<読者ブログ>

<連載> 美術館探訪(アート部)

「なるほど! 」作品の意味、鑑賞の仕方を教わり目からうろこ

読者会議メンバーが見た「ざわつく日本美術」展

2021.09.22

 作品を見た時の「えっ? 」「うわぁ…」といった、言葉にならない「心のざわめき」とは何かを解きほぐし、来館者の「心のざわめき」を引き出そうとする展覧会「ざわつく日本美術」(2021年7月14日~8月29日)がサントリー美術館で開かれました。同館の開館60周年記念展の一環です。チケットプレゼントに当選され、鑑賞したReライフプロジェクト読者会議メンバーの感想を紹介します。

読者会議メンバーが訪れた企画展

  • ざわ美ポスター
  • 「ざわつく日本美術」展
    サントリー美術館

     展示は全6章から構成されました。各章のキーワードは「うらうら」「ちょきちょき」「じろじろ」「ばらばら」「はこはこ」「ざわざわ」。名品から珍品、秘宝まで、作品を「見る」という行為を意識して楽しむ、そんな展覧会をめざしました。併せて展示方法も各章ごとに工夫をこらし、来館者の遊び心をくすぐるものになりました。

ざわつく日本美術外観提供

作品の作られた時代や場面を想像しながら楽しんだ

 美術館の方しか見られない物、また、普段私がすることのない作品の見方を教わることができ、とても興味深い展示でした。
 これまで知らなかった裏側を垣間見ることにより、作品の作られた時代や場面を想像しながら楽しませて頂きました。単に美術鑑賞をするよりも、もっと作家やその作品が作られた時代の生活を身近に感じることができて良かったです。
(神奈川県 塩崎陽子さん 50代)

なかなか見られぬ側面に焦点 楽しさの幅大きく広がる

 「ざわつく日本美術」?  日本美術といえば荘厳、静謐(せいひつ)、わび、穏やかというのが私の抱くイメージでしたが「ざわつく」って何だろう。
 最初に興味を引かれたのは「うらうら」です。通常の展示では鑑賞しづらい美術品の裏側や底面が鏡などを利用して見られる展示でした。中でも色絵磁器(有田焼)等は過剰なまでにアイテムを詰め込んだ表側に比べて裏側の絵柄は表のテーマに沿いながらも、よりすっきりと洒脱(しゃだつ)なもので構成され、作者の美意識がよく表れていると感じました。 また「ざわざわ」のコーナーの「放屁(ほうひ)合戦絵巻」(室町時代)では平安時代の「鳥獣人物戯画」にも象徴される諧謔(かいぎゃく)や風刺、ほくそ笑みの精神がこのような形で受け継がれ、現代の四コマ漫画等に継承されているのかと感慨深いものでした。
  普段の日本美術展ではなかなか見られない側面に焦点を当てた展示は鑑賞の楽しさの幅を大きく広げてくれるものでした。また同様の展覧会があれば是非鑑賞したいです。
(神奈川県 穂満正治さん 60代)

ざわつく日本美術放屁合戦絵巻
第6章「ざわざわする」の展示風景 放屁合戦絵巻(一部) 室町時代 1449(文安6)年写 サントリー美術館

模様や色の意味、場所、裏側の美しさ…感心して拝見

 タイトルがとても気になって是非見たいと思っていました。普通の美術展より説明が丁寧でポイントをうまく説明されていたのでいつもと違った所を面白く見学出来ました。
 皿や着物に書かれていたり刺繡(ししゅう)されていたりする模様や色の意味、場所、裏側の美しさ、箱書きや直している所の理由や意図など「なるほど」と感心しながら面白く見て回れました。とても豊かな一日でした。
 チケットを頂いた時期が会期終了の半月前で、ちょうどコロナ感染拡大で外出がはばかられる最中でしたので、電車移動の不安で躊躇(ちゅうちょ)する気持ちと見たい気持ちでギリギリまで迷い、結局車で出かけました。
(東京都 戸塚忍さん 50代)

ざわつく日本美術宝尽文
第3章「じろじろする」の展示風景 茶練緯地宝尽模様腰巻(ちゃねりぬきじたからづくしもようこしまき)一領 江戸時代 19世紀 サントリー美術館

ちょっとしたヒントで「なるほど」 ざわつく愉快な企画

 まず入館して驚いたのは「カメラで自由に撮影してください」と言われたことで、日本ではあまり推奨されないが、ヨーロッパ等の美術館はストロボを使わなければ……という条件付きで許されているところが多い。
 小学生と思われる子供が一生懸命に作品を見ながら、能面の裏側をスケッチしている様子もうれしかった。「こどもびじゅつかん! オンラインわくわくシート」なるパンフレットが用意されていて、6つのテーマから1つずつ課題が出されていた。 ただ漫然と見て回るなら、気が付かないことが、ちょっとしたヒントで「なるほど」とざわつくのは愉快な企画である。
 例えばじろじろするコーナーの江戸時代の「雨宿り図屏風(びょうぶ)」はユニークな一瞬を描いている。子供の楽しそうな表情、燕(ツバメ)が低い位置に飛んでいる様子は、解説を見て初めて「なるほど」と思わされた。
 テーマが6つのコーナーに分かれ、この企画に携われた学芸員のご苦労が、見終わった時点で良く分かった。
(埼玉県 長谷川洋さん 70代)

ざわつく日本美術雨宿り図
第3章「じろじろする」の展示風景 雨宿り図屛風(一部) 高嵩谷 六曲一隻 江戸時代 18世紀 サントリー美術館

90歳の義父に刺激 再び絵筆を握る日が近いかも

 義父は90歳。趣味で水彩画を描き始め、もう半世紀になる。しかし、去年からのコロナ禍で家でジッとしている日々が続き、すっかり絵筆を取らなくなった。「ずっと家にいるのだから、絵でも描いてみては? 」と言っても、「何だか描く気がおこらなくてね…」と苦笑いを浮かべるだけだ。
 すっかり腰の重くなった義父を、無理やり「ざわつく日本美術」展へ連れ出した。いかにも気乗りしないていだったが、一歩会場に入ると、目の色が変わった。
 アッという間の2時間だった。特に義父が気に入ったのは、「おならバトル」の絵(放屁合戦絵巻)。いつまでも、ニヤニヤしたり、ウ~ンとうなったり、すっかり日本美術の繊細さに感じ入ったようだった。 「僕の描くのは荒っぽいものばかりで、ダメだなぁって、つくづく思ったよ。それにしても、くたびれた。こんなに歩いたのは、久しぶりだ」
  義父の声が、いつになく生き生きとしている。再び絵筆を握る日が、近いような気がした。
(東京都 堀川勝さん 60代)

特に絵巻に見応え どの時代も求められる娯楽は同じ

 まず宣伝のポスターがとても目を引くと思いました。なにこの男の人は! と立ち止まった人も多いと思います(五代目尾上菊五郎です)。
 そしてテーマがこれまた「ふざけているの? 」というフレーズ。「ばらばらする」「はこはこする」など、日本語の言語学者からは怒られるようなネーミング。しかし展示物は、いたってまじめ。特に絵巻は見応えがありました。
 今で言う漫画のような絵巻や、少々エロチックな絵巻など、どの時代も求められる娯楽は同じようなものだと思いました。
(神奈川県 臼井慶子さん 50代)

ざわつく日本美術会場
第4章「ばらばらする」展示風景
ざわつく日本美術小男鹿丸
第5章「はこはこする」の展示風景 「笙(しょう) 銘 小男鹿丸(さおしかまる)」の箱 サントリー美術館

展示中の硯箱を「作ってみる」体験型企画をネットで堪能

 せっかく頂いたチケットなのに、世の中は、埼玉から東京赤坂に近づくことを阻むようなコロナ感染下であった。ネットで展覧会の広報が様々に行われていることを知って、ネット鑑賞することにした。
 その中で子供向けに行われていた「ミニ硯(すずり)箱を作ろう」の企画が楽しかった。展示中の硯箱の写真を印刷して自分で作品を作ってみる体験型の鑑賞である。作品の容器と蓋(ふた)には鳳凰(ほうおう)がデザインされており、蓋を開けると水滴入れが現れ、水滴は鳳凰の卵を模していて立体的でころんとしていてかわいらしい。是非、本物を見てみたくなった。このような筆記具を毎日使用する優雅な身分に憧れる。
 日本美術は愛されることを大切にしている。何かを見せびらかそうという趣味がない。日常をごきげんにすることを珍重しているのだ。
(埼玉県 野島友子さん 60代)

  • この連載について / 美術館探訪(アート部)

    Reライフ読者会議では、登録メンバーを展覧会に招待し、作品を鑑賞した感想を投稿してもらう企画を不定期で開催しています。作品の感じ方は十人十色。アートに正解はありません。そんなアート好きのReライフ世代の感想を集めました。

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