骨盤底筋トレーニングで尿漏れ改善、日常生活での体の使い方にも注意を

理学療法士・田舎中真由美さんに聞く

2021.07.16

 尿漏れ(尿失禁)や頻尿など「尿トラブル」に悩んでいませんか? 「トイレが不安で外出しづらい」「だれにも相談できず困っている」。そんな中高年の読者も多いようです。朝日新聞Reライフプロジェクトはこの問題に光をあて、ともに考えていきます。理学療法士の田舎中真由美さんに骨盤底筋トレーニングについて、お話をうかがいました。

膀胱支える骨盤底筋を鍛えよう

 骨盤底筋(群)は、子宮や膀胱など骨盤内の臓器を下から支えています。妊娠・出産、肥満、加齢、日常生活での姿勢の悪さ、手術などが原因で衰えたり傷ついたりします。骨盤底筋が衰えると骨盤内の臓器を支えきれず、膀胱が圧迫され、尿漏れにつながることがあります。

 しかし、骨盤底筋を鍛えれば、尿漏れの症状を改善できます。効果が期待できるのは、せきやくしゃみをした時や、重い物を持った時に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」、尿意を感じてからトイレに行くまでに漏れてしまう「切迫性尿失禁」、両方の症状がある「混合性尿失禁」のケースです。

 立ってする骨盤底筋トレーニングを紹介します。肩幅くらいに足を開き、息を吐きながら骨盤底筋を引き締めます。女性は膣、男性は陰茎を持ち上げるイメージでやってみましょう。

理学療法士 田舎中真由美さんの骨盤底筋トレーニング

 無理のない範囲で5~10秒ほど息を止めた後、ゆっくりと息を吸いながら骨盤底筋を緩めます。1セットにつき8~12回繰り返します。1日4~6セット続けると、2~3カ月ほどで効果が表れます。

 椅子に座った状態や四つんばい、仰向けに寝た状態でも同様にトレーニングできます。仰向けの場合は両ひざを立てます。いずれのトレーニングも背筋を伸ばしてしましょう。背中が丸まると腹圧がかかって、逆効果です。

 「正しく骨盤底筋トレーニングをできているかわからない」という声をよく聞きます。正しく骨盤底筋が収縮しているかを確認する方法があります。

 女性の場合、膣に指を入れるのが最も正確に確認できます。膣に指を入れた状態でトレーニングをすると、指が膣壁に締め付けられ、キュッと持ち上がる感じがあれば正しくできています。

 椅子に座って確認する方法もあります。椅子に座った状態で、片手で尾骨を触ります。お尻の割れ目から下に指を滑らせると尾骨に触れます。もう一方の手はおへそから下の方に滑らせ、恥骨の上に置きます。

 それぞれの手で尾骨と恥骨を触ったまま、ゆっくり膣または陰茎を持ち上げるイメージで骨盤底筋を引き締めると、尾骨が恥骨の方へ近づくのがわかります。その感覚があれば正しくトレーニングできています。

日常生活での体の使い方に注意

 尿漏れを改善するには、骨盤底筋トレーニングだけではなく、日常生活で正しい体の使い方を意識することも大切です。例えば、立った状態で床の上の物をとる場合、腰を曲げてとると腹圧がかかります。膝と股関節をしっかりと曲げ、スクワットをするようにしゃがみます。 

 排便時の姿勢も重要です。尿漏れに悩む人の中には、便がかたくて便秘気味という人が多い。後ろにもたれかかるような姿勢で便座に座っていきみ、腹圧をかけている人がいます。

 便座に座ったら両手を膝の上に置いて上半身を前に傾け、ゆっくりと呼吸します。排便に関わる骨盤底筋が緩んで便が出やすくなります。ロダンの彫刻「考える人」の姿勢です。

 尿漏れは骨盤底筋の緩み以外が原因のこともあります。男性の場合、前立腺の病気の可能性もあります。尿漏れの程度がひどくなったり、トレーニングの効果がないと感じたりした時は泌尿器科や女性骨盤底外来を受診しましょう。(談)

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  • 田舎中真由美
  • 田舎中 真由美(たやなか・まゆみ)

    理学療法士 「フィジオセンター」センター長

    1973年、長野県生まれ。信州大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業。熱川温泉病院(静岡県)での勤務を経て、リハビリテーション機器の製造・販売などを手がけるインターリハ社(本社・東京都北区)に入社。2003年、理学療法士によるリハビリやコンディショニングを受けられるフィジオセンター(東京都港区)を同社内に開設。専門は、腰や骨盤周りの痛み、産後の骨盤周りのゆるみや痛み、尿漏れの改善。著書に『胸ひらきで調子のいい自分がずっと続く』(主婦の友インフォス)『まゆみんが教える!!骨盤底機能』(ヒューマン・プレス)。

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