<連載> ”腸”お手軽大腸活レシピ

酵素を生かす食べ合わせ、健康効果を最大化する新腸活・食事術

「【善玉酵素】で腸内革命」から(1)免疫力アップ:えび・きのこのアヒージョ、しいたけ入り親子丼

2021.09.17

 腸内環境をよくするために食べているものは何ですか? 納豆? ヨーグルト? 食物繊維? じつは、こうした食材を生かす、より効果的で新しい「腸活の食べ方」があるといいます。9月の本プレゼント「【善玉酵素】で腸内革命」(主婦と生活社)の著者、國澤純さんによると、ポイントはずばり「酵素」。國澤さんは、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所で腸内環境研究のプロジェクトリーダーを務める第一線の研究者。その最新の研究成果でみえてきた、食べ合わせの工夫やコツを、本から一部を抜粋・再構成して紹介します。

エビ・きのこのアヒージョ

新しい「腸活の食べ方」、ポイントは「酵素」

 これまでの腸活は「善玉菌を増やそう! 」でした。それも大事ですが、健康にとって本当に重要なのは、善玉菌が作る”健康にいい物質”です。そして、健康にいい物質を実際に生み出しているのは、私たち自身や善玉菌が持っている「酵素」です。

 この酵素の働きをよくすることこそが、健康のカギ。酵素は、私たちの健康にとってきわめて重要なものなのです。酵素はたんぱく質でできている物質で、食べたものなどをばらばらに分解したり、分解したものを必要な形に組み立てたりします。分解するもの、組み立てるものに応じて、何千種類もあり、それぞれ別の働きをしています。

 食事の健康効果というのは、食材の種類や量だけで決まるわけではありません。私たちが食べたものは、酵素によって”健康にいい物質”に作り変えられて、初めて役に立ちます。しかも私たちは、私たち自身の細胞などが持っている酵素だけでなく、腸内細菌が持っている酵素も利用することができるのです。こうした健康にいい働きをする酵素のことを「善玉酵素」と呼ぶことにします。

 酵素が働かなければ、いくら栄養のあるものを食べてもまったく意味がありません。つまり、食の効果は、酵素が決めているのです。酵素の働きを逆算した食べ方をすることで、より健康効果が得られると考えられます。食べ合わせによって酵素の働きをよくすると、うれしい健康効果がいろいろと期待できるのです。

酵素の仕組み

「えび×きのこ×オリーブオイル」で、免疫の「門番」を元気にさせる

 腸活の目的が「免疫力アップ」だという人も多いと思います。まずは、そんな「免疫力アップの食べ合わせ」からご紹介します。

 新型コロナウイルスの影響もあり、「免疫力」という言葉を耳にする機会が増え、免疫に対する意識が高まった人も多いのではないでしょうか。ウイルスや細菌などから体を守ってくれる免疫細胞は、半分以上が腸に集中していて、パトロールのために全身を駆け回るので、腸の免疫は全身の免疫バランスに影響を与えることがわかっています。

 たとえば、ウイルスが侵入したとき、最初の「門番」として作動するのが「自然免疫」という免疫システムです。そこで働く代表的な免疫細胞、マクロファージが持っている酵素は、強い殺菌作用のある一酸化窒素を作っています。マクロファージはこの物質を使ってウイルスなどを退治しています。

善玉酵素が働く仕組み

 一酸化窒素はアルギニンというアミノ酸から作りだされます。ですので、マクロファージの酵素の働きをよくするためには、アルギニンを多く含んでいる鶏肉やえびなどを意識して食べることです。また、ビタミンDはマクロファージの機能を高めることが知られています。鶏肉などと一緒に、ビタミンDを多く含むきのこ類などを合わせて食べると、ダブルの効果が期待できます。

 アルギニンやビタミンDがどんな食材に含まれているかは、下のリストを参考にしてください。両方の食材を使ったおすすめのメニューは、冒頭のイラストのような「えびとマッシュルームのアヒージョ」や「しいたけ入り親子丼」などがあります。

免疫アップの食べ合わせ

 えびとマッシュルームのアヒージョのポイントは、えびとにんにく。どちらもアルギニンが含まれています。免疫細胞(マクロファージ)の「善玉酵素」が、このアルギニンから一酸化窒素という殺菌物質を作ります。それによって、免疫細胞はウイルスや細菌などの病原体を退治することができます。

 また、マッシュルームに含まれているビタミンDは免疫細胞の働きを高めてくれる働きをします。ビタミンDは油に溶けやすいので、アヒージョに使うオリーブオイルで、吸収率がアップされます。マッシュルームは、ほかのきのこ類に切り替えても構いません。

しいたけ・親子丼

 しいたけ入り親子丼は、いつもの親子丼にビタミンDが豊富なしいたけを加え、「鶏肉×しいたけ」の食べ合わせにしているのが一番のポイントです。マクロファージの善玉酵素が作りだす殺菌物質(一酸化窒素)の原料となるのが、鶏肉に含まれているアルギニンです。しいたけのビタミンDと卵のビタミンAは、免疫細胞の働きを高めてくれます。

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  • 善玉酵素と腸内革命の表紙
  • 國澤 純 (著)
    出版社:主婦と生活社

     これまでの腸活は「善玉菌を増やそう! 」でした。それも大事ですが、健康にとって本当に重要なのは、善玉菌が作る“健康にいい物質"です。そして、“健康にいい物質"を実際に生み出しているのは私たちや善玉菌が持っている「酵素」です。この酵素の働きをよくすることこそが健康のカギ。酵素の働きを意識した、食の健康効果を最大にする「食べ合わせ方」を紹介します。
     この本を3名様にプレゼントします。応募はこちら(商品モニター会メンバー限定、10月14日締め切り)

  • 國澤 純
  • 國澤 純(くにさわ・じゅん)

    国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN ニビオン) ヘルス・メディカル微生物研究センター長

    1996年、大阪大学薬学部卒業。2001年、薬学博士(大阪大学)。米国カリフォルニア大学バークレー校への留学後、2004年、東京大学医科学研究所助手。同研究所助教、講師、准教授を経て、2013年より医薬基盤・健康・栄養研究所プロジェクトリーダー。2019年より現職。現在、同研究所の腸内環境システムプロジェクトリーダーを兼任。

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