<読者ブログ>

<連載> 美術館探訪(アート部)

クリエイティブディレクター「佐藤可士和」のすごさを見た

読者会議メンバーが見た「佐藤可士和展」

2021.05.27

 現代日本を代表するクリエイティブディレクターの過去最大規模となる個展「佐藤可士和展」(2021年2月3日~5月10日、※コロナ禍対応で緊急事態宣言が出されたことに伴い4月24日終了)が国立新美術館で開かれました。チケットプレゼントに当選され、鑑賞したReライフプロジェクト読者会議メンバーの感想を紹介します。

読者会議メンバーが訪れた企画展

  • 佐藤可士和展チラシ縦
  • 「佐藤可士和展」
    国立新美術館

     佐藤可士和。今回の展覧会が迫ったのは、ユニクロ、楽天、T-POINTといった誰もが知るロゴだけではありません。幼少期のコラージュに始まる約30年にわたる活動の全容です。広告代理店勤務時代の屋外広告やグッズ展開。グラフィックデザイン。企業から病院・伝統文化まで様々な分野のブランディング、ブランドのトータルプロデュース。そしてアートワーク……。その活躍は、今なお広がり続けています。

新型コロナ、可士和さんならどうアプローチ?

 可士和さんの作品は、どれも有名なものばかりで、ロゴや商品、広告、ポスターといった媒体を通して訴えてくるパワーはものすごく、その仕事量と一つ一つの作品の緻密(ちみつ)さに驚かされました。私たちの生活の中に入り込んできている可士和さんの作品は、目に見える媒体を作るだけでなく、コンセプトや概念といったものをクリエートするところから始まっていて、今治タオルのブランディングに関する仕事を見るとよくわかります。
 昨今の新型コロナウイルス感染症に対する政府の対策を見ていると、やっていること、言っていることはまっとうですが、今一つ私たちの生活や心の中にすっと入り込んできてはくれません。もし可士和さんが対策会議のメンバーに加わっていたら、国民にどうアプローチしていただろうか、どういう手法を取っただろうかと考えてしまいます。新型コロナという、娯楽とは対極にあるものにこそ、可士和さんのようなクリエーターの力が必要だと感じました。
(神奈川県 堀越恵子さん 50代)

壁一面に商品パッケージ 包み込まれる安心感

 初めてのデザイン展鑑賞だったが、非常に興味深く楽しめた。身近な商品デザインが多いので親近感を持てたのが最大の理由だとは思うが、それ以外にも、作品のほとんどが撮影可能なことも重要な要素だと思う。巨大なモニュメントの前で記念写真を撮る人も多く、たいへん自由な明るい雰囲気が醸し出されていた。セブンイレブンの商品パッケージが壁一面に貼り付けられているコーナーでは、何か包み込まれるような安心感さえ感じられた。
 デザイン図面はほんの一部しか掲示されていないのは残念だった。「この線とこの線が微妙な段差を持たせているのはなぜなのか」といった疑問からデザイナーの思考を推理するのも一興で、できれば解説を聴きたかった。
(東京都 櫻井良樹さん 60代)

企業のトータルイメージ作りに革新的な足跡

 今回の展覧会で佐藤可士和さんの長年にわたる幅広い活躍を初めて知った。企業にとってロゴは単なる顔以上の意味があると思う。商品を連想させるだけでなく、企業のポリシーにも直結する大事なイメージ戦略を担っている。ヒトやモノを売り込む時、商品を連呼するのではなく、渋谷の街全体を使ってイメージを作り、街ゆく人たちに刷り込む。スマートに、オシャレに、カッコよく、最近ではエコとサステイナビリティーも大事なイメージ戦略だろう。
 デザインをこのように戦略的に考えて企業のトータルイメージ作りに革新的な足跡を残してきたのが佐藤可士和さんなのだと、今回の展示会で分かった。
 今や、商業デザインの分野を超えて、建築家の隈研吾さんとコラボして団地作りに関わったり、ステキな幼稚園作りに参画したり。更なる活躍の場を広げているのも頼もしい。佐藤さんの足跡をたどりながら日本の商業デザインの進歩を確認し、新しい未来が見えてくる、良く出来た企画展示だと思う。
(千葉県 俵惠理子さん 60代)

佐藤可士和展 展示風景2
「THE LOGO」のセクション 展示風景(撮影:山本倫子)

コロナ禍が終息したら ぜひ第二弾の展覧会を

 感想文の推敲(すいこう)に苦戦していた。展示の迫力に圧倒され思うように表現できず、文章力の無さを嘆いていた。そんな折、三度目の緊急事態宣言の発出、展覧会の前倒しの閉幕。鑑賞してきた者の使命として、つたない文章ながら感想をお届けしたい。
 あまたの企業ロゴや商品ラベルはどれもが周知のもの。整然としたつくりは緻密(ちみつ)に計算された設計図に基づく。その膨大な作品は日本の経済を動かす重要な鍵と言える。また構造物の設計も意表をつくものばかり。今後も賞嘆と共にその活躍を目の当たりにしていくことだろう。そしてコロナ禍終息の暁には第二弾の展覧会が開催されることを切に願う。
(神奈川県 高原祥子さん 50代)

「SMAP」の4文字が、こんなおしゃれにポップに

 4月の平日、会場の入り口には入場を待つ列ができ、人々の関心の高さがうかがえました。入ってすぐの広いスペースには、鮮やかな色彩の見慣れた商品やポスターがずらりと並んでいます。あれもこれも、佐藤可士和作品だったんだ。すごい!と思わずうなってしまいました。
 中でも、SMAPに関係する作品群が素敵です。アルファベット4文字が、こんなにおしゃれに、ポップになるなんて。次のTHE LOGOのコーナーでは、企業のマークがずらり。ロゴって思いつきの産物と感じていましたが、設計図を見ると、綿密な計算で生み出された作品だとわかります。行く前は、工業デザインの見本市かと思っていましたが、間違いなく現代美術の展覧会でした。
(東京都 大澤由子さん 60代)

アーティストである以上に、アートディレクターだ

 コロナ禍緊急事態宣言の発令で、4月24日の朝、同日をもって終了というニュースをホームページで発見。予定などそっちのけで、大急ぎで国立新美術館へ。チケット購入の長蛇の列。並んでいる間に音声ガイドのバーコードが提供される。非常にありがたい。佐藤可士和自身のインタビューも入っている。
 最初に目に飛び込んできたのは、モノクロの「6 ICONS」。博報堂入社時に作成したものとのことだが、佐藤可士和は最初から彼なんだな、と思わせる。
 展示は幼少期の作品から、この30年にわたる彼の作品がこれでもか、これでもかと続いていく。単なるデザインでなく、とりあつかう企業やキャンペーン、商品、サービス、業態は多岐にわたる。さらに、作り出すものは、ロゴやデザインにとどまらない。表現の種類、そのフィールドを街全体に、とりまく世界に広げていく。
 どんどん広がるのに、伝えたいモノ・コト・メッセージは的確に伝わっていく。これは、経営者や表現者の思いを考え抜いた末に作り出されたデザインであり、それをどこで表出するかを選びぬいた結果なのだろうと思う。佐藤可士和はアーティストである以上に、アートディレクターなのだ。
(東京都 菊住泰子さん 50代)

  • この連載について / 美術館探訪(アート部)

    Reライフ読者会議では、登録メンバーを展覧会に招待し、作品を鑑賞した感想を投稿してもらう企画を不定期で開催しています。作品の感じ方は十人十色。アートに正解はありません。そんなアート好きのReライフ世代の感想を集めました。

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