた瞬間でした。

鎌田 偶然にも離れて座ったことが良かったのかもしれないですね。離れたことで映画にぐっと入り込むことになり、それが非日常につながった。旅がそうですが、非日常は今までと違う心の変化を与えてくれやすい。この映画は、さまざまな親子関係、年代によって受け取り方も変わってきて、それぞれに心の化学反応が起こるんじゃないかなと思います。

映画「旅立つ息子へ」
© 2020 Spiro Films LTD.

星野 アハロンは、ウリが失敗しないようにすべてお膳立てして、ウリが困らないようにしてきた。だからウリも居心地が良く、離れたくないと思った。でも旅という非日常が訪れ、思ってもいないようなトラブルが起きてしまう。本来なら、それを乗り越えるだけの力をつけていかないといけないんですよね。やっぱり自分の力で経験することでわかることが世の中にはたくさんある。それをどうやって乗り越えていくのか、子どもたちがどんな生き方をしていくのか、私たち大人はどうするべきかを、あらためて考えさせてくれる映画でした。

鎌田 子どもたちは男女問わず、思春期を迎えて、それから大人になっていきます。それは障害を持っているかどうかも関係ない。思春期は誰しもが心が不安定になる。そんな時に周りの大人はどうしたらいいか、親はどう考えるべきかが見えてくるような映画になっていると思います。小さな子を持つ親にこそ見てもらいたいかな。

映画「旅立つ息子へ」

俵山 価値観の転換や、人生の再スタートを後押ししてくれる映画でもあるなと。仕事一筋だったり子育てに一生懸命だったりした人たちにとって、第二の人生へ踏み出すための応援になると思います。

鎌田 ぜひ親子でも見てもらいたい。子どもたちは人との付き合い方が難しい時代に生きています。旅もできず、故郷へも帰れず、家族とハグすることもできない。3密を防ぐために、心まで離れていっているような感覚です。人間と人間の関係の良さを描いた本作は、こんな時期だからこそ見て欲しい、心に潤いを与えてくれる映画だと思います。

  • 鎌田實さん
  • 鎌田 實 (かまた・みのる)先生
    東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けを作った。チェルノブイリ、イラクへの国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。 現在、諏訪中央病院名誉院長、日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本イラクメディカルネット代表、地域包括ケア研究所所長。

参加した読者会議メンバー

  • 映画「旅立つ息子へ」
  • 星野まり子さん
    東京都・60代

     自分の力で経験してわかることがある。子どもたちが道を選ぶ上で、大人はどうするべきかを改めて考えさせられました。

  • 映画「旅立つ息子へ」
  • 俵山麗さん
    東京都・60代

     父の深い愛情と迫真の演技に感動しました。第二の人生は自分で見つけなさいと、応援してくれるような映画です。

  • 映画「旅立つ息子へ」
  • 斎藤晴子さん
    東京都・50代

     父と子だけの世界から、外に出ることにより起きた化学反応。自分ごとのように感じられる場面の数々に、心を揺さぶられました。

STORY

 愛する息子ウリのために人生を捧げてきた父アハロンは、田舎町で2人だけの世界を楽しんできた。しかし、別居中の妻が自閉症スペクトラムを抱える息子の将来を心配し、全寮制の支援施設への入所を決める。入所の日、父との別れにパニックを起こすウリを見てアハロンは決意する。「息子は自分が守る―。」こうして2人だけの無謀な逃避行が始まった。

3月26日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 [PG12]
監督:ニル・ベルグマン
脚本:ダナ・イディシス
出演:シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン
映画『旅立つ息子へ』公式サイト https://longride.jp/musukoe/
© 2020 Spiro Films LTD.

(企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局)

  • この連載について / シネマのある人生(映画部)

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