<連載> 今すぐできる終活講座

こんなに役立つカード類のコピー あなたの財産の「手掛かり」を残そう

早くから準備したい「終活ファイル」(後編)

2021.09.17

 「終活」や「相続」について考えていますか? 大切な人や社会のために財産を役立てたいけれど、何からやればよいか迷っているという人も多いのではないでしょうか。そんなあなたのために、遺贈寄附推進機構代表取締役の齋藤弘道さんが今すぐ役立つ終活の基礎知識やヒントを紹介します。おすすめは、まず「終活ファイル」を作ること。今回はその内容と、実際にファイルが役立つ場面についてお伝えします。

今すぐできる終活講座・棚を片付ける女の人
「終活ファイル」には、何を入れておくべき?

今すぐに準備したいコピー

 みなさんのお財布には、さまざまなカードが入っているのではないでしょうか。銀行のキャッシュカード、クレジットカード、健康保険証、運転免許証、スポーツクラブなどの会員証、病院の診察券などが入っていると思います。これらを全部まとめてコピーしましょう。裏面もです。このコピーを終活ファイルに保管するのです。

 前編で、残されたご家族が困るのは「どこにどんな財産を持っていたのかわからない」ことだとお伝えしました。預貯金や有価証券(株式・投資信託・公共債など)であれば、残高や銘柄がわからなくても、取引のある銀行名や証券会社名と支店名がわかれば、残高証明書を取ることで全取引が明らかになります。でも、財産目録を作成するのは面倒ですよね。そこでカード類のコピーです。ご自宅にプリンター複合機がある方も多いのではないでしょうか。無くてもコンビニにコピー機があります。 

 財布からカードを全部出す → コピー機に並べてコピー → ひっくり返して裏面もコピー。

 たぶん1分くらいで終わります。これで、ご家族があなたの財産を探して、家中を引っかき回す必要がなくなります。

 カード類をコピーしておくメリットは、死後の手続きだけではありません。ある日、財布をどこかへ紛失したとします。銀行やカード会社へ連絡して、カードが使われないように手続きする必要がありますね。その時に、このコピーがあれば、裏面に連絡先の電話番号が書いてありますので、すぐに連絡することができます。そもそも、財布にどんなカードが入っているのか、全部覚えている人は少ないでしょうから、何を紛失したのかがわかるだけでも少し安心です。

これがあると助かるもの

 カード類と同じように「財産の手掛かり」となるものに、生命保険証書などの保険関係の書類、年金手帳などの年金関係の書類、登記済権利証などの不動産関係の書類があります。特に生命保険(死亡保険)は死亡した時に備えて準備しておいたものですから、これが見つからないのは本末転倒です。死亡すると預貯金をすぐに引き出すのは難しくなりますから、葬儀費用の支払いや当面の生活費に充てられる生命保険金は非常にありがたいものです。

 年金の支給を受けている場合は、支給停止の手続きが必要ですし、遺族年金を請求する場合にも手掛かりになります。不動産の権利証(最近は登記識別情報)は、相続登記に必ずしも必要な書類ではありませんが、あった方が円滑に進みます。また、将来不動産を売却するときでも、権利証が無いと追加の手続きが必要となりますので、確実に引き継いでおきたいものです。

できれば葬儀関係の書類も

 私は相続関係の仕事をしていますので、40代の頃から葬儀社の互助会メンバーに入会して、少しずつ積み立てをしています。一番少額のプランですが、すでに積み立ては完了しており、何となくですが安心感が得られたように感じています。何より「いざという時に、家族が葬儀社を探さなくて済む」というメリットがあります。

 できれば葬儀社の会員になっておくと良いのですが、「まだそこまでは」と思われる方は、新聞折り込みで時々入っている葬儀社のチラシを、終活ファイルに放り込んでおくのも良いでしょう。さらに、自分で「これは」と思う顔写真を、遺影用として終活ファイルに入れておくのもおすすめです。やっぱり、祭壇にはカッコイイ写真を据えて欲しいですよね。

終活ファイルの中身
「終活ファイル」にはカード類や書類のコピーを入れる=齋藤弘道さん提供(画像の一部を加工しています)

遺言書はどうするの?

 遺言書を書かれている、または、これから書こうとされている方もいるでしょう。公正証書遺言は原本が公証役場に保管されますが、その所在がわからないとずっと保管されたままで使われません。公正証書遺言を作成すると、その謄本が公証人から渡されますので、それを終活ファイルに入れておきましょう。謄本で遺言執行の手続きができます。

 自筆証書遺言の場合、遺言書をそのまま終活ファイルに入れても良いのですが、原本はその1通しかないので少し心配です。そこでおすすめなのが、法務局に自筆証書遺言を預ける方法です。法務局へ預けると「保管証」が交付されますので、それを終活ファイルに入れましょう。

 法務局の保管制度を利用するメリットには、紛失リスクがない、形式要件(全文自署・署名・押印・日付)を法務局でチェック、わずか3900円の手数料で保管、家庭裁判所での検認が不要、遺言者本人による保管が保証される、法務局から相続人らへ通知する仕組みがある、などがあります。

 手順は、遺言書を書く → 保管の申請書を書く → 法務局へ予約する → 遺言書を預ける、です。手軽で簡単なのが魅力です。

意外な落とし穴に注意

 ここまで準備できれば、終活上級者ですが、それでも意外な落とし穴が二つあります。一つはネット銀行やネット証券です。これらの取引はパソコンの中で完結するので便利ですが、カードも通帳もなく、取引残高報告書などのお知らせが郵送されることもほぼありません。物理的な資料がありませんので、取引画面をコピーして終活ファイルに保管するなど工夫が必要です。

 もう一つが、音楽・映画・雑誌・ゲームなどのサブスクリプション(定額制)サービスです。契約者が死亡したことを家族が伝えても、解約に対応してもらえず、課金され続けるケースが多いようです。その場合、クレジットカードや預金口座を解約することで、課金できないように対抗します。もっと手っ取り早いのは、本人になり代わってIDとパスワードで解約する方法です。サービス名・ID・パスワードを書いたメモを封緘(ふう・かん)して、終活ファイルに入れておくこともできます。

 いかがでしたでしょうか。まずは、クリアファイルを買うところから始めてみませんか?

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  • 齋藤弘道
  • 齋藤 弘道(さいとう・ひろみち)

    遺贈寄附推進機構 代表取締役、全国レガシーギフト協会 理事

    信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の「全国レガシーギフト協会」)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

  • この連載について / 今すぐできる終活講座

    「終活」や「相続」について考えていますか? 大切な人や社会のために財産を役立てたいけれど何からやれば良いか迷っている…。そんなあなたのために専門家が今すぐ役立つ「終活」の基礎知識やヒントをご紹介します。

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