【読者会議】心に焼きつく 特別な写真

<Reライフアンケート>あなたの忘れられない「1枚の写真」は?

2021.05.16

 あんなこともあった、こんなこともあった……。1枚の写真を見ると、撮られた当時のさまざまな思いや記憶、感情がよみがえることがあります。あなたにとっての「心に残る1枚」は?

弟への罪悪感 救いになる一枚

 宇都宮市の高橋文子(ふみこ)さん(58)の忘れられない1枚は、6歳のとき、2歳下の妹、4歳下の弟の3人で写ったスナップ写真だ。写真の中の幼い3人は、はち切れそうな笑顔で顔を見合わせている。「みんな、似てる顔。そしてすごく、幸せそうなんです」

 4歳のときに生まれた弟の憲(あきら)さんは、きょうだいで初めての男の子だった。かわいいと思う一方、父が特別にかわいがるのが悔しかった。「つい意地悪ばかりしてしまったことを、いまでも覚えているんです」。文子さんにとって、弟との思い出の多くが、苦い記憶となって残っていた。

 今も鮮明に覚えているのが、夏休みに、まだ幼稚園児だった憲さんと、妹の3人でプールに行ったときのことだ。その日、新品の水着を買ってもらった憲さんがうらやましくて、文子さんはずっと「ずるい」と冷たくあしらっていた。すると突然、憲さんが「もう帰る」。片道数十分ほどはある自宅までの道を、とぼとぼと歩いていったという。「止めてあげることも、謝ることもできなかった」。泣きながら帰ってきた憲さんの様子を母から聞き、幼心にわだかまりを残していた。

 やんちゃで、元気いっぱいだった憲さん。だが突然、そんな憲さんに異変が起きた。幼稚園の年長だった年の秋、「足が痛い」「歩けない」と訴えて病院に行ったところ、急性骨髄性白血病であることがわかった。すぐに入院し闘病生活が始まったが、小学校入学を間近に控えた翌年2月に息を引き取った。「なんてひどいことばかりしてしまったんだろう」。もっと優しくしておけばよかった、謝ってあげればよかった……。憲さんに対するこうした後悔は、何十年たっても消えなかった。

 そんな思いを少し変えてくれたのが、この1枚だった。最近になって母が実家を整理しているときに見つけ、おそらく自宅前の駐車場で撮ったものだという。撮られた時の様子は全く覚えていないが、きょうだい3人でこんなに楽しそうな時間を共有できていたことに、心が救われる気がした。「嫌なことばかりじゃなかったかな、楽しいこともあったかな、と思えました」

 写真はスマホの待ち受けにして、一日に何度も見返している。昨年、父も亡くなった。「向こうで、楽しくおしゃべりしていてね」。そんな風に、憲さんに声をかける毎日だ。

読者会議|忘れられない1枚の写真は

結婚60年 何げない後ろ姿

 結婚してもうすぐ60年になる夫との、後ろ姿の写真です。通院に付き添ってくれた長女が、会計待ちのロビーで肩を並べる私たちを撮ってくれたものです。後ろ姿の写真は、これが初めてでした。
 まさか撮ってくれているとは思わず、2人とも「何も考えていないそのままの姿」。だからこそ、なんだかほっとするような安心感があります。「このままの時間が続きますように」と、いまも電話のそばに飾っています。
(埼玉県 吉村朝子さん 81歳)

友人に囲まれ 過去も卒業

 大学の卒業式のあと、友人たちと撮った写真です。はかま姿ということもありますが、それだけではない特別な1枚です。
 私は小中学校時代にいじめにあい、あまりいい思い出がありませんでした。ですが、このときはたくさんの人から花束をもらい、笑顔で写真を撮っていただきました。2年前に亡くなった父が、「こんなに友だちがいっぱいいて、お前、良かったな! 」と言ってくれたのを、いまも覚えています。
(千葉県 女性 52歳)

カメラ目線で笑顔のはずが

  2019年に開催された「湘南国際マラソン」に参加したときに撮ってもらった写真が、私の忘れられない1枚です。
 約10年前から始めたマラソンですが、フルマラソンを走るのは、その日が初めてでした。カメラ目線で笑顔の自分が写っていると思っていたのに、写真の中にいたのは、とても苦しそうな表情をした自分でした。この写真を見るたびに、「次のマラソンでは笑顔で走れるように」と思います。
(神奈川県 実藤祐樹さん 41歳)

 Reライフ面では月替わりのテーマで皆さんの意見や体験談をお寄せいただき、紙面で取り上げます。最新のReライフ面アンケートの詳細はこちらのページでご確認ください。
 回答を踏まえて記者が取材をお願いすることや、紙面だけでなくウェブページで回答を掲載する場合があります。あらかじめご了承ください。

関連記事

おすすめ記事

PAGE TOP