<連載> 尿漏れ相談室

尿漏れを改善する骨盤底筋トレーニング、正しいやり方は?

理学療法士が答えます(1)

2021.08.20

 尿漏れ対策で重要な骨盤底筋トレーニングですが、取り組んだことがある人からは、「正しくできているか自信がない」「続けているが、尿漏れが改善しない」といった声が多く聞かれます。骨盤周りのケアに詳しい理学療法士の田舎中真由美さんに、正しいトレーニング法を教えてもらいました。

田舎中真由美さん
骨盤周りのケアに詳しい理学療法士の田舎中真由美さん

基本の骨盤底筋トレーニングは4種類

 骨盤底筋(群)は、子宮や膀胱(ぼうこう)など骨盤の中にある臓器を下から支えています。妊娠・出産、肥満、加齢、日常生活での姿勢の悪さ、手術などが原因で衰えたり傷ついたりします。骨盤底筋が衰えると骨盤内の臓器を支えきれず、膀胱が圧迫され、尿漏れ(尿失禁)につながることがあります。

 しかし、骨盤底筋を鍛えれば、尿漏れの症状を改善できます。効果が期待できるのは、せきやくしゃみをした時や、重い物を持った時に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」、尿意を感じてからトイレに行くまでに漏れてしまう「切迫性尿失禁」、両方の症状がある「混合性尿失禁」のケースです。

 理学療法士は体づくりと動きの専門家です。尿漏れに関わる重要な筋肉の骨盤底筋が正しく使えているか、また、そのトレーニング方法や尿漏れを起こさないための体の使い方などを指導しています。

 骨盤底筋トレーニングは何種類もありますが、今回は基本的な4種類を紹介します。

骨盤底筋トレーニング 仰向け
イラストはいずれも理学療法士の田舎中真由美さんによる

 まずは「仰向け」からです。

 仰向けに横になり、両膝を三角に曲げます。息を吐きながら、骨盤底筋を引き締めます。5~10秒ほど息を止めた後、ゆっくりと息を吸いながら、骨盤底筋を緩めます。

 骨盤底筋を引き締めるとき、女性は膣(ちつ)を引き上げるようなイメージで、男性は陰茎を持ち上げるようなイメージをするとやりやすいです。骨盤底筋に力を入れている間は、呼吸は止めないようにしましょう。

 これを8~12回繰り返して1セットです。1日4~6セットが目安です。

骨盤底筋の持久力と瞬発力、両方を鍛えよう

 例えば、骨盤底筋を引き締めた状態を5秒間保てる人は1セットにつき8回しましょう。これを1日4セットすれば、計30回以上することになります。余裕がある方は少しセット数を増やして行ってみましょう。少し疲れやすい、持久力がないと感じる方は、5秒間の運動を5回、5~6セットから始めて、少しずつ、力を入れられる時間やセット数を増やしていきましょう。

 一方で、素早く引き締めて素早く緩めるというトレーニングも重要です。この素早く力強い収縮を10秒間に8~10回を目指して行ってみましょう。この1セットを1日で計4~5セットできるといいですね。

 骨盤底筋を効果的に鍛えるには、持久力と瞬発力の両方を鍛えることが重要です。持久力は、骨盤底筋の上の方にある臓器を支えたり姿勢を保ったりするための力です。瞬発力は、せきやくしゃみなど、一時的に腹圧が高まった時に対応する力です。

骨盤底筋トレーニング 四つんばい

 次は「四つんばい」です。両腕で体を支えることができない人は、両ひじをつきましょう。手順は「仰向け」のときと同じですが、四つんばいで、両ひじをつくと、お尻が上がり、頭が下に下がるので、内蔵を頭側に戻しやすくなります。トレーニングの姿勢が安定すると骨盤底筋にも力が入れやすくなります。

骨盤底筋トレーニング 座位

 3種類目は椅子に座った状態でします。これも基本的な手順は先の2つと同じです。電車で座った時や、自宅で仕事したりテレビを見たりしながらでもできる方法なので、おすすめです。座った状態での骨盤底筋トレーニングは寝て行うトレーニングと異なり、上にある内臓を支えることになるので、少し負荷が高くなります。力まずに、呼吸を止めずにできるかを確認してから行いましょう。

骨盤底筋トレーニング 立位

 4種類目は立った状態でします。これもやはり基本的な手順は同じです。これも電車の中で立っている時や、台所などでの立ち仕事の合間にやるのがおすすめです。立った状態での骨盤底筋トレーニングは上にある内臓を支えるので、座位でのトレーニングと同様に、やや負荷が強くなります。トレーニングがうまくできている方は最後はこの立った姿勢で行うようにしましょう。

 4種類どれでもできるという人は、寝て行うトレーニングと、座ってまたは立って行うトレーニングを組み合わせでやってみるといいでしょう。(談)

  • 田舎中真由美
  • 田舎中 真由美(たやなか・まゆみ)

    理学療法士 「フィジオセンター」センター長

    1973年、長野県生まれ。信州大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業。熱川温泉病院(静岡県)での勤務を経て、リハビリテーション機器の製造・販売などを手がけるインターリハ社(本社・東京都北区)に入社。2003年、理学療法士によるリハビリやコンディショニングを受けられるフィジオセンター(東京都港区)を同社内に開設。専門は、腰や骨盤周りの痛み、産後の骨盤周りのゆるみや痛み、尿漏れの改善。著書に『胸ひらきで調子のいい自分がずっと続く』(主婦の友インフォス)『まゆみんが教える!!骨盤底機能』(ヒューマン・プレス)。

  • この連載について / 尿漏れ相談室

    人に相談しづらい「尿漏れ」や「頻尿」の悩み。トイレが気になって外出に不安を抱える読者も多いようです。トラブル対策や治療方法、自分でできる骨盤底筋トレーニングなどを泌尿器科医や理学療法士がご紹介します。

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