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<連載> ひとことブックレビュー

戦場ではおいしさは二の次、生き抜くための工夫が満載 食は奥深いと再確認しました

「戦国、まずい飯!」を読んで/連載・ひとことブックレビュー

2021.06.24

 読者会議メンバーからブックレビューを募る企画に、「戦国、まずい飯!」を読んだ感想が届きました。戦国時代に思いを巡らし、食べ物の有り難さ、奥深さも感じたようです。

読者会議メンバーが読んだ本

  • 戦国、まずい飯書影とりかえ
  • 戦国、まずい飯!
    黒澤はゆま(著)
    出版社:集英社インターナショナル

     糠(ぬか)味噌汁を残した井伊直政、雑草を食べた真田信之、お肉好きな豊臣秀吉……。歴史小説家として活躍する著者が、さまざまな文献から戦国時代の食にまつわる面白いエピソードを紹介。さらにはそこに登場する料理を再現、実食する。果たしてその味は……。うまいのか? まずいのか? 食を通して、戦国時代の人びとの暮らしぶりを知り、思いをはせる。

砂糖が貴重品だった子供の頃の「甘い記憶」を思い出しました

 私は歴史小説を読むときはイメージを膨らませる手段として、地図や古戦場資料などを横において読むのを常としています。
 そこで、この本。
 戦国時代の食物に目をつけるとは。まさしく目からうろこでした。「兵站(へいたん)」など最重要課題です。日常の食べ物についても、令和の自分たちが食しているものとは違うのはわかっているはずでした。にもかかわらず「現代」の食べ物感覚で読んでいた自分が居たことを否定できません。今後、戦国時代を読むとき、想像力を高めてくれる良書です。
 昔の食べ物は生きるためだけでなく味わいを楽しむ余裕もあったのではと思います。私の子供の頃はみな「甘さ」に飢えていました。砂糖は貴重品で、砂糖の山の中で遊ぶ夢をみたこともあります。今は、目もくれない木の実や果実を探して食べたりしました。それでも甘い記憶があります。その実体験を思いながら、昔の人たちも、それなりにおいしく食べる人もいたのではと思いました。
(宮崎県 伊藤信政さん 60代)

自身の足で調べ、実体験しているところも楽しく読めました

 まずい飯を食べて戦えるのか? いや、まずい飯だからこそ底力がでるのやもと思いながら読ませてもらった。
 第1章の曲金北遺跡に「え? それ登呂遺跡の間違いじゃないの?」とすぐググって「へぇ、グランシップの下に埋まってるんだ」と判明。地元民でありながら恥ずかしい限りだ。第2章の万千代が忠世にたしなめられた件は自身の上司もこうであって欲しいなと本気で思う。
 第4章の干し飯は子どもの頃、母がそれらしき代物を作ってくれたことを思い出した。第8章のほうとうも興味深く、塩が入らない理由がなるほど納得であった。第9章で信長に「殺せ」「水くさくて食えたもんではない」と言われた料理人が理路整然と言い放った場面は、「あっぱれ!」と大いに褒めたい。
 読み進んでいくと、卒論を書いた当時を思い出した。どの章も自身の足で調べ、実験(体験)しているところも楽しく読めた。戦場ではおいしさは二の次だが、生き抜くための工夫が満載。改めて食は奥深いと再確認した。
(静岡県 小林希美子さん 60代)

空腹感が増して……好き嫌いせずになんでも食べなくては

  あれ? ん? 題や帯のコピーから想像(期待)していた内容とは違う?? 「研究者にはならなかった」歴史小説家さんだけあって、歴史背景は詳細に調べられていて、歴史の勉強にはなります。が、「まずい飯!」はあんまり登場しないですね。
 戦国時代、記録や情勢からすればこんなものを食べていただろう、それを再現して食べて(飲んで)みた、で、作者さんの感想、という具合。食いしん坊の読者にはおなかいっぱいになれずに食べ足りない感が残ってしまいました。
 むしろ「歴史の勉強」で消費したエネルギーのほうが大きい! で、空腹感が増します。もっとも、戦国時代には腹いっぱい食べるなんてなかなか難しいことだったのでしょうから、作者さんの思うツボにまんまとはまったのかもしれません。
 ひとりあたま1日に米6合(!)というのがいちばん印象に残っています……。好き嫌いせずになんでも食べなきゃね~、と感じたところにも、本作を読んだ意味を感じました。
(東京都 楠本岳志さん 50代)

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