<連載> 尿漏れ相談室

尿漏れが不安で外出や運動を避けています フレイルになりますか?

「おしっこ先生」が答えます(6)

2021.10.01

 急な「尿漏れ」や「頻尿」など尿トラブルで悩んでいませんか? 「おしっこ先生」こと日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院の女性泌尿器科部長・加藤久美子先生に明るくアドバイスしていただきます。「尿漏れが不安だから」と外出や運動を避けていると、中高年はフレイル(身体や認知の機能低下)におちいりやすくマイナス面が大きいそうです。

尿トラブル連載9(おしっこ先生6)につくイラスト
自分の症状にあったパッドを選んで、自分らしい生活を

尿漏れ専用のパッドで やりたいことをあきらめない

 尿漏れがあるとQOL(生活の質)への影響が大きいですよね。読者のみなさんからは「尿漏れで失敗するんじゃないか」「怖くて外出ができなくなった」というお悩みもよせられているようです。私が講演などでよくお話しする事例は、「尿漏れが怖い」と思って腹圧性尿失禁の人がスポーツとか重いものを持つのを避ける、切迫性尿失禁の人だと「外出時に急な尿意があったらどうしよう…」と外出を避ける、などです。これはまさに中高年の「とじこもり」「ひきこもり」や心身の機能不全状態である「フレイル」のもとになるわけですね。

 みなさんにお伝えしたいのは、「尿漏れがあっても外出しましょうよ、運動しましょうよ」ということ。その点、尿漏れパッドや吸水パッドなどは日常生活で役立ちます。日本のパッドは非常に優秀なので、「自分にちょうどいいパッドを使ったら外出がしやすくなった」と言う患者さんも多いです。自分の漏れる量や体に合う肌ざわりのパッドを探してみましょう。

 最近は啓発が進んできましたが、「安いから」と生理用ナプキンを尿漏れ対策に流用するのはおすすめをしません。おしっこが「横漏れ」してしまいますよ。生理用ナプキンで十分という程度のわずかな漏れならいいのですが、「横漏れします」と患者さんが言うので使っているパッドを見せてもらったら、「これ生理用じゃないの~! 」ってことがよくあります。生理用パッドと尿漏れパッドは機能がそもそも違うんですね。生理の経血とおしっこは成分も粘度も異なるものですから、それぞれの特徴にあう専用パッドを使ったほうがいいのです。

 今はドラッグストアでも少量用のかわいらしいのを売っています。吸収量も、ごくわずかな漏れから200ccを超える尿漏れをカバーするものまで、さまざまなタイプがそろっていますよ。がまんして家に閉じこもるのは良くない。「尿漏れが不安だから」とご自分の生活を縮めてしまうようなことはやめてほしいのです。パッドをしていてもいいから、どんどん体を動かしたほうが、尿漏れの悪化にもつながらないと思いますよ。

日本人はにおいを気にしすぎている? 

 私も夏場、狭いところで仕事をしていて「尿漏れしたら、におうんじゃないかな」と気にしていたことがあります。でもね、患者さんとお話をしていても、尿漏れのにおいがすごくする人は、ごくごく少ないです。日本は「体臭恐怖」みたいなものがありますね。「部屋のドアをあけたら、みんながこっちを見たような気がする」とか。ほんのわずかな尿漏れなのに、「みんなが『くさい』と顔をしかめた」と言う人も。日本人はマナーってことに過剰になってしまい、気にしすぎだと思います。夏は汗のにおいがするのがふつうです。

 患者さんのなかには「自分が1日はいていたパンツは、おしっこのにおいが少しする気がする」という人がいますが、そりゃ、あたりまえですよ。鼻をつけてクンクンにおいをかげば、においがするのはあたりまえでしょ、って。漏れが軽い人はあまり気にしないでほしいですね。

まず深呼吸 不安に思うと尿漏れはひどくなる? 

 過活動膀胱(ぼうこう)は気のせいで起きるわけではないのですが、尿漏れを不安に思っていると、よりひどくなる面があります。「おしっこしたい」と思った時に「あ、失敗しするんじゃないか」と不安に思うと漏らしてしまうんですね。「漏れちゃうんじゃないか」と思うといけない。そういう時は深呼吸して、膀胱の収縮があおさまってからトイレに行ったほうがいいですね。走ったりするとむしろ漏れやすいのです。あわてちゃだめ。「おしっこ、おしっこ」と思わずに、むしろいったん深呼吸して、気をそらすほうがいい時があります。

 ただし、「気をそらして排尿間隔をあけて」という「膀胱訓練」ですべて解決するほど簡単ではないのです。詳しくは次回、お話しましょう。(談)

  • 加藤久美子
  • 加藤 久美子(かとう・くみこ)

    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 女性泌尿器科部長

    1957年生まれ、82年名古屋大学医学部卒業。86年同大学大学院医学研究科修了(医学博士)。同年、同大付属病院で日本初の女性尿失禁外来の開設に参画。30余年にわたり女性泌尿器科、排尿診療に先駆けとして取り組む。2006年より現職。「女性の尿トラブル」「シニア女性の骨盤臓器脱」(NHK出版/別冊NHKきょうの健康)監修。

  • この連載について / 尿漏れ相談室

    人に相談しづらい「尿漏れ」や「頻尿」の悩み。トイレが気になって外出に不安を抱える読者も多いようです。トラブル対策や治療方法、自分でできる骨盤底筋トレーニングなどを泌尿器科医や理学療法士がご紹介します。

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