老眼かな? と思ったら 専門家が教える老眼改善トレーニング

人生100年時代を生きるキーワード・老眼改善

2021.03.29
老眼改善イメージ

 目を細めてみたり、遠ざけてみたり、スマホを見るのに一苦労。近くはボヤける、遠くは文字が小さすぎる。どうやってもピントが合わず、見るのを諦めてしまった経験はありませんか?

 近頃は、パソコンやスマホなど、日常生活で目を使うことが増えているため、若いうちから老眼の初期症状が表れるケースもあります。ですが老眼は、初期症状の段階で改善のトレーニングをすると、その進行を遅らせることができます。近くにピントが合わないなど老眼かな? と思った時に、少しでも老眼鏡の出番を遅らせる回復トレーニング方法を中心に、老眼の起こるしくみや、老眼との向き合い方をご紹介します。

<目次>

老眼はどうして起こる

 老眼はどのようにして起こるのか、老眼になる原因とそのしくみを知ることで、老眼の対策に役立ててください。

老眼の起こる原因としくみ

 私たちは、眼(め)の中にある「水晶体」の厚さを変え、ピントを合わせることで、遠くのものや近くのものをハッキリと見ることができます。この、水晶体のピントを調節するのが「毛様体筋(もうようたいきん)」です。近くのものをみるためには、毛様体筋を緊張させて水晶体に厚みをだします。加齢にともない、水晶体の弾力が失われて硬くなってしまうと、毛様体筋が緊張しても水晶体の厚さが変わらなくなってしまいます。この結果、近くのものが見えにくくなってしまうのが老眼です。

老眼のしくみ

老眼になりやすい人・なりにくい人

 老眼は老化にともなう症状なので、だれにでも表れる現象です。多くの人は40歳ごろから自覚症状があり、45歳ごろには老眼鏡が必要になります。

 しかし、日頃からものを近くで見る細かな手作業や、パソコン操作をしている人は、早い段階で老眼の自覚症状が出ることがあります。

近視のひとの老眼は自覚しにくい

 遠くのものが見えにくい近視の人は、もともと近くにピントが合っている状態のため、老眼を自覚しにくい傾向があります。ただし、近視用のメガネを常時使用している場合、多くの人と同じように、40歳ごろから近くのものが見えにくいという自覚症状が出始めます。

老眼改善する簡単トレーニング

 では、老眼を改善、回復するために自分でできる簡単なトレーニング方法をご紹介します。

目のストレッチ

 目のピント調節機能を働かせるために、10分に1回程度、意識的に目のストレッチを行いましょう。

<やり方>

  • ① 手元にピントを合わせます。
  • ② 視線をギリギリピントが合う遠い位置に動かします。
  • ③ 視線を手元に戻します。

※メガネやコンタクトをつけたままでも問題ありません。
※視線は、水平だけでなく、天井など上へ向けるのもおすすめです。

100均メガネを使う方法

 100円均一ショップで売っている老眼鏡を使って簡単にできます。ピント調節で緊張状態となっている毛様体筋をほぐすことで、症状を改善させます。ぼやけた焦点の合わない状態をわざと作って、ピントをリセットする方法です。

<やり方>

  • ① まず、100均で売っている+2度の老眼鏡を用意します。
  • ② メガネやコンタクトをつけている場合はその上から、①の老眼鏡をかけます。
  • ③ 1m以上離れている景色や、ポスターなどをぼーっと眺めます。

※毎日5分を目安に、就寝前に行うと効果的です。

老眼がまだなら早めの対策を

 老眼の症状がまだ表れていないという方には、早めの対策をおすすめします。症状が進んでしまった目を元通りに回復させることは難しいですが、老眼になる前に対処しておけば、近くのものがしっかり見える状態をより長い期間キープすることができるからです。

トレーニングで老眼鏡いらずの期間をより長く

 ピントを調節する毛様体筋の力は、何もしなければ加齢とともに衰えていきます。普通であれば、45歳ごろには老眼鏡が必要となります。しかし、刺激を与えて鍛えることで、老化の進行をゆるめて遅らせることができるのです。10秒でできる効果的なトレーニング方法をご紹介しますので、早めの対策で老眼鏡いらずの目を目指してください。

<10秒トレーニングのやりかた>

  • ① メガネやコンタクトはつけている方はそのまま、遠くが見える状態で行ってください。
  • ② 目の前15cmのところに指やペンを立て、その先端にピントを合わせてください。
  • ③ 次に、②でピントを合わせた先端の後方にある遠くのものにピントを合わせてください。
  • ④ そして②と③を2秒ずつ繰り返してください。
  • ⑤ この④の繰り返しを5往復行ってください。
  • ⑥ 空いた時間に1日10回行ってください。毎日続けることが肝心です。

スマホの使いすぎと老眼の関係

 スマホやパソコンなどのデジタル機器は、日常生活にはかかせないものです。ですが、長時間の使用は目に負担をかけてしまいます。第一章で、老眼は老化によるもので、だれにでも表れる症状であるとお伝えしました。

 しかし、近頃ではスマホの使いすぎによる「スマホ老眼」の症状が表れる20代~30代の人も増えています。

スマホ老眼と老眼の違い

 どちらも「老眼」とつきますが、この二つはまったく別物です。ピントを合わせる毛様体筋が老化とともに衰えて、近くが見えにくくなるのが老眼です。「スマホ老眼」の場合は、眼を酷使することによって、この毛様体筋が凝り固まることでうまく働かず、近くが見えにくくなる状態のことをいいます。

 「スマホ老眼」はスマホなどの画面を近くで長時間見ることにより発症します。また、光を直接見続けることで、眼の自律神経に悪影響を及ぼしてしまうことも要因の一つとされています。

スマホ老眼の改善方法

 老眼とは違い、スマホ老眼は毛様体筋のこりをほぐすことで治せます。ここでは、スマホ老眼に効果のある方法をご紹介します。

<ペンさし運動>
目をゆっくりと動かし、目の筋肉をほぐす運動です。同時に、脳を刺激して目のピント調節力を高めることができます。

[やり方1]

  • ① キャップ付きのペンを準備します。
  • ② 右手でキャップを持ち、その手を胸より低い位置にさげます。左手はペン本体を持ち、頭より高い位置に上げます。
  • ③ 一度まばたきをして、左手に持ったペン先を両目で見ます。
  • ④ 右手は動かさず、左手に持ったペン先をじっと見つめながら、ペンを5秒ほどかけてゆっくりとキャップへ目がけて動かし、キャップにペン本体をさします。ここで、一度まばたきします。

※できるだけ顔を動かさず、目だけを動かすようにするのがポイントです。②~④の一連の動作を、1日20回行ってください。

老眼用体操1

[やり方2]

  • より効果がアップする方法です。[やり方1]の方法でペンがキャップにささらないうちは、無理に挑戦する必要はありませんが、簡単にできるようになると、脳への刺激が弱まってしまいます。アレンジを加えて少し変化をつけてみましょう。

(A)ペンと目の距離を変える方法
 腕を伸ばしたり縮めたりすることで、ペンと目の距離を変えてペンさし運動を行います。変化をさせることで、目の動きや脳への刺激が違ってきます。

老眼用体操2-0323

(B)ペンとキャップを持ち替える方法
 ペンとキャップを持つ手を、左右反対にしてペン差し運動をします。これだけでも目の動きや脳への刺激が変わります。

老眼用体操3

<100均メガネ>
 ペン差し運動の他に、第二章でご紹介した「100均のメガネ」を使用する方法も効果的です。

スマホ老眼の予防

 では、スマホ老眼にならないためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。こちらでは、スマホ老眼の予防方法をご紹介します。

1時間に10分休憩をとる
 スマホやパソコンなど、光を発する電子機器を長時間見続けたら、一度休憩を挟むようにしましょう。至近距離で光媒体を見続ける行為は、目に大きなダメージを与えます。意識的に休憩を挟んで、その間は遠くをみたりすることで目を休めてあげましょう。

画面の明るさを暗めに設定する
 明るい方が見やすくて目に良い気がしますが、実は、目には明るすぎるため、ダメージを与えているのです。画面の明るさの設定は、初期には明るめに設定されていることが多いです。支障がない程度に暗めに設定しましょう。暗くした分、目が直接見る光は少なくなるため、疲れも軽減されます。

目のまわりを温める
 スマホの画面は高速で点滅していて、人の目はそれを追っています。このため、紙に書かれたものを見ているときよりも瞬きが極端に少なくなってしまいます。その結果、スマホを使っている8割の人が「ドライアイ」だと言われています。そんなドライアイに効果的なのが、目のまわりを温めて目の血行を良くする方法です。

[目のまわりを温める方法]

  • ・ぬらしたタオルを絞って、レンジで40秒程度温めます。温めたタオルをまぶたの上に5分ほど置いてください(やけどに注意してください)。
  • ・お風呂で、タオルをお湯に浸して軽く絞ったものをまぶたにのせます。
  • ・市販のホットアイマスクを利用するのもおすすめです。

<関連記事>

老眼を放っておくとどうなる

 老眼かもしれないと思いながらも、老眼鏡を使わず見えないまま過ごしていると眼精疲労がピークをすぎ、体調不良となって別の症状が表れることがあります。頭痛、肩こり、食欲不振など最近体調がすぐれないと感じるようであれば要注意です。

 また、老眼の症状に気がつかない場合でも、老眼が進行していることもあります。ただの疲れ目だと決めつけず、症状を少しでも感じたら無理をしないで老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズの使用を検討してください。

トレーニングで老眼改善、そして快適に過ごす選択を

 老眼は、ほとんど誰もが経験する老化にともなう症状です。ですが、もしかして老眼かも? と気になる時期から老眼改善のトレーニングをすることで、その症状の進行を遅らせることができます。毎日の生活の中で、1時間に1回遠くにピントを合わせてみるなど意識的に目を動かし、ストレッチすることを心がけましょう。

 また、老眼鏡やコンタクトレンズを早い段階から取り入れることで生活が楽になったり、肩こりなど体調が改善したりという事例もあります。近頃は遠近両用メガネも進化し、見た目にも抵抗なくかけられるものが増えています。早めに老眼を受け入れて、自分の目とうまく付き合っていくことも検討してみてください。

(取材・文 原幸代)

監修:梶田雅義

  • 梶田雅義
  • 梶田 雅義(かじた・まさよし)

    東京医科歯科大学医学部 臨床教授

    1976年、国立山形大学工学部電子工学科卒業。1983年、福島県立医科大学卒業。1993~1995年カリフォルニア大学バークレー校へ留学(研究員)。2003年、梶田眼科院長。2018年、東京医科歯科大学医学部臨床教授に就任。眼の使い方は自律神経に直接影響するという独自の考えから、遠近両用やプリズム眼鏡を用いた調節機能の補助を軸とした治療を行う。全国から多くの患者さんが訪れ、テレビや雑誌などのメディアでも活躍している。

関連記事

あわせて読みたい

おすすめ記事

PAGE TOP